ロックな耳鼻科:小倉耳鼻咽喉科医院院長、小倉弘之が日々思うこと。

2013.04.19

中耳炎の痛み

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始めまして。****と申します。大変ずうずうしいご連絡申し訳ありません。。中耳炎について情報収集していましたら先生のブログにたどり着きました。何かご意見頂けたら嬉しいです。現在フランスに在住で去年の9月から
娘が幼稚園に通いだし(現在3才3ヶ月です。)冬の間中風をひいていました。そのたびに黄緑色をした鼻水を
出していて現在までに4回中耳炎にかかってしまいました。お医者様からは毎回抗生物質と痛み止めを処方して
頂き翌日には耳の痛みもひいていたようです。
4月の頭にまた黄色い鼻水を出し耳が痛いというので
いつもと同じようにお薬を処方してもらいすぐに元気になりました。その後風邪もすっかりよくなり2週間ほど過ぎたところ、おとといから突然耳をすごく痛がりまた先生に診てもらうと「まだ中耳炎が残っている」とのことで耳鼻科の紹介状を渡されました。ところが診察
の予約が取れたのが2週間後で3日経っても耳を痛がる
娘が心配でなりません。。。こちらの病院は予約が取れるまで1ヶ月待つということも普通です。海外の病院とということで状況が詳しく分かり辛いというのも心配です。耳垂れなどは一切でていません。鼻水もでていなく
元気な状況で今まで以上に耳を痛がっているのは、急性中耳炎の悪化でしょうか?お忙しいところ本当にすみません。。よろしくお願いいたします。

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 ぬわんと遥かフランスからご質問いただきました。
 フランスと日本では大きく医療体制が違うので
実際よくわからないところもありますね。
 ワタシの知ってる範囲では一般に海外では
いわゆる「家庭医」が何でも診てその判断で専門医に紹介するような
システムになってるケースが多いようです。
 だから、内科・小児科といっても日本と違って
キチンと子供の鼓膜がみられるトレーニングを受けていると聞いています。
 「反復性中耳炎」は全世界的に今大きな問題ですので、
フランスでもそういった例が増えているのかなあと思います。
 さて、ご質問の「耳痛」についてです。
 急性中耳炎の主症状である耳の痛みは、
どこから来るのでしょう。
 中耳炎の痛みは中耳の痛みでは無く、鼓膜の痛みです。
 鼓膜はその性質上、外傷を受けると困るので
何かが耳に入った時に素早く逃げるように痛みの神経が集中しています。
 眼球と同じく、接触による痛みにきわめて敏感な部位です。
 中耳炎で中耳に膿がたまり鼓膜が押されて膨隆すると
激しい痛みに見舞われます。
 逆に鼓膜の腫れが限界に達し、耳だれが出た場合には
痛みや発熱は無くなるわけです。
鼓膜切開と同じことです。
 ただ、ホントに激しい痛みは3日も4日も続くことはありません。
 鼓膜は「腫れてくる時」が痛いので
「腫れきって」しまえば、断続的に鈍い痛みはありますが、
泣き叫ぶような激痛は無いものです。
 ただし、横になったりすると
重力の関係で痛みが増加することはあります。
 そんなわけで、耳が痛いうちは中耳炎は治ってないのはもちろんですが
痛みが取れたのは治ったことではないので要注意。
 ご質問の方は3歳なので
ある程度痛みなどの表現ができるので
滲出液の貯留で痛みを訴えていると思いますが、
痛みの程度を良く訊いてみることが必要です。
 激痛で無ければ2週間後の専門医でもよろしいと思いますし、
素人考えで抗生物質を飲ませたり、はかえって状態を治りにくくする恐れがあります。
 もし、痛みが激痛であればとりあえず「痛み止め」が有効です。
 アセトアミノフェンなどの成分を含んだ「消炎鎮痛剤」を使いますが、
なければいわゆる「頭痛薬」で緊急的にはオッケーです。
 ただ、その場合は中耳炎が「Hot」の状態ですので、
できれば早めに家庭医に診てもらった方がいいかもしれません。
 それにしても2週間先、1カ月待ちも普通ですか・・・・。
 休日でも夜中でも耳が痛ければ専門医のオグラセンセイに
電話がつながっちゃう日本の医療制度はたいしたもんだなあ。
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