手術指導医
先日の記事で思い出しました。
勤務医のころは手術ばっかりしていました。
ワタシが市中病院に赴任した当初、
耳鼻咽喉科の前任者の手術件数は少なく
週2回の手術日は、外科や整形外科などに
「侵食」されていました。
それをまず「奪還」し、その後は隙を見て、
他科の手術ワクを奪いにかかり、
最終的には週3~4日は手術していました。
当時耳鼻咽喉科は2人態勢でしたが、
毎年、ほぼ1年交代でワタシの下に若い研修医が来ます。
この新人に手術を教えるのがストレスでした。
先日書いたように、ビデオシステムや光学機器がない時代、
術者にしか術野が見えない手術を指導するのは大変なこと。
例えば扁桃摘出術は非常にポピュラーな手術ですが、
最初は、途中まで剥離してから助手に交代します。
そこからは口で
「大丈夫?」
「剥離できてる?」
「出血どう?」
「下極まで行った?」
などと横から様子をうかがうのですが、
ハラハラドキドキです。
自分でやっちゃえば20分で済む手術も、
新人だと1時間もかかる場合もあります。
研修医によって、少しでも不安があると
「先生、ちょっと見てください。」
と、確認を求めてくる者もいますが、
まあ、それは安心です。
ヤバイのは「大丈夫?」と訊いても、
「大丈夫です。」と言いながら手術を続ける奴で、
明らかに苦戦してるようなのになかなか譲ろうとしない。
どんどん汗だくになって、
さすがに、そろそろ、ちょっと代わって、
といって術野を見ると、
けっこう大変なことになっていたりします。
もちろん、後遺障害や合併症が起こる前には介入しますので
何か問題が起こったことは一回もありませんが、
そうならないためのストレスは大変でした。
術野の画像が共有できる現在は
指導医のストレスもだいぶ軽減されてるでしょう。
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