ロックな耳鼻科:小倉耳鼻咽喉科医院院長、小倉弘之が日々思うこと。

2017.01.21

さらに長い質問

 

何度も恐れ入ります、抗生剤の処方について追加で質問させて下さい。
かかりつけ医からはこの滲出性中耳炎は細菌感染ではないから抗生物質は必要ないと言われました。

セカンドオピニオンでは鼻水を完全に止めてから切開しましょうということでワイドシリンとムコダインの処方でした。
そこで、質問です。
よく先生のブログでも抗生剤の使い方について記載がありますが、
・先生でしたらこのような滲出性中耳炎に抗生剤を使いますか。
・セカンドオピニオンの医師の話だと、最悪 春まで抗生剤を飲み続けることになりそうだが、そんなに長く服用していいものか。
もしよければご教示願います。何度も申し訳ありません。

 

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 ということで、続編。

 

 

 

 

 

 

 

 滲出性中耳炎には抗生剤は必要か?

 

 

 

 

 

 

 

 答はイエスでもありノーでもある。

 

 

 

 

 

 

 

 

 まず、おさらいです。

 

 

 

 

 

 

 

 中耳とは鼓膜の向こう側のスペースで、空気が入っており、無菌的な場所。

 

 

 

 

 

 

 

 

 一方鼻腔はハナの中のスペースで常に細菌がいる場所。

病原性を持つ菌がいる場合も持たない菌がいる場合もあるが、

仮に肺炎球菌やインフルエンザ菌などの病原性を持つ菌がいたとしても、

特に病気を起こしません。

 

 

 

 

 

 

 

 

 つまり、それは「常在」であり「感染」ではありません。

 

 

 

 

 

 

 

 

 この「菌がいる場所」と「菌がいない場所」が耳管を通じてつながってるという構造です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 急性中耳炎とちがって滲出性中耳炎の状態では中耳には

菌はいないか、いても増殖はしていない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 だから、最初の先生の意見は正しい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 しかし、中耳の滲出液が排出されないのは、ハナが多くて耳管がうまく開かないから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そのハナの細菌を減らすために抗生剤を使いましょうという

2番目の先生の考え方も正しいのです。

 

 

 

 

 

 

 

 ということですな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ちなみにワイドシリンなどの殺菌的な抗生物質を春までなんて長期間にわたって使い続けることはありません。

 

 

 

 

 

 

 

 

 おそらくB先生は適当なところでマクロライドの少量長期療法を考えているでしょう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 クラリスやエリスロマイシンのようなマクロライド系といわれる抗生物質を

通常の半量以下の量でのんで、副鼻腔炎などの慢性の炎症を治療する方法があります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 この場合は菌をやっつける閾値以下の量ですので、

抗生物質としての使い方ではなく、どちらかといえば漢方薬的な使い方になり、

長期の内服が可能になります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 最初の先生はそれを漢方薬でやろうとしてたようですから、基本的には考え方は一緒です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 あくまでも実際に診察してない「第三者的な見解」ですので、

よく先生と話しながら根気よく治療してください。

 

 

 

 

 

 

 

 

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