抗ヒスタミン剤
花粉症の薬物治療では抗ヒスタミン剤をよく使います。
季節性アレルギー性鼻炎でも薬物治療は
第2世代の抗ヒスタミン座を主軸に、
抗ロイコトリエン剤やステロイド点鼻薬を組み合わせることが
推奨されています。
抗ヒスタミン剤とは、名前の通りヒスタミンという
化学伝達物質をブロックする薬剤です。
ヒスタミンとは主として鼻水、くしゃみを誘発する物質ですが、
皮膚科領域で蕁麻疹、皮膚のかゆみを惹起する物質でもあるので、
皮膚科の先生もこの薬剤を多用します。
その中で、耳鼻咽喉科医はまずやりませんが、皮膚科の先生で、
抗ヒスタミン剤を2剤、3剤併用する処方を目にすることがあります。
おそらく、効果が不十分なので、ということからでしょうが、
ちょっと調べてみるとこんな文章がありました。
慢性蕁麻疹の第一選択薬は第2世代の抗ヒスタミン薬(非鎮静性抗ヒスタミン薬)で、
通常量で効果不十分な場合、他の系統の抗ヒスタミン薬に変更するか(下表)、
2倍量までの増量、または2種類を併用する。
国際ガイドラインでは、他剤の追加よりも単剤の増量が推奨されている。
抗ヒスタミン薬のみで効果不十分な場合、
補助的治療薬のロイコトリエン拮抗薬(保険適応外使用)や
ヒスタミンH2拮抗薬(保険適応外使用)を併用することがある
(日本皮膚科学会:蕁麻疹診療ガイドライン2018より)。
三環系 (フェノチアジン系) |
エピナスチン、オロパタジン、ケトチフェン、デスロラタジン、プロメタジン、メキタジン、ルパタジン、ロラタジン |
---|---|
ピペラジン系 | オキサトミド、セチリジン、ヒドロキシジン、レボセチリジン |
ピぺリジン系 | エバスチン、シプロヘプタジン、ビラスチン、フェキソフェナジン、ベポタスチン |
なんだ、やっぱり2剤併用はあまり推奨されないらしい。
やはり、増量が保険で切られてしまうから、
ということなのでしょうか。
ちなみに耳鼻科で良く用いる抗ヒスタミン剤と
抗ロイコトリエン剤の併用は、
ブロックする物質が違うので大変有用です。
ロイコトリエンは主として、
鼻詰まりを引き起こす化学伝達物質なので
抗ヒスタミン剤の鼻水、くしゃみに対する効果と
補完性があります。
かつてはいわゆる第2世代の抗ヒスタミン剤に
抗アレルギー剤というあいまいな呼称がありましたが、
最近ではこの言い方は用いません。
ちなみに抗ヒスタミン剤の効果と、
眠気の強さは、現時点ではまだまだほぼ比例する、
と考えていいです。
一番効くのがアレロック、
一番弱いのがアレグラ、クラリチン、
ということですよん。
コメントはまだありません
コメント/トラックバック トラックバック用URL: