ロックな耳鼻科:小倉耳鼻咽喉科医院院長、小倉弘之が日々思うこと。

2009.10.22

インフルエンザ、困った話


 【その1】
 昨日来た、患者さん(女性、成人)の話。
 37度台の熱があり体がだるい、とのこと。
 「周りにインフルエンザの方はいましたか?」
 「高校生の息子が先週39度までの熱が2日続いたんですが、
近くのお医者さんでインフルエンザではないといわれました。」
 「学校ではどうなんですか。」
 「それが、息子のいる2年生はそうでもないんですけど、1年3年は大分多いという噂が・・・。」
 「噂?」
 「学校側が公表しないんです。」
 話としては、その高校(足利市内ではない)では、1年生、3年生に
インフルエンザと思われる多数の欠席者があるのに、
保護者には特に連絡をせず、修学旅行なんかも行っちゃったらしい。
最近、世の中でインフルエンザが流行ってるので注意しましょう、
というプリントが来ただけだという。
 
 これ、ダメですね。
 風評被害を防ぐため隠蔽した、としたら問題ですね。
 こういう、社会に影響を与える情報は、なるべく早く、広く、正しく伝えるべきです。
 自然災害でも、事故でも、伝染病でも「正確な情報」が、最も重要です。
 【その2】
 そして、今日の午後来たアレルギー性鼻炎の小学5年生の男の子。
「また、鼻炎出てきたね、お薬出します。」
すると、お母さんが
「この子、お姉ちゃんがインフルエンザだったので、予防してるんですが。」
「予防?」
「ええ、リレンザを。」
「リレンザ!この子なんか病気あったっけ、腎臓とか糖尿とか・・・。」
「何もないです。」
「何か症状あるの?」
「咳ひとつしません。」
「だー、どこの病院?」
「×××です。」
「また、あそこか。ひょっとして、お姉ちゃんは他に薬何か出てる?」
「トミロン出てます。中耳炎とかにならないようにって。」
 あー、全く話にならん。
 新型インフルエンザで耐性ウイルスが出てるから、
タミフル、リレンザの予防投与は控えるようにと、
WHO(世界保健機構)が通達を出したのは9月のこと。
それを受けて、厚労省も同様の勧告を行っている。
予防投与のリスク」「アメリカCDC」参照。
 その前、7月に大阪で見つかった新型インフルエンザの耐性ウイルスも、
予防投与を受けていた40代の女性教諭だった。
 そもそも、季節性のインフルエンザでも予防投与は、
ごく限られたハイリスクの場合しか認められてないし、それも保険適応はなく自費扱いだ。
 
 なんか、こんな話聞いて、情けなくなってガックリきて、
そのあと、夕方、仕事するのがしんどかった。

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