処方せんについてのコメント
コメントいただきました。
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PL顆粒1包、ロキソニン1錠、クラビット100mg 1錠を1日3回、頓服でカロナール内服、
さて、この処方のマズイ点はどことどこでしょう4つ挙げなさい
→ クラビット 風邪に抗生物質は必要ない。
ロキソニンとカロナールが重複している?
そもそも、風邪に薬は必要ない?
素人には、これしかわかりません。答えをご教示ください。
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そうでした。
この記事書きました。
なかなか、答えスルドイです。
①の風邪に抗生剤は不要
は、あっています。
風邪という診断であれば、抗生物質は効きませんね。
素人の方でもご存知なのに、
いまだにそのことがわからない医者は意外といます。
困ったものです。
しかもクラビットという抗生剤は、
正確には抗生物質では無くて合成抗菌剤ですが、
特殊なクスリですから、やみくもに使うクスリではありません。
②解熱鎮痛剤の重複、も正解です。
ロキソニン、カロナールは同薬効ですが、
さらにPL顆粒にはカロナールとまったく同成分の
アセトアミノフェンが配合されています。
薬価が安いので査定されませんが、不適切な処方です。
そして、③番目はロキソニンが1日3回で処方されていること。
整形外科領域の痛みのコントロールでは、
解熱鎮痛剤を1日3回毎食後で処方することはありますが、
風邪のような、急性熱性疾患ではこれはいただけません。
熱を下げることは風邪の治療につながりませんし、
むしろ発熱そのものがウイルスに対して攻撃的な効果があります。
何より実際には発熱したり、痛みが増しているのに
解熱剤で症状がマスクされてしまうと、
病気の進行を見誤ります。
風邪などの急性感染症には、
解熱鎮痛剤は、どうしても熱や痛みがつらいときに
頓服的に使うべきものです。
また、そういった機会が増えてくれば、
病気の悪化や、合併症の発現などを疑い、
再度医療機関を受診して、診察を受ける必要があります。
④番目は、ちょっと難しいのですが、
クラビットという薬は発売されてもう20年以上たちますが、
当初の用法用量は1回100mgを1日3回でした。
しかし、その後、
このクラビットのようなニューキノロンと呼ばれる抗菌剤の
薬物動態や薬効の研究が進み、
この種のクスリは1回に大量に投与した方が、
分けて投与するより効果的である、ということがわかり、
10年ほど前に1回500mgを1日1回だけ飲む、
というように投与方法が変わりました。
同じ抗生物質でも
ペニシリン系やセフェム系のクスリは「時間依存性」
クラビットなどのキノロン系のクスリは「濃度依存性」
だということがわかったのです。
なので、いまだにクラビットを1日3回で出す先生は、
その他の医学的知見のアップデートもされてないことが考えられ、
ちょっと医者としてはどうかなあ、と思われるわけです。
そんなわけで、こんな処方せんをもらったら、
石原さとみさんは、どんな行動に出るだろうか、
ちょっと気になるところです。
まあ、「そもそも風邪に薬はいらない」
というのは、大正解でして、
総合感冒薬のPL顆粒は、ワタシはもう20年以上処方していません。
2件のコメント
ご回答ありがとうございます。
風邪で薬をくれない→なんの為の医者なのか!!
と、素人判断で思ってしまいます。
いっぱい薬を処方してくれる先生→いい先生。と勝手に思い込んでいます。
石原さとみさんのドラマは見ていませんが、薬剤師の石原さとみさんなら
きっと「私の笑顔で元気になって下さいね」と言ってくれそう。
勝手な妄想(笑)
コメントありがとうございます。
医者の側から見ると、いつも見ていた患者さんが、
風邪ひいて他のお医者さんにかかったあと、
「そこで何か薬出ましたか?」ときいて、
「いえ、何も出ませんでした。水分とって安静にして様子見て、といわれました。」
と聞くと、ううむ、なんてデキる医者だ、と一目置いてしまいます。
ヘタなクスリは飲まない方がいいし、
それこそ石原さとみさんの笑顔の方が何十倍も効くでしょう。