ロックな耳鼻科:小倉耳鼻咽喉科医院院長、小倉弘之が日々思うこと。

2010.12.02

オラペネム耐性インフルエンザ菌

 ついに出た、といってもあまりありがたくないものが出た。
 オラペネム耐性のインフルエンザ菌である。
 6か月の赤ちゃん、急性中耳炎で鼓膜切開したが、
耳だれが止まらず、培養結果出る前だったが、
抗生剤をメイアクトからオラペネムに変更。
 しかし、それでも一向に良くならず、
昨日菌検査の報告が来て上記が判明。
 感受性を見て抗生剤をオゼックスに変更して、
本日はかなり良くなっていた。
 やれやれ。
 MRSAやアシネトバクターでは耐性菌でもどうってことないが、
インフルエンザ菌は、困るなあ。
 あ、誤解ないように。
 インフルエンザじゃないよ。
 よくわかんないヒトは私の過去の記事
インフルエンザではありません」←クリックして参照してください。
 そもそもオラペネム、オゼックスは
近年の乳幼児の中耳炎の難治化に問題を感じた学会側が、
メーカーに働きかけて「出してもらった」新しい抗生剤である。
 メイアクト、フロモックス以降、長年にわたり抗生剤の新薬が出ず、
小児科医、耳鼻科医の抗生剤の乱用、
必要ない病態に対しての垂れ流し的使用によって
巷にはすっかり耐性菌が蔓延し、
幼小児の中耳炎の難治化が耳鼻科医の間で問題になっていた。
 そこで現れたこの2剤は、メーカー側もお医者さんに
「なるべく使わないでくださいね。」
という売り方をする珍しい薬なのだ。
 当院でも症例を限ってなるべく使わないようにしてるのだが、
早くも耐性菌が出てしまっているとは。
 しかし、どんな抗生剤にも耐性菌は存在し、
それは、薬ができる前からあるというが。
(この辺の話、難しいけど面白いのであとでこのブログで解説しますね。)
 ともかく、これからますます気をつけて行かないと。
 しかし、インフルエンザ菌も生き残りをかけて必死なのだなあ。
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