ロックな耳鼻科:小倉耳鼻咽喉科医院院長、小倉弘之が日々思うこと。

2023.04.17

黄砂襲来

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 先週は全国的に黄砂が飛んで大変だったようです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 九州地方や関西、日本海側に比べれば、

関東地方は黄砂の量はだいぶ少ないですが、

それでも黄砂にやられた、

というアレルギー性鼻炎の方を何人か診ました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「黄砂アレルギーです。」

といってこられる患者さんもいますが、

そもそも黄砂にアレルギー性はありません。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 黄砂の主体は二酸化ケイ素という物質で、

砂なので鉱物のカケラですから、

それ自体にアレルギー反応たる

抗原抗体反応を起こす抗原性はありません。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 黄砂は微細な粒子なため、

鼻から気道の奥深くまで吸引され、

その気道粘膜を物理的に刺激します。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 例えば、コショウを吸い込むとくしゃみが出たり、

チョークの粉で咳き込んだりすると同じ

「非特異的反応」です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 時期的にスギ・ヒノキ花粉症の終盤の時期に飛来することが多いので

それまでにスギ、ヒノキの花粉症で

鼻粘膜、咽喉頭、眼の粘膜にダメージを受けた方は、

そこにまだアレルギーの細胞が滞在しているので、

それらが再活性し、アレルギー的な症状を起こすのです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 黄砂に付着した化学物質や花粉、

はたまたウイルスまでもが危険、

という人もいますが、

可能性はゼロではないとはいえ、

量的にはまず問題にはならないでしょう。

黄砂にくっついて何千キロも飛んできたウイルスが、

いったい何個生きたまま人体に侵入することができるのか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 また粉状の二酸化ケイ素を多量に吸入すると、

塵肺の一種である珪肺の原因となったり、

また発がん性のある物質でもあるので、

長期にわたって吸入するとアレルギーがなくても危険ですが、

鉱山で働く労働者の労働災害と違って

黄砂を数日間吸入する場合に問題になるのは、

花粉症患者さんのアレルギー的症状だけでしょう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ネットのニュースである耳鼻科のセンセイが、

「黄砂がぶつかり、花粉が傷つくと花粉が破裂するんですね。

破裂した花粉はアレルギー物質をたくさん放出するので、

より症状が強くなってしまいます」

と、見てきたようなコメントをしていましたが、

黄砂で本当に花粉が破裂するかは疑問だし、

そもそも花粉がアレルギー物質を放出するわけではないので

この説はちょっとマユツバです。

だが、花粉症の方、特に花粉症のコントロールが不良だった人は

黄砂に対しても十分な防御をしたほうがいいのは事実です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 こういった「盛った話」、

マスコミがホント好きだからなあ。

 

 

 

 

 

 

 

1件のコメント

コメント/トラックバック (1件)トラックバック用URL:

  1.  「盛った話」…ワタシも破裂のくだりの番組を見ました。黄砂について以前先生が書かれてたかなあと思い検索したのですが見つからず。ぜひブログに黄砂の健康被害についてお願いしようかと思っていた矢先でした。今回も勉強になりました。ありがとうございます!

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