ロックな耳鼻科:小倉耳鼻咽喉科医院院長、小倉弘之が日々思うこと。

2009.03.19

ガマンしちゃイカン

 忍ぶれど 次々出にけり 我がくしゃみ 花粉症かと 人の問うまで
 【解釈】今まで花粉症であることを隠してガマンしてきたが、
      くしゃみが連発で出てしまい人に気づかれてしまった
      「花粉症なのですか」と人に尋ねられるほどに。
 【解説】「忍ぶ」は「隠す」「ガマンする」ですね。しかし花粉症はガマンしてはいけません。
     マスクしないでいると、かえってくしゃみが連発で出て、周りの人に迷惑をかけます。
     この歌の構造は「倒置法」です。
     「忍んでたんだけど、花粉症かと人の問うまで、次々と~出にけり」という構造ですね。
     和歌には多い手法で「ちはやぶる 神代も聞かず・・・」などでも使われています。
     印象を強めたり、ドラマチックな展開になります。
  〔用例〕「愛しています、心からあなたを。」
      「大キライだ、花粉症なんて。」
      「もしもし、今?耳鼻科、小倉。ちょー混んでるし。」
 昨日は各地で卒業式が行われたはずです。
良い天気でポカポカ暖かく、
「ああ、お母さん方、ちゃんとマスクしてったかなー。」
と、朝から不安で仕方ありませんでした。
 昨年も、早くからきちんと薬を飲み、マスク、帽子、ウインドブレーカーもかかさず、
ずっと調子良かった花粉症の患者さんが、
娘の卒園式で、半日マスクをしなかったばっかりに、その後ずっと症状が続いた、
ということがありました。
 花粉症、アレルギーとは免疫の暴走です。
体に全く無害な「花粉」を「体に有害な物質」と誤解し、
くしゃみで吹っ飛ばそう、鼻水や涙で洗い流そう、ハナを詰まらせて体に入らないようにしよう、
としてるわけです。
 花粉症の人は花粉に対する抗体という物質を持っています。
抗体はマスト細胞という白血球にくっつきます。
これは、まあ地雷みたいなもんでここに花粉がくっつくと
マスト細胞が破裂して、くしゃみや鼻づまりを起こす化学伝達物質を撒き散らすわけです。
 抗体は血液中をめぐってますが、スギ花粉襲来の情報を受けると
鼻や目の粘膜に集結します。
「地雷」を敷設してスギ花粉の侵入に備えるのです。
さらに花粉をいっぱい吸い込むと体が指令してこの「地雷」の数を増やします。
軍備を増強するわけです。
そうすると少しでも花粉が来ると次々に爆発。
 場合によっては花粉以外の刺激でも「誤爆」します。
温度変化とか、機械的刺激とか。
お風呂から出たあとにくしゃみ止まんないとかね。
 一旦、この戦争状態になっちゃうと、武装解除までかなり時間がかかります。
 だから花粉症は、「ひどくなったら薬を飲む」ではダメです。
「症状が出ないようにコントロールしていく」のが大事。
 半日くらい、大丈夫だろう、と甘く見ると命取りです。

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