ロックな耳鼻科:小倉耳鼻咽喉科医院院長、小倉弘之が日々思うこと。

2009.02.15

東風(こち)吹けど、匂いおこすなスギの花

 昨日、(14日)花粉飛びましたね。きっと。
 朝、イヌの散歩行くと、雨上がりで生暖かい。
んー、花粉飛ぶな。
私自身は花粉症はないが、長年の勘でわかっちゃうのだ。
 耳鼻科医になってから、やたら天気、気象に詳しくなります。
花粉症にしろ、インフルエンザにしろ、プール熱、ヘルパンギーナ、手足口病etc.
耳鼻科の病気の診断には季節的な背景が大事。
(もっとも、最近は真冬に手足口病をみるけど。)
 天気予報は、毎日必ず見る。
特に、天気図が良くわかるようになる。
今日は晴れです、とかではなく、低気圧がどうの、等圧線がどうの、
で天気がイメージとしてつかめるようになる。
 週間天気も大事。
特に、これから花粉症の季節は、1週間分の天気くらいは暗記してないとダメ。
毎日ドキドキしながら天気予報見てますね。
あー、こりゃ週末は大変だぞー、とか。
 スギ花粉は前年の夏の気温、日照で決まりますので、夏も天気が気になります。
個人的には、夏は暑いほうが好きだったのですが、スギ花粉が夏の気温に影響すると知ってからは、
暑い夏は、心情的に複雑です。
真夏から、来年の春の花粉を気にしてるって人は花粉症の方でも少ないかも。
 まあ、そんなわけで、今日からは家族のために、
花粉症のない私も、外出の際には帽子、ウインドブレーカーは必ず着用します。
今日も花粉が多そうです。
患者さんの皆さんも、ちゃんとガードしてくださいね。

 
 

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2009.02.13

ウチの先生って、どうよ。

 先日、私が過去に書いたブログについて、ある看護師の方からコメントを頂きました。
右にある「最近のコメント」欄をクリックするとご覧になれます。
 かわいそうなのはこの方が日々疑問とストレスを感じながらお仕事されてることですね。
 医療機関に勤めてる場合、特に看護師さんなんかだと
「ウチの先生の実力」が、何となくわかっちゃうと思います。
 「あー、こんな治療じゃダメだな。」
 とか
 「こんな検査は必要ないだろ。」
 とか
 「ウチの先生は金儲けのことしか考えてないみたい。」
 とか
 「かわいそうに、ウチなんか来ないで○○病院行けばいいのに。」
 てなとこで仕事してる人、看護師さん、事務員さん、薬剤師さんはツライですね。
仕事に張り合いが出ません。
サラリーのために働いてるとはいえ、
やはり、患者さんのためになってる、という満足感は大事なモチベーションです。
 患者さんの良くなった笑顔を見るのは何よりの幸せですし、
他院にかかっていて、知り合いに噂を聞いてウチの病院に来た、なんて人が来ると
「よかったですねー、ここに来て。」と、心から喜べる。
 そういうところで仕事したいものですよね。
 と、ここまで書いて、急に、ウチ、大丈夫かいな、と気になったりして。
一体、職員は私の実力を信用してんだろうか・・・。
 そーいや、ちょっと前、近くの某同業者のとこに勤めてる女の子がウチかかってたなー。
実はそこの職員で当院にかかってる人は過去にも何人かいた。
いろんな事情で、コッチ来るのもまあ、わかるなー、とは思いましたが。
まさか、ウチの職員がむこうにかかってるってことは、ないと思うけど・・・・。
 当院の職員は、
地域に貢献する医療機関に勤めている、という自信と誇りを持って勤務していただいてる、
と、信じたい、・・・です。

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2009.02.12

岡田の秘策

 さて、日本はワールドカップに行けるでしょうか?


 FIFAワールドカップ・アジア地区最終予選 
  日本代表  0-0  オーストラリア代表    (横浜国際競技場)
    (前半  0-0)
    (後半  0-0)


 なるほど、ワールドカップでは「日産スタジアム」って名前は使えないんだ。
 今回の楽しみは、スタメンに闘莉王、田中達也、長谷部そして都築が名を連ねていることだ。
達ちゃんやマコ様はともかく、やっと帰ってきたぞ都築。
キャバクラ・セブンで失脚してから、時々代表には呼ばれるもののスタメンはなし。
それがワールドカップ予選でゴールを守るとは・・・、おじさんはうれしいよ。
このまま定着だー。(と山岸も望んでたりして。)
 さて、ワールドカップ出場を占う大事なこの一戦。
 ・・・・・やっぱ、消化不良ですか。
 確かにパスは良くつながるが、パターンが一定していて緩急がない。
そして、決定力かなー。
遠藤、決めろよー、もっと弱いシュートでもいいからコース狙えよ。
玉田、遅いよ。達也がサイドに切れこんでも、まだペナルティ・ボックス内に来てない。
大久保、長谷部のシュート邪魔するな。まあ、これは、しょうがないか。
 岡ちゃんで大丈夫かなー。
 そもそも私は、昔からあまり岡田監督を評価してません。
 フランス・ワールドカップに出場を決めた後、テレビ番組で岡田監督がゲストに呼ばれた。
「岡田監督、本大会に向けて何か秘策があるんでしょうか。」
たずねられた岡ちゃんメガネをキラリと光らせて
「あります。」
と、きっぱり。
おお、とどよめく会場。
インタビュアーが、
「その秘策とは?」
と尋ねると、
「現代のサッカーはコーナー・キックやフリー・キックなどセットプレーからの得点が多い。
ことにワールドカップのような大きな大会になるとその比率はますます高くなります。」
ふむふむ、なるほど。
「私は、先日イギリスで、このセット・プレーのやり方が数多く解説されてる本を買いました。
これで、大丈夫です。」
だー、そんな本屋で売ってる本なんか秘策でも何でもねーよ。
こいつ、大丈夫か、と思ったらフランスでは3戦全敗でした。
 だから奴が「目標はワールドカップでベスト4」なんつっても、こりゃ全然信用できないのよ。

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2009.02.10

共通の趣味、嗜好

 先週末、妻と東京までアレルギー性鼻炎の研究会を聴きに行きました。
その帰り、2人で上野の科学博物館に寄って来ました。
 実は、我が家「かはく」大ファンです。
 もともと、私も妻も子供の頃から理科大好きだったので、
結婚前も、結婚後も何度と無く「かはく」に足を運びました。
私も、小学生の頃、初めて「かはく」に連れていってもらったときの、
驚きと感動は今も忘れません。
もちろんウチの子たちも大好きですが、今回は2人だけ。
 帰りに「子供になんかおみやげ買いに、ミュージアム・ショップ、寄ってく?」
と持ちかけられ、私が「いいよ。」といった時、
ああ、きっといっぱい買っちゃうんだー、と2人とも覚悟していたはず。
 そう、かはくミュージアム・ショップは我が家にとって宝の山みたいなところです。
見るものみんな、欲しくなる。
 「見て見て、このラフレシア、良くない?」
さすがウチの奥方、目の付け所がいい。
実は、先ほどから私もそれをマークしていた。
 ちなみに「ラフレシア」とは、世界一大きな花をつける植物ですが、
茎も葉も無い寄生植物で、腐肉の匂いでハエをよぶという不気味な花です。
 こーゆーのに目が無い。
結局、ラフレシアと三葉虫とアサヒガニのフィギィアを買った。
 面白い本がいっぱいあるのも、このショップのいいところ。
私が心を奪われたのは「原色 川虫図鑑」という本。
 オール・カラー写真で川にすむ虫、多くはカゲロウやトビケラの幼虫、
が詳しく分類され、紹介されている。
まあ、一般にはゲテモノですね。
でもこういう本があるのがうれしい。
一体何の役に立つのか、何部売れるかわからないが、ともかく作者の熱意が伝わってくる。
 本の「はじめに」として
「この本は川と、川に棲む虫たちが好きで好きでしょうがない丸山と、
昆虫の写真を撮るのが楽しくてしかたのない高井との共同作業によってできあがりました。」
と、あります。
 ねー、素敵でしょ。
 妻をよんで、「ねえ、面白い本があるんだけど、ちょっと高いけど。」
と、見せたら、「あー、オモシろーい。買お買お。」
ってことで、3800円もする本を、購入してしまいました。
 そもそも、彼女のこーいうところに惚れて、結婚したのだ。
フツーの女性なら、気持ち悪いとか、興味なしとかが多いでしょ。
付き合い始めた頃、2人でせっせと恐竜の本なんかを買い集めたものだ。
 帰ってよく見たら、この本、数年前に私が購入した「原色図鑑 野外の毒虫と不快な虫」
と、同じシリーズでした。
これも、なかなかマニアックな本です。
やはり、妻に喜ばれました。
 今回買った本の近くに並んでた
「原色 校庭のクモ、ダニ、アブラムシ」も、買いたかったけど
とりあえずガマンしました。
なんせ、他にもアンモナイトのペンダントやらパラサウロロフスのネクタイやら
二人で2万円以上もいろいろ買い込んじゃったもんで。
(でも、今度買っちゃうかも。
妻も今回買いそびれた
「アルシノイテリウムの頭骨の化石」のフィギィア、
今度は買うって言ってますから。)

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2009.02.09

冬来たリなば、春遠からじ

 さて、2月になり梅が咲き始めましたが、まだまだ寒い日が続きます。
2月の古称である「如月(きさらぎ)」は
寒さが厳しいので服を重ね着する
「衣(きぬ)更に着る」から来たといわれてます。
 しかーし、ここにどんどん服を脱ぎ、すでに春夏の装いになったアホがいます。
 それは、我が家の駄犬「レディア」なのだ。
こいつは柴だけど、ウチ庭が無いので室内犬です。
P2070103_ks.jpg
 12月あたりから抜け毛がどんどん増えてきました。
毎日ブラシで大量の毛が取れる。
その量は半端じゃなく3~4日分ためればもう1匹レディアが出来るんじゃないか、と思うくらい。
 いわゆるアンダーコートのふわふわの毛がなくなり、地肌がだんだん透けてくる。
やせっぽちになっていまや柴犬というよりキタキツネかフェネックかといった趣。
 横向いたりすると、こんな感じで、筋肉の様子までわかっちゃいます。
P2070104_ks.jpg
 毛が薄くて寒いから、朝散歩行く時は震えてガタガタしてます。
ナカナカ布団から出てきません。
 まったく真冬に夏毛とは、こいつの生態リズムはどーなちゃってんだ。
おそらく、原因はこれか?
P2070111_ks.jpg
 冬になってファンヒーターを使い出してから、そのまん前がこいつの定位置。
これだとハウス栽培みたいに体の季節変動がだまされちゃうみたいです。
 それにしても、近すぎ。
鼻、こげるぞ。
 まあ、外国の映画だと
でっかいお屋敷の暖炉の前で大型のレトリバーなんかがくつろいでますけど、
ファンヒーターに柴犬ってのは、サマにならないなー。
 もっとも、ご主人様の方もガウン着てブランデーなめてる代わりに、
フリース着て焼酎飲んでますけどねー。

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2009.02.06

始業時間を遅らせる意味って?

 今週、朝、犬の散歩に行くと、登校する小学生の姿が見えない。
最初は休校かと思ったが、火曜日から今日で4日目なので、さてはあれだなと思い当たる。
 おそらくはインフルエンザ等の流行により「始業時間を遅らせる措置」をやってるわけだ。
 これ、全く誰が考えたんだか。
私自身はあまり効果があるとは思えないのだが。
 そもそもインフルエンザの流行を断ち切りたいのなら土日を絡めて3~4日休校にすれば早い。
大体インフルエンザ1~2日の間隔で感染ってくんだから、3日休めば鎮火する。
 流行するのはインフルエンザの子が学校に来るからで、
始業時間が遅れれば、
ちょっと具合悪いけど短い時間だから行っちゃおうか
なんて子供が増えれば、かえって感染が広がる。
 どう考えても、学級閉鎖や、学校閉鎖に踏み切れない学校側の
日和見的な、お役所的な、お茶濁しの対策といった感じは否めない。
給食だけは食べてもらわないと面倒だ、みたいな。
 夫婦共働きで、子供を送り出してから仕事に行く、なんて家庭は困るだろうな。
いっそ休みのほうが対応しやすいんじゃないかなー。
 満員電車やバスで通学してるなら、時差通学で感染の機会は減るけど、
この田舎じゃあ、その辺はカンケーないでしょ。
教室で全員にマスク配るくらいのことはしてんのかな。
してねーだろーなー。

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2009.02.05

あんな医者、こんな医者

 昨晩はS病院の小児科のS先生と会食。
この先生、学会を機に知り合いになったんだけど、ホントいい先生です。
 診療方針といい、人柄といい、こーゆー先生が近くに開業してればなー、と思います。
 季節柄インフルエンザなんかの話題も多かったです。
特に、私がインフルエンザになった話はウケました。
 その時にも、した話なんだけど、このあいだ来た患者さん(大人、男性)で、
「近医にかかったがのどが痛く、熱が下がらないので来ました。」
という方がいた。
「何ていわれたんですか。」
「インフルエンザの検査をしたんですが、陰性でインフルエンザではないといわれました。」
「ふむふむ。」
「でも、タミフル飲んでください、といわれタミフルと解熱剤が出ました。」
なんじゃ、そりゃー。
で、診てみると「急性扁桃炎」しかも扁桃周囲膿瘍の一歩手前だった。
 何のためにインフルエンザの検査をしたかわかりませんね。
特に家族や職場にもインフルエンザの人はいなかった、って説明したんですけどねー、と言ってた。
まったく、とんでもない医者がいます。
 発熱の患者が来れば、はいタミフルなんっつて、ろくに説明も指導もしてないんだろうなー。
 S先生は子供の感染症もきちんと対応しており、風邪では絶対抗生物質を出しません。
当たり前なんですけど、そういう当たり前のことがわかってない医者が多いのも事実です。
「僕は抗生物質も出さない、熱も下げない、咳も止めない、外来で点滴もしない、
おまけに入院患者の抗生物質はビクシリンなので売り上げが上がらず
院長にはいい顔されないんですよー。」
と笑ってました。
 そんな話で昨夜は盛り上がり、夜遅くまで飲んでました。
 んで、気持ちよく今日の外来を始めると、
滲出性中耳炎の治療中の子が、
「先週、土曜日に熱が出て小児科に行って検査したらインフルエンザでした。」
「ああ、そうでしたか。」
「でもこの子0歳で、まだタミフル飲めないってことで熱が続いちゃいました。」
「そうねー、1歳未満は脳への移行の関係からタミフルダメなんだよね。
でも、インフルエンザはタミフルとか飲まなくちゃなんない病気じゃないからね。」
「ええ、それで、代わりに抗生物質が出ました。」
「!?代わりに、抗生物質が?」
あわてて、お薬手帳を受け取るとメイアクト4日分。
しかも、能書きどうりの通常量だ。BLNARとPRSPの乳児に。
また、ここにも困った医者が・・・。
「あのね、この子はインフルエンザなんだから、インフルエンザの治療をすればいいのよ。
タミフル飲めなけりゃ、水分・栄養補給と保温・保湿・安静で、経過観察だ。
インフルエンザに抗生物質なんておたふくの時に水ぼうそうの薬のむようなもんだ。
むしろウイルス同士だからそっちのが近いかも。(そんなことは無いけど)
0歳児がこんな、半端な抗生物質の飲みかたしたら、中耳炎治んなくなっちゃうぞ。」
てなことを、お母さんに怒ってもしょうがない。
 そもそも0歳の子に熱だけでその日に抗生物質を出すだけでもおかしい。
しかも、この場合はインフルエンザ陽性と出てるのに・・・。
 おまけにこの先生、その前にインフルエンザにかかったその子お姉ちゃんが
別の救急病院でタミフルが出なかったので(その病院はタミフル出さない派)
「何で、タミフル出さないんだー。」
と怒って、何故かやはりメイアクトを処方したという。
 S先生、やっぱこの近くで開業しませんか?

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2009.02.04

備えあれば

 さて、今年もあのいやな季節がやってきます。
そう、スギ花粉症。
 いまや国民病とも言われますが、今年もかなり飛びそうです。
 花粉の飛散量は前年の夏の気温、日照で決まることが近年わかってきました。
昨年は、梅雨明けが早く猛暑でしたが、お盆過ぎに天候不順になったので
花粉の量は平年よりやや多目くらい、というのが私の予想です。
 花粉症は初期治療といって、症状の出る前から薬を飲むことで
アレルギー反応の発現を抑えることが出来ます。
その効果のピークまでに2週間ほどかかるので、
花粉が飛び始める2週間前から飲むのがベストといわれてます。
 患者さんが薬を取りに来ます。
「花粉症の薬をください。」
「どれくらい、出しましょうか?」
「どれくらい出せるんですか?」
「いくらでも出せますよ。」
というと、初めての患者さんはびっくりされます。
 7~8年前ですか、それまで「2週間が限度」だった健康保険の規定が変わって
「医師が必要と認める期間まで」
と、処方箋の限度日数が変わりました。
 当院では、基本的に血液検査をしてるので
スギ花粉症なら2ヶ月間、ヒノキもあれば3ヶ月間をまとめて処方します。
だって、それだけ必要と考えられますからね。
 もちろん、病院の収入とすれば、1~2週間にいっぺん通院してもらった方が
利益が上がります。薬局も、現在は薬価差益(薬の仕入れ値と売値の差)が
原則0円なので、調剤料が稼げないので長期処方は不利です。
でも、患者さんにとってどっちがいいかといえば、長くもらっといたほうがいいに決まってます。
忙しくて薬を取りにいけず、花粉症のピークの肝心な時に薬が切れちゃったら大変です。
そもそも、花粉症の頃の耳鼻科は混んでるので、余りかかりたくありません。
 そんなわけで、当院では必要な分を2ヶ月でも3ヶ月でもまとめて持ってってもらう方針です。
自分がかかるならそういう病院のほうがいいですからね。
患者さんも、受診の手間ばかりではなく、再診料、処方箋料の点で助かるはず。
1年に一回しか会わない花粉症患者さんはいっぱいいます。
 年に一回来て、昨年の状況を聞き、今年は昨年と比べて花粉の量がどうだから、
去年より薬を増やそう、、減らそう、あるいは強くしよう、弱くしよう、などと相談して
今年の分を持ってってもらうのです。
もちろん、花粉症の一般的な注意事項や、最新のトピックスもお伝えします。
 そもそも花粉が飛び出したら、外出は控えたほうがいいので、
そんな時、病院なんか来るべきではありません。
花粉症の治療で病院に来たって、鼻の処置や吸入はあまり意味が無いばかりか
かえって発作を誘発しちゃうので、副鼻腔炎などの感染症を併発した人しか行いません。
 もちろん、薬を飲んでいてコントロールの悪い人や、合併症を起こした人は受診してもらい、
原因と対策を相談します。
 さあ、恐怖のシーズンはもう目前です。
まだ薬とリに来てない人、早く来てくださいね。

2件のコメント
2009.02.02

タミフルの消えた冬

 毎日毎日インフルエンザの検査をし、説明し、タミフルやらリレンザを出し、
あー大変だなーと思うが、今年は薬が確保されてるので助かる。
 5~6年も前になるか、インフルエンザの大流行の年に、薬が無くなっちゃった年があった。
 確か、タミフル、リレンザが出たばっかり。
それとほぼ同時に迅速診断キットが発売され、インフルエンザの治療は大きく変化した。
 タミフル、リレンザは正確にはインフルエンザを殺す薬ではなく、インフルエンザウイルスの増殖を阻止する薬。
これが、めちゃめちゃ効くので医療関係者は驚愕したのだった。
フツーなら5~7日続く熱が1~2日で下がる。
 ところが、これが流行期の真っ只中、突然品切れになっちゃったんです。
卸のヘリコ堀越君に
「なんか、関西でタミフル品薄なんだって?大丈夫?」
「いやー、先生、こっちは大丈夫ですよ。」
と胸を張った彼の舌の根も乾かないうち・・・
「先生、スイマセン、突然なくなりました。」
「がーん。」
 どうも、タミフルがなくなちゃったのは、まとめて抱え込んじゃった病院があるせいだったらしく、
似たようなことがインフルエンザワクチンで起きた年もありました。
 とすると、薬局の在庫が問題になってくる。
インフルエンザは猛威を奮い、備蓄はどんどん減っていく。
 副院長と薬剤師と相談して、タミフルの投与日数を減らすことにした。
タミフルは5日間投与が原則だが、先ほども書いたように1~2日で熱が下がる場合が多い。
そこで、まず3日処方に切り替え、その後2日処方になった。
その時点で熱が下がらなければ追加を出す、ということで。
 ところが、それでもどんどん無くなる。
まず最初に、子供用のドライシロップがなくなった。
 またまた、薬剤師と相談して、大人用のカプセルを割って中身を出し、
量を計った上で、味付けに乳糖を入れて調剤してもらうようにした。
かなり、薬局的にはメンドクサイ作業だ。
この、薬剤師の小峰君、実は私と同級生だ。
顔と酒癖は悪いが、こういうときは頼りになる。
時々、オレのボトルを黙って飲んじゃう分(?)、こーゆー時はいやな顔ひとつせずやってくれる。
 日曜日に電話がかかってくる。
「今、病院の救急でインフルエンザと診断されたんですけど、薬はないので
どっか、勝手に病院探してくださいって言われたんです。」
全く、2時間も待ってそれじゃあ、かわいそ過ぎる。
「まだ、ウチありますからきてください。」
 終いにはカプセルもなくなった。
 もし自分がかかったら、飲もうと机の中にしまっていたタミフルがあった。
最後の時には
「あー、やっぱりインフルエンザ出てますね。」
「先生、まだタミフルあるんですか?」
「もう、ありません。さっき、終わりました。
でもここに僕用にとっといたのがあるんで、これ、飲んでください。」
って、ちゅうちょ無く患者さんにあげちゃいました。
だって、自分とその患者さんのどっちがよりタミフルが必要かといえば、
どう考えても患者さんでしょ。
 それからは毎日「タミフル探し」です。
 薬局によってはまだ在庫のあるところもある。
そこで、毎朝毎朝事務員に、足利中の調剤薬局にすべて電話をかけてもらい
その日のタミフルの在庫量を確認するようにしました。
 検査でインフルエンザが出たら、朝在庫のあったとこにもう一度電話で確認して
「今から、○○さんという患者さんがタミフルの処方箋を持ってそちらに伺うのでお願いします。」
そして患者さんには
「××町の△△薬局にお願いしましたからすぐ行ってください。」
と、紹介する。
 だって、患者さんに自分でさがせったって、そりゃ無理でしょ。
 ところが、そこでとんでもない問題が起きました。
在庫を、教えない薬局があったのです。
「あるかどうかはお教えできません。」
それは、自分の近くの医院から言われてるのか、薬剤師の自己判断なのか。
中には、「先生にほかの病院からの処方箋では出さないように言われてます。」
などという、ふざけた返答をする薬局もあった。
「なんじゃ、そりゃ!」
 そもそも院外処方箋というのは、日本全国どこに行っても通用する処方箋で
薬があれば調剤しなきゃいけないという法律があるのじゃ。
 そんなことを薬局に命ずる医者も医者だが、それを受ける薬剤師もどアホウだ。
 薬は、病院のためのものでも薬局のためのものでもない、
必要としてる患者さんのためのものじゃないか。
 そういう非常時になるとホント本性が出るってのが、よーくわかりました。
今でも、どこの病院の薬局がどうだったかちゃんと覚えてるぞ。
あそこと、あそこと・・・。(いやーオレ、暗いっすか?)
一方、そんな中、気持ちよく協力してくれたところもある。
実名出しちゃうと、今井病院の前にある「いちご薬局」の薬剤師のクボイさん、その節はお世話になりました。
 そんなある朝、薬局の小峰君から電話がありました。
「オグラ先生、昨日タミフルドライシロップ1瓶だけ入荷したんだ。」
「お♪ラッキー。」
「でも、ゴメン、●○小児科から処方箋が来て出しちゃった。」
「いや、いや、そりゃ良かったじゃん。全然オッケーだよ。必要な人のとこにいったんだから。」
「で、もう無いの。」
「あっそー。早いね。」
「それがあの先生、5日分バッチリ処方箋出すんだよ。」
「教えてあげればよかったじゃん。」
「んで、電話したんだけど全然聞いてくんねえの。能書きには5日間って書いてあるって。」
残念、まあ、しょうがない。また、電話でタミフル探しだ。
しかし、あのセンセイんとこ院内処方なのになー。
 と、そんなわけで、その冬は散々でした。
 最近は薬の供給は安定してるらしいですが、リレンザはちょっと品薄という噂も。
気になるのは新型インフルエンザが発生した時、
ちゃんと各医療機関が、個人の利益ではなく、社会全体の利益を考えて行動してくれるか
ということ。
 過去の経験から、この点、実は、かなり心配、です。

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