ロックな耳鼻科:小倉耳鼻咽喉科医院院長、小倉弘之が日々思うこと。

2018.08.09

のどが赤い

昨日と今日と2日連続で似たような患者さんを診ました。

2組の親子です。

 

 

 

 

 

 

 

 

のどが痛いと受診したお母さん。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

家族で、のどが痛い、熱出た人が最近いましたか、と尋ねると、

先週、子供2人が相次いで熱出しました、とのこと。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

お母さんは、一見してのどが真っ赤っかで、

迅速検査で溶連菌感染症と診断。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その結果を踏まえて、一緒に来ているお子さんの受付もしてもらい、診察。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

すると、溶連菌検査が、これまた陽性。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

熱が出て、小児科で抗生剤が出て、

すぐ熱が下がったのでそのままだったとのことです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

熱が出ると、何も考えずに抗生剤を出すお医者さんがいまだに多くて困ります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

熱が出れば、その原因は何なのか、とは考えないようです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

いまはやっているヘルパンギーナなどの夏風邪は、

抗生剤は無効だし、使わなくても2日以内に解熱します。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、溶連菌感染となると、慢性扁桃炎への移行を防ぐため、

ペニシリン系の抗生剤を10日間飲みます。

抗生剤が良く効くので飲み始めるとすぐ症状が取れるのですが、

完全に除菌できるまで10日間飲むのが、肝心です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ともかく、風邪であれば抗生剤は必要ない、

溶連菌なら10日間飲み続ける、ということなので、

のどが赤いから4日分だけ抗生剤、という処方はあり得ないはず。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ヘルパンギーナなどの夏風邪で

「のどが赤いね、抗生剤出しとくね。」

ということで翌日熱が下がるのです。

それは抗生剤で下がったわけではなく、自然と下がったわけなのですが、

お母さん方や、場合によってはお医者さんも、薬のおかげで下がったのだ、

と誤解しちゃうわけです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

まあ、一般には必要ない抗生剤をのんだから、

すぐ何か起こる、ということはないですが、

子供さんに(場合によっては大人でも)ちょこちょこ抗生剤を飲ませていると、

体の「菌叢」が変化し、薬の効かない耐性菌が常在することが考えられます。

そんな菌が、肺炎、中耳炎などを起こすと、薬が効かずに大変。

なので、要らない薬はなるべく飲まない、というのが大事です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ちなみに扁桃腺が腫れて溶連菌感染症にやや似た所見を呈する

EBウイルスによる「伝染性単核球症」という病気の場合は、

ウイルス性なので抗生剤はもちろん無効ですが、

ペニシリン系の抗生剤は発疹を誘発することがあり

この場合は禁忌となっています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そういえば、小児科の保険点数改正によって、

「風邪に抗生剤を出さなければ加点」ということになりましたが、

この辺の小児科の先生は無欲な(?)先生が多いのか、

抗生剤を出しまくる先生が多いようです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ちなみに、今日診察した溶連菌家族の2歳の女の子は、

急性中耳炎も合併していました。(ーー;)

 

 

 

 

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