ロックな耳鼻科:小倉耳鼻咽喉科医院院長、小倉弘之が日々思うこと。

2020.06.05

影響を受けたレコード(国内編)⑩「メシ食うな!/INU」

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影響を受けたレコード(国内編)も10枚目。

当初は10枚のはずで、あらかじめ10枚選んだのですが、

途中で、これもいれなければ、というものがあり

どうしてもおさまりきれなくなり、

12、3枚くらいになっちゃう模様。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

9枚目は「メシ食うな!/INU」1981年3月1日発売。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

当時群大医学部は最初の2年間は医学進学過程、といって

荒牧キャンパスで一般教養、英語、数学、物理、社会学、心理学などの科目を履修。

3年生から附属病院のある昭和キャンパスにうつり、

解剖実習などの医学部の専門的な内容に入ります。

3月はその直前で、前橋で下宿探しなんかをしていたころですね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

怒涛の1980年を経て、音楽シーンは変革を続けていました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

パンクロックのスタイルは完全に過去のものになり、

ポストパンクやニューウェーブといた「次の一手」が

模索されていました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その流れの一つは60年代ポップスへの回帰を含んだ、

いわゆるパワーポップ、と呼ばれる路線です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

エルビス・コステロを筆頭に

ニック・ロウ、グラハム・パーカー、ジョー・ジャクソン、スクイーズ、

などはポップなメロディを持った軽快な、

しかし、60年代の明るさとは違う

どこかねじれたロックンロールを演奏していました。

また、コーギスやブロンディ、プリテンダーズなども

60年代風の曲で人気を呼びます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

いっぽう、パブリック・イメージに代表される、

アヴァンギャルド、ノイズ・ミュージック的なアプローチも見られ、

ポップ・グループや、コントーションズなどは、

サックスをフィーチャーしたフリージャズ的な演奏を取り入れ、

独自の流れを作っていきました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

とくにイギリスの

ラフ・トレード・レーベルに所属する一連のアーチスト、

キャバレー・ボルテイル、ペル・ウブ、モノクローム・セットなどは

オルタナティブといわれるジャンルを確立しつつありました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

日本もシーナ&ロケッツは60’s調の

「ユー・メイ・ドリーム」をヒットさせ、

ザ・ヴィーナスはオールディーズ風の「キッスは目にして!」で大ブレイク、

常に時代に敏感であった沢田研二は

「おまえがパラダイス」「渚のラブレター」と

60年代ポップスを下敷きにした曲のあと、

ネオ・ロカビリー調の「ス・ト・リ・ッ・パ・-」で

1981年のレコード大賞金賞を受賞しています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そしていっぽうのポストパンク、オルタナティブ系としては

この間あげました「フリクション」が、

いきなり完成度の高いアルバムを発表しました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

PASSレコードは日本のラフ・トレードとでもいうべきレーベルで、

「フリクション」のほか、

「Phew」「突然段ボール」「グンジョーガクレヨン」

など、のちにオルタナティブといわれるような

先鋭的、前衛的なアーティストが所属していました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そんな中、大阪から突然登場したのがこの「INU」でした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

このバンドについては大阪ということもあって、

一切の事前情報がなく、

いきなりラジオの新譜紹介で聴いて、

ぶっ飛んでレコード屋に走った、

というものでした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あとから知ったことですが、

もともとは高校生バンドで

ストーンズやチャック・ベリーのような

オーソドックスなロックンロールをやっていたバンドが

セックス・ピストルズの洗礼を受け、

さらにパブリック・イメージ・リミテッドに影響され

ポストパンクの音になっていったといいます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その高校生バンド時代の名前が「腐れおめこ」だそうですが、

本当にこの名前でチャック・ベリーやってたんだろうか・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ともかく、ジャケット写真を見てもわかる通り、

このバンドはボーカルの町田町蔵氏のワンマンバンドといってもいい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

町田町蔵氏は、こののち1996年に作家に転向。

町田康名義で数々の文学賞を受賞し、

2000年には純文学の最高峰である「芥川賞」を受賞しています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アルバムの作曲は半分ですが

作詞はすべて町田町蔵が手掛けています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

音は過激なノイズミュージックですが、

歌詞は非常に言葉が選ばれているという印象。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

収録されている「つるつるの壺」は、

のちに同じ名前の随筆のタイトルになっています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ここが、このあと出てくる(ネタバレですが)

ザ・スターリンと非常に似ている点です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

文学少年だったと思われる遠藤ミチロウのスターリンと

INUは互いにシンパシーを感じていたようで、

遠藤ミチロウはザ・スターリンのメジャーデビューアルバムで

「ワルシャワの幻想」という、

このアルバムのタイトルチューン「メシ食うな!」に対する

アンサーソングをレコーディングしています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こうしてみると、ワタシの日本のロックの好みとなると

海外の作品と違い「歌詞」が、

好きか嫌いかの重要な要素になっている、

ということがわかります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

音の趣味はもちろん、最重要なのですが、

歌詞が幼稚だと、そっちが気になってどうも曲に入り込めない。

同時代の「ボウイ」とか「アナーキー」が

めちゃくちゃつまらなかった理由はそこだな。

 

 

 

 

 

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