ロックな耳鼻科:小倉耳鼻咽喉科医院院長、小倉弘之が日々思うこと。

2011.12.13

それで、マイコプラズマはどうするの。

 先日のマクロライド、マイコプラズマの続きですが。
 じゃあ、マクロライドが高度耐性化したマイコには何を使えばいいか?
 前回紹介した、国立感染症研究所のレポートには「ミノマイシン」の事が書かれてました。
 ミノマイシンは古い薬ですが、
「テトラサイクリン系」という、また違うグループの抗生剤で、
独特の効き方をします。
 効く菌種も広いのですが、副作用も多く、
特に小児の場合歯牙着色やエナメル質形成不全、一過性の骨成長障害などがあり、
使いにくい薬です。
 一方、もう一つ「ニューキノロン系」の抗菌剤も
マイコプラズマに効きます。
 こちらは、マクロライド系と違って、
肺炎球菌をはじめとする一般細菌にも充分な抗菌力があります。
 そのため、成人の市中肺炎では、よく用いられる薬です。
 長らく、小児用製剤が無かったため、
内科や耳鼻咽喉科の先生は使い慣れていますが、
小児科の先生は使う機会がありませんでした。
 先ごろ、初めての小児用ニューキノロン剤「オゼックス」が発売されています。
 じゃあ、これでいいじゃん、肺炎球菌だろうとマイコプラズマだろうと
まとめて面倒見るぜ、みたいな。
 しかし、それはダメなのだ。
 そもそも、このオゼックス細粒はほぼ同時に発売されたオラペネム細粒と同じく
ある目的を持って開発、発売された薬なのだ。
 それは、難治性中耳炎の治療。
 近年の耐性菌の増加により急激に治りにくくなった幼小児の中耳炎の
いわば切り札として、耳鼻科医会が中心となって、
頼んで作ってもらった薬なのだ。
 だからメーカー側も「なるべく安易に使わないでほしい」
と宣伝しない特殊な薬なわけだ。
 これをバンバン使ったらマイコプラズマはもとより、
中耳炎の原因菌である肺炎球菌やインフルエンザ菌が、
耐性化して効かなくなってしまう可能性大なのだ。
 だからほっておいても治ることの多い「マイコプラズマ疑い」
ごときに使う訳にいかないのだ。
(もともと保険適応症は通ってないが。)
 当院でも難渋する中耳炎の子に、これでコントロールできなきゃチューブ入れます、
と言って「切り札」的に使用する薬です。
(でも結局外来でチューブ入れることになる赤ちゃんも結構いるんだよなー・・・。)
 まあ、そんなわけで、現時点ではマイコプラズマが強く疑われれば、
やっぱり最初は、マクロライド、
耐性マイコでないことを祈ってまず「ジスロマック」を。
 でも、中耳炎の有無や過去の肺炎球菌の検出の有無に注意して、
っていうところですかねー。
 なんとなく、ハガユイ。
 ともかく、いろんな可能性を想定し、
経過を良く見守るのが一番大事、
ちゅうことはマイコプラズマにかかわらず、
どんな場合にもあてはまりますな。
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