ロックな耳鼻科:小倉耳鼻咽喉科医院院長、小倉弘之が日々思うこと。

2012.06.11

小児副鼻腔炎の治療について

 こんにちは。
 全国1000万のサッカーファンの皆様、
帰って来たドクターおぐぐの耳鼻科相談コーナーです。
 今日は、こんなお便りを頂いたよっ。



こんにちは。抗生剤のことで悩んでいて、こちらにたどりつきました。5歳の女の子ですが、2月に副鼻腔炎と診断され、4か月たった今も抗生剤を飲み続けています。発熱や痛みはありません。鼻水はほんとにたまにでますが、透明のサラサラです。
鼻は時々詰まりますが、鼻水はほとんどでていません。
最初にレントゲンを撮ったきりで、ずっと飲み続けていることに納得いきません。
主治医は大丈夫大丈夫と言うのですが、本来4か月も抗生剤を飲み続けても大丈夫なのものでしょうか?しかも途中経過の検査もせず出し続けるものなのでしょうか?
まだ小さい子供ゆえに心配です。
ちなみに薬はリカマイシンです。


 イントロはふざけてましたけど、
いや、まじめにお答えしますんで。
 さて、5歳児の副鼻腔炎です。
 副鼻腔とは、鼻の周囲にある鼻腔と連続した空洞で、
大体、3歳~4歳くらいから形成されてきます。
 したがって、赤ちゃんの副鼻腔炎は原則的に無いわけですが、
幼児期や学童期は風邪に続発して副鼻腔炎を起こすことはよくあります。
 軽いものは薬など飲まなくても自然に、
または良く鼻をかんでいれば治ってしまう事が多いですが、
中には治療をしてもなかなか治らない例があるのも事実です。
 難治性の原因としては、
花粉症を含むアレルギー性鼻炎の存在、
風邪をひき易く感冒を反復する子、
鼻を上手にかむことが不得手のお子さん、
鼻腔に耐性菌が常在している場合、
等々があります。
 風邪のあと1~2週間たっても膿性の濃い鼻汁が続いたり、
咳や痰が特に起きぬけ、寝入りばなに多ければ、
副鼻腔炎を疑いレントゲンを撮ります。
 レントゲンで副鼻腔炎が確認されれば、
一定の流れで治療を行います。
 急性期には殺菌的な抗生剤を用い、
症状が改善してもレントゲン所見が残るようであれば、
一般的にはマクロライド少量長期療法を行い、
自他覚症状を見ながら3か月を目安に投薬をします。
 さらに難治性のものについては、
プレッツ置換法と言って、副鼻腔に直接薬液を入れる治療を行います。
 一般には副鼻腔の成長期である幼児期、学童期には、
副鼻腔炎は保存的療法で、よく治る場合がほとんどで、
手術をすることはまずありません。
 通常は1カ月前後でレントゲンを撮り、
治っているかどうかを確認します。
 ただし、親がみてほとんどハナが出なく症状がないと思っても、
耳鼻科医が鼻の中を覗くと、
奥の方に膿性の鼻汁が流れてきていることはよくあるので、
この方の場合、お医者さんが所見から見てまだ治ってないので
レントゲンを撮る時期で無いと判断しているのかもしれません。
 4カ月程度はマクロライド少量で経過を見ることはあります。
 マクロライド系の抗生剤を常用量の半分以下で使うので、
漢方薬的な作用で、抗菌作用を発揮しないので、
3,4カ月飲んでもそれほど問題はありません。
 ただ、一般的にはそろそろ何か次の手を打つ時期だとは思いますが。
 そして、ちょっと気になるのが薬の種類です。
 リカマイシンを使用とあります。
 リカマイシンは確かにマクロライド系の抗生物質ですが
一般的には少量長期療法に使われる薬剤では無いように思います。
 実は同じマクロライド系と言われる抗生剤の中でもいくつかのグループがあり、
その構造式から
14員環のクラリス、クラリシッド、エリスロマイシンと
15員環のジスロマック、
16員環のリカマイシン、ジョサマイシン等
に分別されます。
 これらは、すべて同じマクロライドなので、
抗菌スペクトル(どんな菌に効くか)などは
どのグループもほぼ同様の傾向を示しますが、
少量長期療法での効果が確実であるのは
14員環のグループだけだと思います。
 ひょっとして私が不勉強なだけで、
最近、新たに16員環マクロライドにも
同様の効果が証明されたというデータが発表されたのかもしれませんが・・・。
 薬剤アレルギーとか内服した時の味の問題で
次善の策としてリカマイシンを選ばれたのかもしれませんし、
現場の事情が分からないので何ともそれ以上はコメントできませんが
効果が不十分な可能性もあるのでは。
 もちろん副作用の面では、少量療法なら4カ月程度で何か重大な障害が出る、
という事は無いはずなのでそちらはご安心いただいてもいいと思います。
 しかし、4カ月経つのであれば、
どちらにしろ現在の状態と今後の見通しについて
主治医の先生にご相談されてもよろしい時期なのではないでしょうか。
 少なくとも一回レントゲン撮って、
治っていないまでも改善があるのかないのかは
確認してもいいのではないかと思います。
 そこで、ご質問に対するお答えとしては、
マクロライドの少量長期については4カ月程度飲むことはあり、心配はないが、
そろそろ何か検査をして治療方針を再検討する時期に来ているかも、
というのが、現時点でお伝えできる私の個人的見解です。
 あくまでも一般論であり、
実際にはここにいろんな条件、状況が加味されるので、
この通りに進まない事はよくあります。
 どうぞお大事にしてください。
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2012.06.11

ユーロ2012開幕

 土曜日のナビスコは試合がなかったが、
浦和レッズは他チームの結果によって、
予選敗退が決まってしまった。
 うーん、これはムナシイ。
 結局、前回のブログで書いたようなことはなかなかそう起こることではなく、
すでに決まっていたようなもんではあるが、
ああ、失敗した、と思った試験結果が、
ひょっとしたらギリギリ受かってないかなあと思ったところ、
やっぱ、ダメでしたー、という感じ。
 さて、そんな一方、始まりましたねヨーロッパ選手権。
 4年に一回のワールドカップの間の年は、
オリンピックもあるけどやはり何といってもユーロですね。
 今日は日曜日だったので、昨夜の2試合とも
(録画ですが)見ました。
 オランダ対デンマーク。
 おお、この組み合わせは、2年前のワールドカップの南アフリカ大会の
予選カードではないか。
 あの時は、ここに日本とカメルーンが入って4カ国で
予選グループを戦った。
 で、今回はあと2カ国はというと・・・・・
 な、なんと、ドイツとポルトガルなのじゃあ。
 この4カ国で、予選とは豪華すぎるっていうか、
ウナギととんかつにローストビーフと大エビ天が2,3本がついたような感じで、
うー、食い切れねー、という感じである。
 しかも、今夜はスペイン対イタリア、
さらに翌日はフランス対イングランドですと。
 さすが、贅沢なヨーロッパ選手権。
 問題はこれをどうやって見るかである。
 ナマで見ると夜中の1時から3時、第二試合が3時45分からとなっている。
 うーん、時差が恨めしい。
 やっぱ、録画かなあ。
 そんなわけでウチに来る人、試合結果知ってても黙っててね。
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