ロックな耳鼻科:小倉耳鼻咽喉科医院院長、小倉弘之が日々思うこと。

2008.08.06

ロックな高校生(第10話)

 市民会館大ホールの、緞帳(どんちょう)。
子供の頃から、「オズの魔法使い」や「群馬交響楽団」や「柿山伏」やなんかで
学校行事でここに来て、この緞帳が上がるのを見たけど
(そのあと、公演が始まってからは、途中から客席で大体寝てたけど)
ステージの側から見るのは、初めてだ。
会場は、暗くて、よく見えない。
1曲目は「ストレンジ・カインド・オブ・ウーマン」。
イントロの、ギターとドラムは直前までナカナカあわなかったけど、
E君、今日は、バッチリじゃん。
よーし、いい感じで始まった。
すると、突然ベースの音が消えた。
どーした、O。
間奏のときに様子を見に行くと、
どうも、シールド(楽器とアンプをつなぐケーブル)のトラブルらしい。
早くナントカしろー。
しかし、女子高のNちゃんの件といい、こいつ、ついてねーなー。
その瞬間、ステージの照明が、ストロボに切り替わった。
パッ、パッ、パッと光が点滅するので、ちょうどコマ送りのように姿が消えたり現れたりする。
O君は、がんばってアンプの前で格闘してるが
何か、コマ送りの動きがドリフのコントのように見えてしまった。(すまん。)
そして、何とか復旧。
2曲目は「ラブ・チャイルド」。
曲後半からの、シンセがポイント。
これも練習では、ナカナカあわなくてギターのEと、キーボードのSはケンカしてたなー。
ボーカル的にはこの曲が一番きついので、これが無事終わって、一安心。
で、最後はオリジナル「オールド・キャッスル~」だ。
大きなミスもなく、全体に気持ちよく演奏できた、と思う。
まあ、緊張してて、あっという間に終わっちゃった感じですが・・・。
コンサートが終わって、来てくれた同級生に
「いやー、よかったよ。」
「カッコよかったじゃん。」
と口々に祝福された。
バンドやってる先輩に
「オメーら、よかったじゃん。打ち上げに、飲みいくか?」
と誘われたが、酒も飲んだことのない我々は
「イエ、今日は遠慮しときます。」
と、断り、じゃあ、また、と別れて、おのおの家路に向かった。
帰り道、また、ロンドンブーツでこぎにくい自転車をこぎながら
この数ヶ月の出来事を考えた。
これでバンドも、一区切り、今後はどうなるだろう。
少なくとも、こんな大きなイベントはないだろう
それより親父も死んで、俺はどうする、どうなる。
来年は、受験だし。
夜の街、一人自転車をこいで行くと、もう息が白い。
そうか、女子高のライブの準備を始めた頃は、まだ暑かったけ。
コンサート会場から、まとわりついてきた熱気を、晩秋の夜風が冷ましていく。
来年、再来年の今頃は、オレはどこにいて、何してんだろうなー、
などと考えながら黙々とペダルを踏む、17の夜でした。
~ロックな高校生 ・ 完 ~
さて、長らくご愛読いただいた、ロックな高校生の巻は
今回で、最終回です。
次回作にご期待ください。

3件のコメント
2008.08.06

ロックな高校生(第9話)

さて、そんなわけで、ついにロック・ボックス当日を迎えた。
朝、友達のお父さんの運転する軽トラで、機材を市民会館に運ぶ。
当時のシンセサイザーはやたら、でかくて、重い。
で、そのあと、一旦オレは親父の四十九日だ。
お寺のあと、昼食になり
親戚のおじさん達なんかに
「これからは弘之君がな、しっかりしないとな、ウン。」
「そうそう、早く、お母さんを安心させないとな。」
などと、肩や背中をドスドスたたかれる。
ウチの親父は酒を飲まなかったが、親戚は結構酒飲みが多い。
法要はナカナカ終わらない。
仕方がないので
「スイマセン、ちょっと用事があるので、僕だけお先に失礼します。」
「おお、何だ、塾かなんかかい?」
「・・・イエ、・・・・ちょっとコンサートが・・・。出なくちゃならないので・・・。」
この小倉のバカ息子は大丈夫か、という親戚の冷たい視線を背中に受けて、お店を後にした。
さて、急いで家に帰って、学生服を着替える。
借り物のロンドン・ブーツを履いて、自転車に乗る。
友人が「小倉が市民会館に出るんなら」と、わざわざ貸してくれたものだ。
この友人、何を隠そうOがふられた、かのA 君がいるバンドのリーダーのT。
長い髪を茶色に染めて、くるくるのパーマをかけたTは
実は、私とはロック仲間で仲がよかった。
しかし、このロンドンブーツ。
こりゃ、自転車乗りにくいわ。
かかとと、前の部分が高く、かかとは10センチもあるので
いわゆる土踏まずのところでペダルをこぐのだが、はまって、難しい。
何回かこけそうになってやっと市民会館に着いた。
みんなはもう集まっていて、すぐリハーサル。
「モニター、どうですかー。」
なんて、PAの人に言われても、今までモニターなんぞのあるステージで演奏したことがないので、
何がどうなんだかさっぱりわからない。
分け分かんないうちに、音あわせが終わり、控え室に。
うわー、ケムイー。[emoji:v-309]
出演バンドは大学生のバンドが1つ、社会人のバンドが2つで、高校生は我々だけ。
まじめな高校生だった我々は、もちろんタバコは吸いません。
控え室はタバコの煙もうもうで、ボーカルの私は、中にいられず廊下で待っていた。
そして、夜7時、ついにステージの緞帳(どんちょう)が上がったのだった。
感動(?)の最終回につづく。

コメントはまだありません
医療系をまとめました。
2008年8月
 123
45678910
11121314151617
18192021222324
25262728293031
最近の投稿 最近のコメントカテゴリー アーカイブ