ロックな耳鼻科:小倉耳鼻咽喉科医院院長、小倉弘之が日々思うこと。

2008.03.11

中耳炎

 本日来院した1歳の子供[emoji:e-260]。週末に、熱が出て、小児科受診。右の耳は赤く、左は水がたまってているといわれ、抗生剤などが出てる。昨日見てもらって、やはり同じ所見なので、耳鼻科に行くように言われた、とのこと。
 フムフム、診てみましょう。てな感じで耳を覗いて、思わずふきだした。
 耳垢でいっぱいで、ぜんぜん見えねーじゃん。[emoji:e-451]いったい、ナニ見てたんでしょう。
 でも、こんなことはぜんぜん珍しくありません。
 皆さん、小児科で中耳炎といわれたとき、あまり信用しないように。私の経験では、診断的中率は、ベテランの先生で5~6割、下手すると3割を切ります。まあ、私が心臓の聴診できないのと同じように(心室中隔欠損だのⅡ音の分裂だのわかんねー。)小児科医に鼓膜の所見を求めるのは、不可能でしょうけどね。
 
 それにしても、わかんないときはわかんないって言えばいいのに(それとも、わかったと思ってるのか)。でも、耳鼻科に行くように言っただけ、この先生は良心的だったかも。
 でも、意味のない抗生剤を4日間も飲まされちゃったわけだ。
 外来の患者さんには、よくお話してるのですが、
「風邪のときは、(本当に風邪であれば)熱が39度でも40度でも抗生剤は、いりません!」
 風邪ってウイルスだから、抗生剤は無効です。しかも、いらない抗生剤飲むと耐性菌(薬の効かない菌)が増えるので、本当に抗生剤が必要なときに効かなくなっちゃいます。
 かつては、毎年のように抗生剤の新薬が出たので、「念のための抗生剤」、でもよかったのだが、もう10年以上抗生剤の新薬は出てないし、今後の発売予定も、とりあえず、ない。
だから「念のために」とか「とりあえず」なんて枕詞のついた抗生剤は飲まないほうがいいのだ。
(「とりあえず、生ビールで、[emoji:v-275]」ってのは好きです。)
 でも、これはただの風邪です、といえることが大事なのだ。
 耳鼻科になって、本当によかったなーと思うことのひとつが、子供の風邪のとき、小児科に比べて、圧倒的に診断力のあることです。得られる情報の量が、小児科とは比較になりません。特に、鼓膜、鼻腔、扁桃などをしっかり見られますし、インフルエンザや溶連菌感染の診断も、はるかに耳鼻科のほうが確実です。
 以前は、耳鼻科の病気で、経過を見ていた子が、「熱が出たので、小児科にかかりました。」
といって、何も考えてないような処方箋を見せられて、がっかりしたものですが、最近は、熱が出たときに、まず耳鼻科に来ていただいて、きちんと診断を受ける患者さんが増えてきて、うれしいことです。
 ともかく、子供の発熱は、まず耳鼻科へ。抗生剤は、風邪薬ではありません!

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