ロックな耳鼻科:小倉耳鼻咽喉科医院院長、小倉弘之が日々思うこと。

2008.06.27

ウエイト・アンド・シー~愛ある医療

 本日午前中来院した1歳ちょいの女の赤ちゃん。
土曜日に熱が出たそうで、某小児科を受診。
昨日今日になり、鼻水が増えたため来院しました。
 小児科かー・・・。[emoji:v-277]
「で、なんか薬飲んでましたか?」
「いえ、何もお薬は出ませんでした。」
 小児科の先生は、顔色、発疹、口の中、聴診など丁寧にチェックして
機嫌もよくハナ、せきもない、とのことで
「突発性発疹かもしれませんね。とりあえず、今緊急にお薬を飲むことはないでしょう。」
と、お話されたとのこと。
発疹は出ませんでしたが、熱は2日程度で下がったそうです。
 むむむっ。できる![emoji:v-278]
 「その、小児科どちらの先生ですか?」
「中三川先生です。」
 あー、やっぱり。さすがですねー。[emoji:v-290]
 ウェイト・アンド・シーという言葉があります。
「とりあえず、何もしないで、経過を見守る。」という方針です。
考えられる経過を説明し、出て来る結果によっての対処法を教える。
 しかし、そのためには注意深い観察と、患者さんに対する愛が求められます。
 「じゃあ、とりあえず薬出しとくよ。」
というのは、いかにも簡単だが、無責任です。
必要がない薬は出さない、というのは実はかなり勇気がいります。
 患者さんは、何かしてもらおうと思って病院を訪れる。
薬が必要ないとわかっても、それを納得してもらうのは至難の業です。
やはり、自分の見立てに自信がないと出来ません。
 それに引き換え、昨日時間外に診た小4の患者さんが昼間かかったという小児科はひどかった。
 ウチには夜、急に耳が痛くなってかかったわけですが、
その日の朝、熱が高いので某小児科受診。
お母さんお話だと
「悪い菌がいないか検査をする。」
といわれたので、溶連菌の検査くらいはしたらしい。
 で、それは出なかったけど、抗生物質のんでくださいといわれたという。
 溶連菌でないならば、抗生物質は必要ないわけで、ここもおかしいんだけど
もっと、すごいことがある。
 その子を見ると、目がまっかっか。
咽頭結膜熱(プール熱)といって、アデノウイルスの感染症で
高熱、のどの痛み、結膜炎をきたす病気が、今 はやってます。
「先生は、目のことについて何か言いませんでしたか?」
「いえ、先生、目は見なかったみたいです。」
「?。だって、処方箋のここに目薬でてるじゃない。」
「いえ、これは薬局に行ったら薬剤師さんに目が赤いといわれ、
薬剤師さんが先生に電話して目薬を追加する指示をもらったんです。」
「・・・・・(唖然)。」
 薬剤師さんが、カウンター越しに一見してわかる目の異常に、その先生が気づかなかったのか。
しかも、診察しないで目薬出してるし。[emoji:v-293]
 早速、この子にアデノウイルスの検査をしたら、果たして陽性反応。
学校伝染病なので、出席停止になることなど長々説明しました。
 そもそも、この子の中耳炎だって、
風邪なのになぜかステロイドの点鼻を出し、どんどん使わせたために
鼻の中の菌が増えて耳に感染を起こした疑いが強い。
この先生、どこでどう間違えたかステロイドの点鼻を、0歳の子から使わせる。
大人でもアレルギー性鼻炎で1日2回までだし、まして風邪の時は禁忌だ。
 まったく、もう。[emoji:e-262]
 という一件が昨夜あってがっかりしてるところに、
別の小児科の先生の真摯な診療姿勢をうかがわせる話を聞いたため
今日は、なんか気分がいいです。[emoji:v-290]
そして、自分もそういう医者でありたいと思いました。
 
 でも、この2人の先生、点数上は明らかに後者の先生のほうが儲かる仕組み。
保険診療の矛盾ですね。[emoji:v-16]

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