ロックな耳鼻科:小倉耳鼻咽喉科医院院長、小倉弘之が日々思うこと。

2009.11.13

査定くらっちまった


 「オノン」という薬があります。
 ロイコトリエンというアレルギーを起こす物質をブロックする薬で、
適応症は「気管支喘息」と「アレルギー性鼻炎」。
 最近は発売されて年数が経ったので、
いわゆるジェネリック薬の製造販売が認められています。
要するに特許期間が切れたので、コピー薬を他のメーカーも作っていいというわけです。
一般名「プランルカスト」といいます。
 当院は院外処方ですが、ジェネリック薬は患者さんの希望により
先発品に変えて処方していいですよ、という形にしてます。
 先日戻って来た、保険審査でこの「プランルカスト」が大量にカットされちゃいました。
 理由は病名漏れ。
 「オノン」は「気管支喘息」と「アレルギー性鼻炎」の両方の適応があるが、
同じ薬ではあるが、後発品「プランルカスト」は「気管支喘息」の適応しかないため。
 全く同じ薬でなんでこんなことがあるかというと、
「オノン」は発売時にまず「気管支喘息」の適応をとり、その後、臨床試験をして
遅れてアレルギー性鼻炎の適応が追加になったわけです。
 この時間差があるから、「気管支喘息」の「プランルカスト」は許可になっても、
「アレルギー性鼻炎」では「オノン」は通っても「プランルカスト」は保険が通らない。
 もちろんその辺はわかってたので、病名のチェックなんかはしてましたが、
常識的に考えて、まあ、大丈夫でしょうとは思ってました。
「オノン」で出しても、薬局でジェネリックに変更される場合がほとんどなので、
すべてチェックできてなかったこともあります。
 カットされると、病院のほうがその差額をすべて負担します。
薬局や、もちろん患者さんには負担なし。
 けっこう痛いですね。
件数が多いし、薬の性質上長期に出すことの多い薬なので、かなりの金額です。
 しかも、適応症は同じ薬なのでその後「プランルカスト」は臨床試験等をしなくても、
時間が経過すれば自動的に適応追加になります。
 その適応追加になったのがなんと、先月なのだ。
 それが、今月になって急に過去数ヶ月分に遡ってきられちゃいました。
 だから先月分からは、この薬、「アレルギー性鼻炎」で、堂々と保険が通るわけです。
 うーセコイぞ、意地悪すぎ。
先月からOKだってこと知ってて、その前までをカットしてるわけでしょ。
 例えていうなら、見通しのよい道幅の広い道路を、
流れにのって70km/時で走ってたら
スピード違反でつかまっちゃった。
しかもその道は来月から制限速度が80km/時に変更されることが、
すでに決まってる、みたいな。
 もともと政府としては、医療費を削減するためにジェネリック薬を推進する運動してるわけなのに。
 まあ、こちらに非はあるので、泣き寝入りですが、
もっと無駄な薬使ったり、いい加減な処方したりしてるやつらを何とかしろー、
と、心の中で叫んだりします。

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