ロックな耳鼻科:小倉耳鼻咽喉科医院院長、小倉弘之が日々思うこと。

2009.11.14

テオドール、どうでしょう?


 最近は院外処方が一般的になって、
患者さんが飲んでる薬が、本人にも第3者にもわかるようになりました。
 これは大変良いことで、複数の医療機関にかかる場合とか、
前医での治療歴がある場合など、必要不可欠な情報が得られます。
 また、専門家が見ると
「おお、この先生はできる!」
とか
「こんなのダメに決まってるじゃん。アホか。」
とか(実はこっちが意外と多い)
「へえ、この病気は今こんな治療するんだ。」
などと参考になることが多い。
 その中で、最近これってどうなの?と思ってることがある。
 それは、喘息(特に小児)の治療で使われる「テオドール」という薬だ。
 私は、耳鼻咽喉科専門医なので、もちろん喘息は専門ではない。
 しかし、耳鼻科の中での専門はアレルギーだし、
喘息を合併した子の、診察も治療もかなりしたことがある。
 そういった、研究会で話を聞いたり文献にも目を通す。
 で、最近の、特にこの5、6年で喘息治療の方針が大きく変わってきたのだ。
 昨今はいろんな疾患に「ガイドライン」というものができて
「この病気は、段階に応じてこんな治療法を選択していきましょう」
なんていうマニュアルみたいなもんがある。
 これは主に一般医を対象にした「指南書」で
耳鼻科領域の「アレルギー性鼻炎」「花粉症」「中耳炎」などのガイドラインなんてのは、
私なんかにとっては
「何をいまさら」
という内容なのだが、
自分の専門外の分野については、いちいち目を通すようにしている。
 それによると、現在「喘息治療の基本方針」は
「発作の予防」と「気道炎症の改善」が根幹で
その中心になるのが
「オノン」などの(お、どっかで聞いたことある薬!)アレルギーを抑える薬と
「吸入ステロイド」なのだ。
 気管支拡張作用を持つ「テオドール」は、かつて喘息治療の花形だったが
今や、あまり推奨されなくなっている。
 理由は「喘息治療の概念の変化」とテオドールの「副作用」の問題だろう。
 薬には血中濃度によって「有効域」と「中毒域」がある。
実は、テオドールはこの幅が大変狭い薬なのだ。
 つまり、少ない量では効かないが、多くするとけいれんなどを起こしやすい。
 しかも「発熱」や、「他の薬剤(特に問題になるのはマクロライド系の抗生剤)との相互作用」で
血中濃度の上昇をきたしやすい。
 「風邪」に基づく「喘息様気管支炎」で使用した場合、
熱が出てる場合が多いし、抗生剤が併用されることも多い。
 多くの副作用が報告される中、メーカー側も事故を怖れて
たびたび注意文書を発し、数年前には体重あたりの投薬量を見直して、
より少ない量での換算票に差し替えてきた。
 つまり
「もう、あんまり使わないで。」
ってことらしい。
 ところが、
ウチで治療中の子が、喘息発作みたいの起こして
「この間○○小児科で喘息って言われて薬が出ました。」
って、お薬手帳を見ると、「テオドール」。
このセンセイ、いつもこれだ。
 「ううむ。」
 これが私の専門領域ならああだこうだ言えるんですが、
「喘息」ってなると・・・・・。
 「なんか薬の説明受けた?」
「いえ。」
「うーん・・・。」
・・・・・どうなんだろ。
 以前からテオドール使ってる子ならまだしも、
まるっきり初めてで、これは・・・。
 もちろん、使い慣れてる、ってのはあるけど
医学の常識はどんどん変わる。
昨日の治療法が、今日は禁忌だった、なんてこともある世界だ。
 以前の創傷治療もそうだが、解熱剤にしろ、咳止めにしろ
昔とは180度考え方の変わったものはざらだ。
 せめて、一言使用理由の説明をしてもらえれば・・・。
 やっぱ、医者は常に知識をアップ・トゥ・デイトしとかないとまずい。
 そういや「風邪による急性胃腸炎」つって、
いつも下痢止めの「ロペミン」出してる小児科医もいるんだが、
これも、どうなんだろ。
 いやー、専門じゃないからよくわかんないけど、ちょっとオレは出さないよ。

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2009.11.13

査定くらっちまった


 「オノン」という薬があります。
 ロイコトリエンというアレルギーを起こす物質をブロックする薬で、
適応症は「気管支喘息」と「アレルギー性鼻炎」。
 最近は発売されて年数が経ったので、
いわゆるジェネリック薬の製造販売が認められています。
要するに特許期間が切れたので、コピー薬を他のメーカーも作っていいというわけです。
一般名「プランルカスト」といいます。
 当院は院外処方ですが、ジェネリック薬は患者さんの希望により
先発品に変えて処方していいですよ、という形にしてます。
 先日戻って来た、保険審査でこの「プランルカスト」が大量にカットされちゃいました。
 理由は病名漏れ。
 「オノン」は「気管支喘息」と「アレルギー性鼻炎」の両方の適応があるが、
同じ薬ではあるが、後発品「プランルカスト」は「気管支喘息」の適応しかないため。
 全く同じ薬でなんでこんなことがあるかというと、
「オノン」は発売時にまず「気管支喘息」の適応をとり、その後、臨床試験をして
遅れてアレルギー性鼻炎の適応が追加になったわけです。
 この時間差があるから、「気管支喘息」の「プランルカスト」は許可になっても、
「アレルギー性鼻炎」では「オノン」は通っても「プランルカスト」は保険が通らない。
 もちろんその辺はわかってたので、病名のチェックなんかはしてましたが、
常識的に考えて、まあ、大丈夫でしょうとは思ってました。
「オノン」で出しても、薬局でジェネリックに変更される場合がほとんどなので、
すべてチェックできてなかったこともあります。
 カットされると、病院のほうがその差額をすべて負担します。
薬局や、もちろん患者さんには負担なし。
 けっこう痛いですね。
件数が多いし、薬の性質上長期に出すことの多い薬なので、かなりの金額です。
 しかも、適応症は同じ薬なのでその後「プランルカスト」は臨床試験等をしなくても、
時間が経過すれば自動的に適応追加になります。
 その適応追加になったのがなんと、先月なのだ。
 それが、今月になって急に過去数ヶ月分に遡ってきられちゃいました。
 だから先月分からは、この薬、「アレルギー性鼻炎」で、堂々と保険が通るわけです。
 うーセコイぞ、意地悪すぎ。
先月からOKだってこと知ってて、その前までをカットしてるわけでしょ。
 例えていうなら、見通しのよい道幅の広い道路を、
流れにのって70km/時で走ってたら
スピード違反でつかまっちゃった。
しかもその道は来月から制限速度が80km/時に変更されることが、
すでに決まってる、みたいな。
 もともと政府としては、医療費を削減するためにジェネリック薬を推進する運動してるわけなのに。
 まあ、こちらに非はあるので、泣き寝入りですが、
もっと無駄な薬使ったり、いい加減な処方したりしてるやつらを何とかしろー、
と、心の中で叫んだりします。

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2009.11.10

タミフル・ドライシロップについて

 ついに怖れていた事態が・・・。
 今日の連絡で、タミフルドライシロップが在庫薄だという事らしい。
 ここんとこの新型の猛威で、需要が急速に増大したためだろうが、
これは厳しい。
 一説には「予防投与」と称して、タミフルをばら撒いたアホ医者にも責任の一端があるかも。
 先日、予防投与の危険性について当ブログで述べ、
(「インフルエンザ困った話」参照。)
その後実際に医師会を通じて、「予防投与」をしないように文書が流れた。
 しかし、その通達の後に来た患者さんでまた「別の小児科医院」で
いまだにタミフルドライシロップが予防と称して、処方されていた。
まあ、ココのセンセイは他の点でもいつも、ちょっとアレなんだけど。
 また、医療機関等での「買占め」もあるのかもしれないが、
これについては、お上が目を光らせてるはず、だが。
 今日来た問屋さんの話によると、
急にタミフルを販売するメーカーの人が問屋さんに顔を出さなくなったらしい。
 ここんちは数年前のトラブルの時も急に姿をくらましたとのことだ。
 あの年は本当に大変だった。
タミフルの消えた冬」参照。
 今のところは「リレンザ」や「タミフルカプセル」に関しては、安定して供給されるらしい。
 カプセルが飲めず、吸入ができない子供に対しては、
また数年前のように、薬剤師のコミネ君にお願いして、
カプセルを割って調剤してもらうことになるかも。
 念のため言っとくけど、
リレンザが上手く吸入できない子に、喘息などで使う「吸入器」に入れて
吸入させるのはゼッタイダメです。
 これ実際にアメリカで死亡例があり、リレンザは吸入器で使わないで、
という通達が出ています。
 またぞろ、そーゆーことを知らないお医者さんがいないともいえない。
「タミフルが無いんで、リレンザを、いつも使ってる吸入器に入れて吸ってみるか。」
などといわれても、しないように。
 季節性のインフルエンザの時までに、タミフルドライシロップが間に合えばいいのだけど。
やはり、季節性の予防接種はしておいたほうがいいでしょうね。
もっとも、こっちもなくなりそうな勢いだけど。
 ともかく、皆さん、くれぐれも 冷静な対応 を。
全員が協力してこの事態を乗り切りましょう。
 我々もあらゆる手段を尽くして、全力で努力しますので。

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2009.11.09

PRIDE OF URAWA


 さて、今年もアウェイのFC東京戦がやってきた。
 ウチの近くの調剤薬局の本部が府中にあるので
毎年、この試合のときは、飲み会+試合が恒例になってる。
 今年は日曜日なので前日から乗り込んで、まず、飲み会なのだ。
 「かんぱーい。」
 「今年もがんばるぞー。」
 いつも、盛り上がりすぎて、ついつい飲みすぎて二日酔い
ということがままあるので、
「今年は、大人らしく、バカのみはやめよう。」
と語り合いながら・・・・・
 ・・・・・朝4時まで飲んだ、・・・らしい。
 ホテルのベッドの上で(つまりベッドの中でなく)
目を覚ましたのが、というより意識を取り戻したのが、10時前。
(ビジネスホテルなので確かチェック・アウトは10時だった。)
 こうしてはいられない。
大事なのは今日なのだ。


 2009年J1第31節
   FC東京    0-1    浦和レッズ   (味の素スタジアム)
      (前半  0-0)
      (後半  0-1)


 試合開始前にちょっとしたトラブルが。
 SS席のチケットを奮発したため、アウェイ側が完売で、
ホームのFC東京側しか手に入らなかった。
 まあ、SSだからほぼ真ん中だし、カンケーねーや、と思っていた。
 ところが、警備員がやってきて、
ホーム側でレッズのレプリカはダメなので
脱いでくれという。
 なんてこった。
 以前もこのスタジアムはメインでLフラッグ振っていたら、禁止なのでやめろといわれたことがある。
 だって、アウェイ完売だからしょうがないじゃん。
「レプリカ脱いでください。」
「やです。」(即答)
「じゃあ、ココでは観戦できません。」
「じゃあ、このチケットでゴール裏行ける?」
「このチケットではダメです。」
 こちらとしてはゼッタイレプリカ脱ぐ気はない。
っていうか、そう言われたらかえって意地でも脱がんぞとムキになるわけだ。
このレプリカは俺たちの誇りだ。
 ともかくラチがあかないので
その席を離れ、レッズ側に移動。
で、我々の代表者がもっとエライ人のところに交渉に行った。
 交渉の末、なんとアウェイ側のSS席をゲット。
予備だかキャンセルだかわからないが、
なんだ、空いてるんじゃん。
 で、無事(?)試合開始。
 試合はFC東京にほぼ支配されていた。
 しかし、火曜日にオレオとチップスターでお腹一杯になったFC東京は
もう一歩の貪欲さに欠ける。
チャンスは作るがゴールは奪えない。
 でもまた相手に合わせるレッズのくせで、
さらに一枚下を行くのがレッズのサッカーだ。
 試合が動いたのは後半。
 レッズのサッカーに変化が見られた。
タテへの速いパス交換が出てきた。
そのチャンスではゴールならなかったけど、
その直後、峻希のクロスをエジが見事なボールコントロールでゴール!
ういた球をよく我慢してシュートをふかさずワクに運んだ。
 ところが、その直後、元気が2枚目のイエローで退場してしまう。
 しかし、私はこれがかえってよかったのでは、とも思う。
 数的不利を負ったことで、チームの意思統一ができて、選手の集中が高まったのでは。
 5年前のナビスコ決勝でジャーンが退場したFC東京がウチ相手に見せたような・・・。
(いや、それは思い出したくないが・・・。)
 もちろん、忘れちゃいけない、ギシのファインセーブ連発!
 
 そして、ついに歓喜のホイッスルが。
 喜びの面々。
PB080009_ks.jpg
 そして、瓦斯戦といえばこいつ。
PB080010_ks.jpg
 FC東京サポのY君。
ここんちも一家そろっての瓦斯サポなのだ。
(FC東京は前身が東京ガスなのでサポーターは通称「瓦斯サポ」と呼ばれます。)
以前試合前に家族4人づつ全員レプリカ着用で会食したこともある。
イタリア料理屋でテーブルを挟んで半分は真っ赤、半分は青赤。
 今日も娘さんに浦和大嫌いって言われたけど、私はFC東京大好きです。
確実に勝ち点を稼がせてくれるので。
また来年もよろしくね。
 ふふふ。

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2009.11.06

滲出性中耳炎の手術


 あー、今日の午後は疲れたぞ。
 インフルエンザは依然として猛威をふるってるし、
風邪引き、ハナタレから中耳炎になる子も増えて来た。
 しかも、金曜の夕方は滲出性中耳炎の子の手術が多い。
 鼓膜切開をした場合、耳だれなんかが出ちゃうことがあるので、
翌日診察をすることにしてる。
 すると、親の仕事の関係で平日なかなか来院できない子は、
金曜日の夕方切開して土曜日に再診、なんてパターンが多いのだ。
 特に今日は鼓膜切開が1歳と2歳の2名3耳あったが、
あらかじめ予定手術として4歳児の鼓膜チューブ留置が入ってた。
 Sちゃんは4歳の女の子だが滲出性中耳炎がずーっと治らない。
 これまでに鼓膜切開を両耳3回づつしたけど、
いずれも粘っこい滲出液が満タン。
 そして、その穴が開いてるうちは良いが閉じるとともに水がたまっちゃうのだ。
 それで、チューブ留置を勧め、2週間前に右側を手術。
左は先週の金、土でやるはずだったが、
先週私のほうでお通夜に行く用事が入っちゃったので今日になった。
 問題はSちゃん、あばれ方が半端じゃない。
 診察で耳を見るだけでも大暴れ、お父さんはいつも汗だくだ。
 普段はおとなしいが診察台に座ると突然豹変する。
エクソシストとかあんな感じだ。
2週間前の手術もそれはそれは大変だった。
 それでいて、家では妹(今日の鼓膜切開の2歳児)と一緒に
「ジビカごっこ」をしてるらしい。
「ハイ、お耳、みてみますね。」なんて。
実はこの妹も大暴れムスメなのだ。
 今日もSちゃん、鼓膜麻酔まではおとなしくさせるのだが、
いざ診察台に来ると大暴れ。
 麻酔をすると耳の痛みは全くないのだが、
恐怖心で激しく全身を使って抵抗する。
 スタッフ4~5人で抑えるが一瞬たりともじっとしていない。
ものすごい力だ。
 ちなみに家での「ジビカごっこ」では、あばれるシーンは入ってないらしい。
 何とか耳垢を取り、まず鼓膜切開。
 視野を確保するまでが一苦労だ。
 顕微鏡を動かしながらタイミングを待つ。
 コンマ何秒の隙を見てメスを入れる。
 果たしてドロドロの滲出液が充満。
吸引管でもなかなか吸いきれない。
やっぱ、こりゃ、チューブ必要だよねー。
 さて、こっからが問題だ。
 子供の細い耳の穴の奥の鼓膜に正確にチューブを入れるのはなかなか至難の業だ。
 研修医では全身麻酔で20分で入れられれば上出来だが、
局所麻酔ではそんな悠長なことは言ってられない。
 私は訓練の甲斐あって3秒あれば入れられるようになった。
 しかし、今日のSちゃんの動きは半端じゃない。
3秒間も止まってはくれないのよ。
「オウチ、カエルー」
「ほら、もうちょっと、がんばってー。」
「ぎゃー。」
「Sちゃん、みーっつ数えようか。いーち、にー・・・」
「イーヤダー、おかね、ハラウー。」
 ちなみに「お金払う」とは、いつも診察後お会計すると帰れるので、ということらしい。
金でこの一件を示談に持ち込む、という意味ではないようだ。
 みんなで押さえること2~30分。
私は顕微鏡を動かしながら、ずっと鉗子をもって、チャンスを待ってる。
 そして、一瞬止まった隙を見てチューブを挿入。
その間1秒足らず。
「よし、入った、みたい。」
 しかし、その後もチューブがちゃんと入ってるか確認するのに
大暴れが止まらず、またしばしみんなで格闘した。
 無事入ってました。
 めでたくチューブの入った鼓膜の写真を撮り、
同じファイルにSちゃんのピースサインをしてる顔写真も取り込んだ。
2週間前の写真は泣き顔だったけど、
今度チューブが入ったらピースサインするって、お母さんと約束してきたらしい。
 いやー、Sちゃん、良かったねー。
これでお耳がよく聞こえるようになるぞー。
ピアノも上手になるぞ。
 それにしても、粘り強くがんばったスタッフの皆さん、そしてお父さん、
大変ご苦労様でした。
 きっと、明日はみんな筋肉痛だ。
 Sちゃん姉妹、今夜は「ジビカごっこ」、するんだろか。
きっと、疲れて、すぐ寝ちゃうね。
 おやすみなさい。

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2009.11.05

CRPライブのお知らせ

 さて、我らがオヤジバンド「CRP」ですが、
来る12月5日(土)に、ライブを行います。
 今回はグリーン・デイの新アルバム「21世紀のブレイクダウン」からの新レパートリーを織り交ぜ、
目一杯、ロケン・ロールしますので、よろしく。
 場所は足利織物会館地下GOKURAKU-YAです。
7時過ぎ開場、8時過ぎ開演の予定です。
 場所はココ「GOKURAKU-YA」。
 要するに小倉耳鼻咽喉科から歩いて1分の距離です。
この地図だと織物会館の真ん中にピンが立ってますが、
北側の建物の外の階段から入るので注意してください。
ご来場の方は当院駐車場利用していただいてもOKです。
 入場無料、ドリンクも無料、どなたでもお越しください。
轟音に弱い方は耳栓持参をお勧めします、耳鼻科医としては。
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2009.11.04

新型インフルエンザの予防接種について


 季節型インフルエンザの方は毎日予防接種してますが、
新型インフルエンザの予防接種医療機関が
ようやく我が栃木県でも発表になりましたね。
 関係ないけど、患者さんの中に
「季節風インフルエンザの予防接種お願いします。」
と、おっしゃる方がいた。
 「きせつふう」って・・・・・、
今、秋だから注射器にキノコとモミジでも添えようかしら
などとフッと想像したりして。
 さて新型の接種機関は栃木県のホームページで閲覧できますし、
おそらく明日付けの朝刊にも載るらしいです。
 足利市でも当院を含め多くの医療機関が載ってます。
 今後、優先接種に該当する基礎疾患を持つ方の接種がまず開始されます。
 原則として、入院あるいは通院してる医療機関での接種となるので、
とりあえず当院で該当する方はほとんどいないと思いますが。
 妊婦さんのほか、慢性呼吸器疾患、慢性心疾患、慢性腎疾患、慢性肝疾患、
神経・筋疾患、血液疾患、糖尿病、免疫抑制状態、小児の慢性疾患です。
 これらの病気をお持ちでしかもその病院が新型の接種を行ってない方については、
当院でも接種可能ですが、その場合、主治医の証明書が必要です。
 間違いやすいのが、慢性呼吸器疾患のうち「喘息」ですが、
「気管支喘息」で継続して治療を受けているか、治療を受けてなくても
定期的に経過観察で受診してる方などですから、
「風邪を引くと喘息っぽいね、とか喘息様気管支炎だね、といわれる。」とか、
「この子は喘息の『ケ』があるね、といわれた。」程度の方は該当しませんのでご注意を。
 しかし、「免疫抑制状態」には
「プレドニゾロン換算5mg/日以上のステロイドの継続使用」
という記載があるので、
某皮膚科で
「抗ヒスタミン剤」という説明で「セレスタミン」を朝晩飲んでる人は該当しちゃうのか?
 突発性難聴でステロイドを飲んでる方は持続的ではないので関係ありません。
 しかし、今回のインフルエンザ騒ぎで、
毎日のように国や県からの膨大な書類に目を通さねばならない。
しかし、その書いてある文章がわかりづらいこと。
 重要な点と、どうでもいいことが雑多に羅列されてるし、
文章そのものも、要領を得ないものが多い。
火災保険の約款みたいで、読む気が起きない。
 ああ、大人になってからこーゆー文章に出会うから、
それで、小中高とあんなにいっぱい国語の授業があったんだな、
と感じる今日この頃。
 それにしても、オメーラの方はちゃんと国語勉強したのかよ。
もっと、文章を簡潔、明瞭に書けねえのか、とも思ってしまう。

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2009.11.03

ギネの発音


 ここんところ何でサッカーないかしら。
代表の試合もないのに・・・。
 なんて思ってたら、アジア・チャンピオンズ・リーグ、天皇杯、今日はナビスコ決勝か。
 なーんだ、みんな今年はレッズは負けちゃったんだ。
 と、急に寂しさを実感する。
心に吹き抜ける秋風。
 さて、インターネットで、あるお医者さん専門の掲示板があります。
 時々覗くのだが、先日、そこであることが話題になってて、
今、「ギネ」というドラマやってるらしいですね。
 いや、見てないんすけど。
 ドラマの内容もさることながら話題の一つに「ギネ」のイントネーションがある。
 「ギネ」とは、ギネコロジー(婦人科)から来た医者の俗語で
一般に産婦人科のことを指します。
産科はトコロジーですので、ギネは婦人科という意味ですが、
一般に業界ではギネで産婦人科を指します。
【用法】「あのギネの教授、実はすっごいスケベらしいぜ。」
 で、我々はこれを「ギネ↑」と発音するのだが、関西では「ギネ↓」と発音するらしい。
文字で書きにくいですな。
 つまり関東では「飴」の感じで「ギネ↑」と発音し、
関西では「雨」って言うように「ギネ↓」というらしい。
あ、ひょっとしたら関西では「飴」と「雨」も、また関東と違うのかも・・・・。
【用法】「あのギネ(↓)の教授、ホンマはごっつうスケベいう噂やで。」
 
 やっぱり、ソバとウドンみたいにこれも関が原当たりで分かれるんでしょうか?
 この手の業界用語では
「泌尿器科」を「ウロ」、「皮膚科」を「デルマ」などといいます。
「精神科」を「プシコ」ということも稀にあります。
 我が耳鼻咽喉科は「Oto-Rhino-Laryngology」なので「オト」なんていう人もいますが
一般的ではありませんね。
耳鼻科医でそういう言い方をする人は聞いたことないです。
フツーに「ジビカ」とか、
カルテには「ENT(Ear-Nose-Thrort)」(英語)か
「HNO(Hals-Nasen-Ohren)」(ドイツ語)の略語で書きます。
 ちなみにこちらで「ギネ」は「ギネ↑」ですが「ウロ」は「ウロ↓」です。
関西では逆に「ウロ↑」なのかしら。
 今度、ウロやってる弟に訊いてみっか。

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2009.11.01

50番目の秋


 家の窓から見える、毎日犬の散歩に行く織姫山を見ると
木々が大分色づいてきました。
 この時期になると思い出す歌があります。
 岡林信康の「26番目の秋」。
「山は赤く、赤く色づいて~」
で始まる歌です。
 1973年発売。
当時中学2年生で「フォーク少年」だった私は
モーリスのギターかきならしてよく歌ったもんです。
まだ、私的には「ロック前夜」だったわけで。
 歌詞は病院におばあちゃんを見舞いに行って胸がつまる思いをしたとか、
姉に2人目の子供ができて、などという内容で、
当時14歳だった私には「26歳ってすげージジイだなー。」
と、遥か未来の事に思えたのですが、
ふと気がつけば、自分は
・・・・・「50番目の秋」。
 「角松や 冥土の旅の一里塚」
と詠んだのは一休ですが、私は10月になると似たようなことを考えます。
 私の父の命日は10月10日、母は10月9日です。
 特に、私が高校生の時に亡くなった父はやはり耳鼻科医で、9日の夕方まで診察してました。
その夜、突然胸部痛を訴え、翌日のお昼には亡くなってしまいました。
急性心筋梗塞、57歳でした。
 だから、10月になると死とか人生とかを考えてしまいます。
ついでに祖母も10月に亡くなってるので、
オレ多分死ぬとしたら10月だろう、とか。
 まあ、人間は生まれながらにして死刑宣告されてるみたいなもんですから、
その限られた時間をどう生きるか、なんてことを考えたりします。
 生物としての人間の使命は「種の存続」ですから、2人の子供がいるので
そのノルマは、まあ、果たしてるなとか。
 一方人間は社会的生物ですから、社会に対して使命を果たしたかというと・・・。
 そもそも医者という職業は一人前になるまでに
相当の時間とコストを社会からお借りしてるわけで、
後に、それを、どんどん社会に還元しなくちゃいけない。
(まあ、手前が一人前かということについては、ココでは伏せておくとして。)
 と、思うと、オレはマダマダだなーと思うわけだ。
 とりあえず、我が家の「鬼門」である10月が終わり、
今日から11月になりました。
 また1年、がんばります。

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医療系をまとめました。
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