ロックな耳鼻科:小倉耳鼻咽喉科医院院長、小倉弘之が日々思うこと。

2009.12.09

新型ワクチンの2回目の接種について

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 私の前回のブログに対しコメントにこんな質問が寄せられました。
「先生始めましてっと行っても 診察でお目にかかった事ありますが。いつもお世話になっています。
質問させて下さい。
11月に新型の注射をし先日 小児科で「インフルエンザ」と言われました。陰性でしたが 二回目は
注射したほうが良いですか??」

 んー、ちょっと変換ミスありますが原文ママです。
 それにしても最近質問、多いなー。
 まあ、いい質問ですのでコメント返信ではなく、
今回のブログテーマとしてこのご質問にお答えしましょう。
 最初に結論言っとくと
「2回目は多分要らない」
です。
 さて、この話のポイントは2つ。
一つは「新型の1回目は接種済みである。」
ってこと。
 二つ目は「検査は陰性だが小児科医はインフルエンザだ、と言った。」
ってこと。
 さて、もちろん、この小児科受診時の検査が陽性ならば
2回目の接種の必要は無いわけです。
 ここで、小児科の先生は、
①患者さんの症状
②患者さんを取り巻く環境(周囲にインフルエンザが流行ってるか)
③自分の検査の精度(検査の技術的問題によって陽性率の低い先生はおそらく自分でもその点がわかってるはず)
の3点を考慮して「インフルエンザです。」
と言ったはずです。(多分)
 さて、インフルエンザのワクチンの2回接種の意味は
「ブースター効果」です。
 すなわち、予防接種とはウイルスの断片的な情報を体内に取り込んで
それに対する抗体を作らせるのが目的です。
 ウイルスはタミフル、リレンザによって治るのではなく、
体がウイルスに対して自ら作成した「抗体」によって消滅します。
この辺のウイルス学の基本的なことは「新型インフルエンザについて」で、書きました。
これかいたの4月で、もうズイブン前なので読んでない人は読んどいてね。
 ところが、小さい子供は抗体を作りなれていないので、
1回ワクチンを打っただけでは、抗体を持続的に作れない場合がある。
 そこで、4週間ぐらいして、一回目の接種が体に与えた興奮が冷めたとこで
「おい、貴様、手え抜くんじゃねえぞ。忘れてねえだろな、これだぞ、これ。ちゃんと作り続けろよ。」
と「喝」を入れるのが2回目の接種です。
 だから、1週間とかではなく4週間くらい間あけたほうがいい。
 この患者さんの場合、インフルエンザ、と言われた時には、
少なくとも周りにインフルエンザウイルスがいる環境があった、はず。
とすれば、検査は陰性でもウイルスと接触していた可能性が高く、
そのことが充分「ブースター効果」になるはずです。
 だから、2回目は、いんじゃない。
 これは、一般論としても(つまり、このようなエピソードのない方も)
私は「新型インフルエンザ」の2回接種はどうかな、と疑問を感じています。
 考えてみてください。
 今までの「季節性インフルエンザ」は、まだインフルエンザが流行してない時期に接種をしていました。
すなわち「周囲にウイルスがいない」環境です。
 一方、今回の新型はすでに流行しています。
「そこかしこにウイルスがいる」環境と考えていいでしょう。
 とすれば、ほっといても「ブースト」はかかるので、
私としては「2回目の接種」は、それほど重要ではないのでは、と考えています。
 まあ、打ったほうがいいってことはあるので、当方としては、お上の言いつけに従って、
2回目も希望者には打ちますが、どーなんすかねー。
ちょっと、そんなこともあるかも、とは思ってます。

1件のコメント

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    有難うございました。
    参考になりました。良く考えます。
    本日二回目予約なんですが、陰性でタミフル飲んだのは
    先週7-11日でした。もし打つとして 期間的には
    問題ないですか?

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