似て非なるもの
眼科と耳鼻科って、よく並べられるけど。
外科系でマイナーで細かいし、首から上の感覚器を扱うってことで。
まあ、眼(め)医者、歯医者、耳(みみ)医者なんて。
んで、今日は「点耳薬」のお話。
眼科では「点眼薬」を多用します。
ひょっとして、内服薬より多いのでは。
それで、世の中には「点耳薬」なんてのがあってすごく似た存在に思われてる。
「中耳炎だから点耳薬」みたいな。
間違いです。
急性中耳炎では通常、点耳薬は治療に用いません。
なぜか。
それは鼓膜が基本的に防水だからです。
目の結膜は「粘膜」ですから、薬の吸収はいいです。
だから眼薬はよく効くわけです。
(白内障の点眼はちょっとどうかと思ってますが・・・。)
ところが鼓膜は「皮膚」なので、外から薬たらしても中にはいかないのだ。
「中耳炎」は鼓膜の向こう側で細菌が繁殖していますから、
外からつけても意味がない。
点耳薬は「外耳炎」「(鼓膜穿孔のある)慢性中耳炎」「チューブ留置や鼓膜切開後の中耳炎」には有効ですが、
「痛がってる中耳炎」には無効です。
痛いってことは鼓膜が腫れてるわけで、ということは穴開いてないわけだ。
チューブ留置耳や、鼓膜切開後も耳だれが多ければ、その上からつけても意味ありませんから、
実際には急性中耳炎における点耳薬の出番ってほとんどないわけです。
さらに、点耳をつけてると鼓膜が自壊した時に、
耳だれなのか点耳薬なのかわからないので、診断の妨げになります。
漫然とつけると外耳道に「耐性菌」や「カビ」がはえてしまい、
またこれが治療に難渋します。
そんなわけで、8カ月の子供が耳だれ出たといって、
耳も見ないで(もっとも耳垢充満で見ても見えなかったと思うが)
タリビッド点耳出す先生、やめてほしいなー。
確かに1歳未満の子で耳だれっていうと外耳炎が多くて、
そーゆーのは点耳ですぐ良くなるんですけどね。
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