ロックな耳鼻科:小倉耳鼻咽喉科医院院長、小倉弘之が日々思うこと。

2015.02.28

鼻茸について

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いつも楽しく拝見しています。

今日は相談させてください。

75歳になる父が鼻茸の診断を受けました。
症状はひどいらしく鼻の奥まで詰まっているようです。1週間の入院で全身麻酔での手術をすすめられました。

私は、高齢者の父がその手術をうけるべきな疑問です。

ちなみに父は学生時代にもその手術を受けたことがあるようでものすごく嫌がっています。

小倉先生はどうおもいますか?

 

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 鼻茸(はなたけ)とはいわゆる鼻ポリープのことで

慢性副鼻腔炎の方にできることがあります。

 

 

 

 

 

 キノコというよりプルプルした半透明な寒天とかゼリーみたいな感じで

腫瘍ではなく炎症性の産物です。

 

 

 

 

 

 

 慢性副鼻腔炎の方の全員にできるわけではなく

体質的な素因が関係あります。

 

 

 

 

 

 

 好酸球性副鼻腔炎やアスピリン喘息の患者さんに合併するため

アレルギー性の要因はほぼ確実ですが、正確にはわかっていません。

 

 

 

 

 

 

 大きくなったり、しばしば多発するため、鼻腔に充満して

鼻閉のため呼吸障害や嗅覚障害を起こします。

 

 

 

 

 

 

 薬剤や局所治療により制御できる場合もありますが、

高度のものは切除術を行います。

 

 

 

 

 

 

 外来で切除することも可能ですが、

入院して全身麻酔下に手術することもあります。

 

 

 

 

 

 

 再発性が高く、2回以上手術を受ける方も少なくありません。

 

 

 

 

 

 

 ご質問の件ですが、ポイントがいくつかあります。

 

 

 

 

 

 

 まずは、本人が切除術を望むかどうか。

 

 

 

 

 

 

 鼻茸による症状は先ほど言ったように鼻閉と嗅覚の問題です。

 

 

 

 

 

 

 本人がそれでもいいというのであれば無理に手術する必要はありません。

 

 

 

 

 

 

 ただし、それが、本当にただの鼻茸ならば、という場合に限ります。

 

 

 

 

 

 

 お父様の鼻茸は両側ですか?

 

 

 

 

 

 

 悪性腫瘍であれば放置すると生命にかかわりますが、

がんと鼻茸は視診や画像診断でほぼ鑑別できます。

 

 

 

 

 

 ところが、見た目が鼻茸に似ている内反性乳頭腫という病気があります。

 

 

 

 

 

 実際に、ワタシの経験でも

若いころ他院で鼻茸を手術したが、

数十年して、またできたので手術してほしい、と来院された方の手術をし、

組織検査をしたら内反性乳頭腫だったということがありました。

 

 

 

 

 

 

 乳頭腫は良性腫瘍の一種ですが、このうち内反性乳頭腫は、

良性腫瘍でありながら悪性化する可能性を持った腫瘍です。

 

 

 

 

 

 

 5~20%程度の頻度で悪性化するとの報告があり注意が必要です。

 

 

 

 

 

 ただ、この数字は手術をして鼻副鼻腔乳頭腫と診断された方の悪性化率で、

実際には内反性乳頭腫だったのだが、

鼻茸でしょう、と手術せずに何事もなく一生を終えた方も多いでしょうから、

実際にはもっと低いのかもしれませんが。

 

 

 

 

 

 

 いずれにせよ、その辺のところを含め主治医の先生とよく相談されて

方針を決められた方がよろしいかと思います。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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