ロックな耳鼻科:小倉耳鼻咽喉科医院院長、小倉弘之が日々思うこと。

2014.10.05

舌下免疫療法についてのお知らせ

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来週10月8日からスギ花粉に対する新薬が使えるようになります。

 

 

 

 

新薬「シダトレン」はスギ花粉に対する「舌下免疫療法」の薬です。

 

 

 

 

従来の薬は内服、点鼻を問わず症状を抑える「対症療法」であるのに対し、

この舌下免疫療法は花粉症の体質そのものを改善する「根治療法」であるところが大きな特徴です。

 

 

 

 

スギ花粉のエキスを連続的に舌下から取り込むことにより

スギ花粉に反応しない体に変化させることを目標にしてます。

 

 

 

 

実はこの治療効果のメカニズムは完全に解明されてはいないのですが、

治験(クスリの臨床試験)でよい効果が認められたため今回の発売となりました。

 

 

 

 

そもそも、免疫療法はかつて「減感作療法」と呼ばれ古くから行われてきた治療法ですが、

以前は皮下注射で行っていました。

 

 

 

 

 

 メカニズムは分からないが、

少しずつ温度を高くすると熱いお風呂に入れる、とか、

ちょっとづつニンジンを食べるとやがて食べられるようになるとか、

最初はすぐ酔っ払っちゃうが鍛えるとお酒に強くなるとか、

そういう「経験的発想」で始まった治療法なんだろうなあ。

 

 

 

 

 

 

 個人的には「免疫療法」については

いつも子供の頃読んだ「伊賀の影丸」を思い出してしまう。

 

 

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 この漫画に出てくる忍者「村雨兄弟」は

小さい頃から少しづつ毒をのまされて鍛えられたので毒薬による攻撃が効かないのだ。

 

 

 

 

 

 これも説得力があるようなないような・・・・・。

当時は、おおおお、と感動したのですが。

 

 

 

 

 

 閑話休題。

 

 

 

 

 

 

 ワタシも大学病院時代アレルギー専門外来を担当してたのでこの治療法はさんざんやっていました。

 

 

 

 

 

ただ、即効性がない、全員に効果が出るわけではない、

うえに毎週1~2年間通院して、注射を打たねばならない、

注射によるアナフィラキシーショックの恐れがある、

ということでなかなか一般的な治療法になりませんでした。

 

 

 

 

今回、注射でなく舌下に滴下する薬になったことにより、

注射に通わずとも自宅で治療できる、

ショックの可能性が減少した、

ということにより普及が期待されています。

 

 

 

 

ただし、注意点がいくつか。

 

 

 

 

①先程も書きましたが、即効性のある療法ではない。

効果が出るには1~2年、

維持を含め3~5年のスパンで取り組む治療です。

 

 

 

 

 

②これも述べたとおり全員に効果があるわけではありません。

多くの人は何かしらの程度で効果が見られ、

スギ花粉症が感知する人もいる一方、

まったく効果の見られない人もおり

それを治療開始前に選別する方法は今のところありません。

 

 

 

 

 

③現時点ではスギ花粉のみの治療で、他のアレルギーには効果がありません。

 

 

 

 

 

 ④また、患者さん側の条件によって治療を受けられない人がいます。

いまのところ、12歳未満の子供さんもダメです。

 

 

 

 

 

 

⑤治験段階ではみられていませんが、

アナフィラキシーショック等の見られる可能性はゼロではなく、

そのためどこの病院でも受けられる治療ではありません。

学会の主催する講習会に参加し、

証明書の発行を受けた上で

さらにインターネットでの講習を受け、簡単な試験に合格した医師で、

登録された医療機関でないと、この治療を行うことができません。

 

 

 

 

 

 

  

当院は、昨年9月、第1回の講習会に早々参加し、

ワタシも副院長も登録を済ませておりますので治療可能です。

 

 

 

 

 

こちらのホームページに解説がありますのでご覧いただき、

治療希望の方は当院にご相談ください。

 

 

 

 

 

 

 

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