ロックな耳鼻科:小倉耳鼻咽喉科医院院長、小倉弘之が日々思うこと。

2008.10.08

恐怖のシュミット

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 昨日、我がバンドのドラマー、皮膚科の野口先生が、昼休みに鼻の治療に来ました。
詳しくは、こちらを参照。http://ameblo.jp/noguchimikimasa/
 この「シュミット」という治療、正式には「上顎洞穿刺洗浄」といいます。
上顎洞という、ほっぺたの裏側にある骨に囲まれた空洞、
ここに膿がたまるのがいわゆる「蓄膿症」です。
 そこに鼻のほうから針を刺して、膿を抜いて中を洗うのがこの治療です。
 その時使う、ボールペンの芯くらいの太さ(!)の針を「シュミット式探膿針」というのでこう呼ばれるわけです。なんせ、骨を破るので痛い治療です。
 しかし、これが、効くんだわ。
 これでしか治んない、ってことも結構あります。
 実は、私昔これで悩んだことがあります。
 医者になって2年目の時、ある地方の病院に勤務してた時のことです。
 そこはベテランの部長の先生と2人で耳鼻科をやってたのですが、
ある時午後の外来で、いつも部長先生がシュミットをしていた患者さんが私のとこに回ってきました。
まだ、2年目で技術に自信のなかった私は
「シュミットかー、やだなー。」
と思いつつも仕方なく、その患者さん(5~60歳くらいのおばさんだった)にシュミットをしました。
「イタタター、センセ、痛い、痛いよ。」
「そうですかー・・・。」
「こんな痛かったことないよ。(怒)」
「・・・・。」
私の技術が未熟だったせいで、患者さんに痛い思いをさせてしまいました。
終わったあと、患者さんが受付の女性に何か話をしていました。
きっと「もう、あの若い先生には回さないでください。」といってたに違いない・・・・。
 その後、その患者さんのカルテは必ず部長先生のとこに回るようになり、
その患者さんの診察のときは、私は横で診察しながら絶対目が合わないようにしてました。
 私は、ひどく傷つき、また、情けない思いでいっぱいでした。
 「・・・・ナントカせねば。」
 いろいろな教科書や専門書で調べまくりました。
いまいちわかったようなわかんないような・・・。
そこで、大学にいった時に医局の先輩たちにやり方のコツや注意点を訊きまくりました。
先輩の先生がやるときには、じっと見ていてやり方を盗みました。
いろいろ自分でも考えて、やり方を工夫しました。
 その甲斐あって、次第に何となく要領がつかめてきました。
 その後、大学病院に戻ったとき、当時手術室の婦長さんだった人を診察しました。
その方は長年の蓄膿でかかっていましたが、以前シュミットをされてすごく痛い思いをしたので
その後その治療を拒否していました。
「婦長さん、こりゃ、やっぱりシュミットした方がいいみたいです。」
「いやよ、痛いんですもの。」
「でも、このままでは手術ですよ。」
 ということでシュミットすることになりました。
「ちょっと、我慢してくださいねー。」
「あら、そんなに痛くないわ。先生、上手ねー。」
 いやー、うれしかったですねー。
 それ以来私は婦長の専属の「シュミット係」になってしまい、
病棟担当で外来番でない時も、婦長の鼻の調子が悪いと、
指名がかかって外来に呼び出されました。
 おかげで、医局でも一番シュミットが上手になりました。
 ・・・とはいいうものの、やっぱ痛いシュミット、そうなる前に早めに耳鼻科にかかりましょう。
 ところでウチの子供たちに
「きょう、野口先生が来てさー、鼻に穴あけたんだぜ。」
といったら、
「えー、野口先生、ついに鼻にピアスあけたのー。」
と、びっくりしてました。
モヒカンで、鼻ピの医者、そりゃ、こえーわ。

 

1件のコメント

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    ホント、言われるほど痛くなかったですわ。
    おかげさまで昨日はゴルフに行けましたし、夜には1週間ぶりのお酒もいただきました。
    どうも有難うございました。

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