ロックな耳鼻科:小倉耳鼻咽喉科医院院長、小倉弘之が日々思うこと。

2009.02.20

花粉症の市販薬(健康食品編)

 さて、今回はその他の民間療法、花粉対策グッズについてのお話です。
 どんなものがあるかなー、と少し検索したら、出るわ出るわで、とてもすべては網羅できません。
主なものについてお話します。
 まずは、食品、サプリメント系。
 花粉症に効く、と最近ブームなモノに「ポリフェノール」があります。
ポリフェノールとは単一の物質ではなく、いろんな物質の総称です。
例えば「糖質」とかみたいな。そんなかに「ブドウ糖」とか「麦芽糖」とかあるわけですね。
 まあ、カテキンやフラボノイドといった物質が「抗酸化作用」があるため、
心臓病の予防にいいとか言われてるわけですが
「抗アレルギー作用」もあり、花粉症にも効く、
ということで、特に「甜茶」はブームです。
 で、どうかというところですが
「有効であるが、効果が出るかはあまり期待できない。」
と思います。
 例えば、焚き火にバケツの水をかければ消えます。
しかし、ビル火災でガンガン燃えてる時に、バケツ1杯の水をかけても何もおきないでしょう。
 効果というのはそういうもので、有効成分があるから効く、というものでは必ずしもありません。
一説にはワインのポリフェノールが花粉症に効果を出すのには
毎日ワインを40本は飲まなければならない、という試算もあります。
 まあ、そういった成分を含んだものを積極的に摂るようにする、という姿勢はいいですが、
「甜茶で花粉症を乗りきる。」というのはどう考えても無謀です。
 さて、そういった市販の食品などの中で、
学会できちんとデータをとって有効性が確認されてるものが一つだけあります。
 それは「ヨーグルト」です。
 リンパ球にはTh1とTh2があり、アレルギーのバランスをとっています。
Th1は主に感染に対して防御機構を強化させ、
Th2が優位な状態ではアレルギーが起こりやすいといわれてます。
 近年、感染症の減少と、抗生物質の幼少時からの多用による腸内細菌叢の破壊は
特に子供にTh2優位な状態を作り、アレルギー疾患の発症を増加させてるといわれてます。
この辺はいわゆる「衛生仮説」という理論の裏づけと考えられています。
簡単に言うと
「クリーンすぎる環境で育つとアレルギーの発症が多い」
という説です。
これ説明すると長くなるので、また別の機会に。
 ともかくヨーグルトにより腸内細菌の状態を改善することは、
「Th/Th2バランスを改善しアレルギーの発症を抑える」ことがわかっています。
 だから、別に「カスピ海ヨーグルト」でなくてもいいんです。
グリコでも明治でも、ヤクルトもOKです。
別に1日に40本飲まなくてもいいみたいです。
 ただ、やはり花粉症のときだけ飲むのではダメで、毎日こつこつ飲む。
さすがにヨーグルト飲んでれば花粉症は平気、ってほどは無理でしょうが、
アレルギー体質がひどく、ダニ、ホコリのアレルギーもあったり
アトピーもありなんて方はある程度の体質改善が期待できます。
 また、肉中心の食生活を魚中心に変えるのも、Th1/Th2バランスの改善に役立つといいます。
 以前、ある患者さんが花粉エキス入りで花粉症に効く、という漢方薬だか健康食品を
通販かなんかで購入して、飲んでました、とやってきました。
年配の女の方でしたが、あー、だまされちゃったのね。
値段を訊くと、これが結構な値段。
詳しくは覚えてないが、1万円以上したんじゃないか。
一説にはこういうものは高いものほどだまされやすいとか。
 花粉を飲んでも、花粉症は治りません。
 やっぱり、怪しげなものは一度耳鼻科で相談してから、がいいですよ。
甜茶入りミント飴くらいならいいですけどね。
 次回「グッズ編」です。

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