ロックな耳鼻科:小倉耳鼻咽喉科医院院長、小倉弘之が日々思うこと。

2010.09.16

今年のインフルエンザはどうなる?

 インフルエンザのワクチンの案内が来て、
ああ、もうそんな時期かと思う。
 思えば昨年は新型インフルエンザで大変だったなあ。
 昨年の私の予想通り、ソ連型は姿を消したため、
今年の予防接種は、
パンデミック2009(H1N1、いわゆる新型インフルエンザ)、A香港型(H3N2)、B型
の3種の「ブレンド」になりました。
 昨年のように「新型」「季節型」と分けて打たなくていいわけです。
(ホントは去年もこれができればよかった。)
 さあ、今年の流行はどうなるか。
 昨年かかった人は、おそらくまだウイルスの変異があまり無いと思われるので、
かかりにくい、と思います。
 昨年かかってない、おそらく3~4割のヒトを中心に流行があるかもしれません。
 問題は、ウイルスが2年目に感染力や病原性を増すことがある、
という過去のデータです。
 事実スペイン風邪ではそのような事がありました。
 新型ウイルスが人間の細胞内での暮らしに慣れて、
よりスムーズに増殖をするようになるため、と考えられます。
 この点は要注意ではあります。
 しかし、一方いい話題も。
 近年、急速に増加してきたタミフル耐性ウイルス。
 そのほとんどが「Aソ連型」でした。
 今回、Aソ連型の「消滅」により、その点はリセットされちゃいました。
 つまり、現時点では、タミフル耐性ウイルスはほとんどいないはず。
 さて昨年の「新型」で、日本のインフルエンザ死亡率はダントツで世界最低でした。
 人口10万人対の死亡率で、
日本は0.16、これはドイツ0.31などに比べても優秀で
カナダは1.32、アメリカに至っては3.96です。
なんと日本の25倍の死亡率です。
 これは初期からタミフル、リレンザなどの
抗ウイルス薬が使用できたことによるのは明らかで、
日本の国民皆保険制度の「いいところ」が発揮された形です。
 (オバマさんも国民皆保険、やりたいわけだ。)
 しかし、いずれ「新型」も耐性化する。
 今年は新たに吸入式の抗インフルエンザ薬「イナビル」が発売になります。
 現時点では、タミフル、リレンザ、そしてこの新しいイナビルを
バランス良く使って行くことが「耐性化」を遅らせるポイントでしょう。
(単一の薬剤だけを使うと早く耐性化します。)
 そして、何といっても大事なのが予防のワクチン。
 抗ウイルス薬を「予防」に使うのはやっぱりダメですよ。
 昨年かかった人もできるだけワクチン打っといた方がいいです。
 去年のような事態にはならないと思いますが、
今年、どんなことになるかは実際、ふたを開けてみないとワカラナイ。
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