耳から鼻血
寒くなってくると風邪ひきが増えるのですが、
耳鼻咽喉科的には高齢者の鼻出血が増える時期でもあります。
子供の鼻血は、アレルギーのシーズンに多いのですが、
高齢者の鼻出血は硬化した血管壁に対し、
温度変化により血管の拡張、収縮が起こるため
血管が破綻して出る場合が多いので、
脳溢血などと同様、寒くなってくるこの時期に多いものです。
金曜日の夕方、市内の内科医院のセンセイからお電話がありました。
「鼻出血が止まらないので、これからお願いできますか。」
時刻が受付終了間際だったので、電話入れてよこしたのでしょうが、
それにしてもセンセイの声、なんか上ずっていたなあ。
20~30分ほどして、患者さんが来ました。
どっちから出ていますか。
最初右で、綿を詰めたら左からも出て、
そして口からも出て、左耳からも出ます。
ナント耳からも。
70代の女性ですが、心臓の手術をしたので、
抗凝固剤、いわゆる血液サラサラのクスリを、
2,3種類飲んでます。
なので血が固まらず、出血がなかなか止まらない。
耳から血が出るのは、この方、慢性中耳炎があって
左耳に小さい鼓膜穿孔があるため。
右鼻からの出血が上咽頭から耳管を通って左耳の孔から出た、
ということです。
タバコの煙を耳から出せる人がいますが、
そのような人は慢性中耳炎で鼓膜に孔が開いているのです。
出血点は右鼻腔で、コブ状になった血管から
噴水上に血が出ているのを確認。
その部を電気凝固し、無事止血しました。
ただし、やはりその後左耳は中耳炎を起こしましたが。
治療で良くなりました。
一般のヒトが鼻からも口からも、
そして耳からも血がだらだら出てるヒト見たら、
そりゃ、焦るでしょうね。
内科のセンセイは無論、耳から血が出る仕組みはわかっていたと思いますが、
初めてのことで、さすがにうろたえたのでしょう。
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