ロックな耳鼻科:小倉耳鼻咽喉科医院院長、小倉弘之が日々思うこと。

2008.06.11

注射点滴乱れ打ち

 点滴で、感染を起こしてなくなった方が出た病院がニュースに出てました。
 点滴の作りおきをして、菌が混入して菌血症になったみたいですね。
 それは、それで、大変な問題なんですが、ニュースの中に耳を疑う内容がありました。
 この整形外科の病院では、1日300人の患者さんのうち100人に点滴をしていたそうです。
点滴の内容はおもに腰痛などの治療でノイロトロピンとメチコバールの点滴をしてたという。
 この記事、突っ込みどころ多すぎです。
 まず1日300人てのがすごい。この病院、お医者さんは一人だけしかいません。
いくらなんでも、診きれるはずがない。
うちは耳鼻科だけど2人で診察してて、今まで一番多かった日でも270人くらい。
これは、花粉症のピークの頃で、朝から夜9時まで、ほとんど休みなし。
これは、限界を超えていて、そんな日が続いたら、死んじゃいます。
充分な、説明が出来ず診療の質も落ちちゃいます。
 しかも、3人に1人が点滴ってのも異常だ。
そんなに点滴が必要な患者さんがいるはずありませんね。
点滴ってのは、どうしても経口では投与できない時に行うもので、
普通は大概、飲み薬(または整形ならシップとか)で大体すんじゃうわけです。
 そして、これは医療関係者にしかわからないけど、
ノイロトロピンメチコバールの点滴がそれほど劇的に腰痛に効くとは思えません。
ノイロトロピンは鎮痛作用があるといわれてますが、その作用がはっきりしない謎の薬です。
メチコバールはビタミンB12です。
どっちかっていうと、毒にも薬にもならない、とまではいいませんが
それほど多くの効果は期待できないでしょう。
そして、どちらも、内服があります。
 うーん、この先生はまさに私が一昨日ブログに書いた
「商売上手の先生」
なんでしょうね。
 きっと、「点滴の人はこちら」、なんてのがあって、先生は診察しないで、看護師さんが
バンバン点滴を打ちまっくってるんだろーなー。
 大体、すぐ注射、点滴を勧める医者は、一般に怪しいです
まあ、ペインクリニックのブロックなんてのは別ですが。
 うちにも、 「風邪だから点滴してください。」とか「体がだるいので、点滴してください。」なんて人がたまに来ますが
「この世の中に、風邪の点滴なんてものは、ありません。」 (ホントです)
「点滴では、ほとんど栄養は、入りません。なんか食べて、寝てましょう。」 (風邪には休養が一番)
などと、いちいち説明します。
 この先生だって医者になったばかりの頃は、
よりよい医療を行い、一人でも多くの患者さんの役に立ちたい、と、思ってたんだろーになー。
 亡くなられた方には心からご冥福をお祈りいたします。

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