ロックな耳鼻科:小倉耳鼻咽喉科医院院長、小倉弘之が日々思うこと。

2010.12.11

学問と勉強

 先日広島に学会に行った折ある本を読んだ。
 電車に乗ると本がいっぱい読めるのがうれしい。
 広島だと新幹線で4時間、1時間寝てても3時間はバッチリ読書できる。
 さて、そこで読んだ「数学」の本だが、
「学問は役に立たないほうがエライ。」 
という趣旨の対談であった。
 おお、なるほど。
 化学や、物理学や、医学・生理学なんかに比べて、
数学や文学は(その数学者の対談の相手は作家であった)
すぐ役に立たないから、
学問として、よりピュアである、と。
 確かにそうかも知れんなあ。
 私がまだ研修医で大学にいたころ、
先輩の先生に声をかけられた。
「オグラー、ちゃんと勉強してる?」
(ちなみにその先生、女医さんなんだが女子医大の山岳部出身で、ともかく豪快なのだ。)
「はあ、はい。
この間も、○○症候群の疑いの患者さんがいたので、
図書館で文献を山ほど読んで、コピーもまとめました。」
「あのなあ、オグラよ(繰り返しますが女医さんです)、
そーいうのは勉強って言わないんだよ。
疾患がわかんなくて調べてんだろ。
そりゃあ、仕事、仕事だよ。
勉強ってのは、目の前の問題を解決することじゃあないのよ。」
 もう、25年も前に言われた言葉です。
 そうだよなあ。
 んで、新幹線でその本を読んだあと学会場に行って、
これが専門医講習会っていう学会で、
耳鼻科の各分野の一流の先生たちが、
最新の疾患概念や診断法、治療法などを講演してくれるわけです。
 毎年、いつも、勉強になるなあ、
と思って聞いてましたが、
 今年も開会のあいさつで座長の先生が、
「臨床医の先生方がすぐ明日から役立つような最新の知識をお伝えします。」
と言ってるのを聞いて、
「ああ、これは、学問じゃあないのだなあ。」
と思ったのだった。
 そもそも、医学なんてのは実学の最たるもので、
「学問」としては下の下なのだなあ。
 もちろん、だからダメ、とかじゃなくて。
 また、今週末は補聴器相談医講習会で
宇都宮まで行って、仕事のために学習(?)してきます。
去年も大変だった⇒昨年の補聴器相談医講習会の記事
 なかなか、真の勉強はできないのだ。
 必要に迫られて、一生、こんな、仕事のための学習をしてんだろうなあ。
 でも、仕事は大事なので。
 人気ブログランキングへ

↑ランキングに参加しています。一日一回応援のクリックをよろしくお願いいたします。
拍手ボタンもよろしくねー。

3件のコメント
医療系をまとめました。
2010年12月
 12345
6789101112
13141516171819
20212223242526
2728293031  
最近の投稿 最近のコメントカテゴリー アーカイブ