ワクチン
新型コロナウイルスに対するワクチンが
来月末くらいからやっと本邦でも打てるようになるようです。
まずは医療従事者から、ということで
人数の確認書類が医師会からまわってきました。
順次、国民全体に接種できる体制を整える、
とのことですので、
これが、効果を上げることを期待したいところです。
ところで、近代のわが国のパンデミックと言えば、
大正7年(1918年)から流行したスペイン風邪があります。
このスペイン風邪に対しても、
大正8年からワクチン接種がはじめられた記録があります。
ところが、それはスペイン風邪のワクチンではありませんでした。
スパイン風邪の正体は、当時の「新型インフルエンザ」です。
インフルエンザの病原体はインフルエンザウイルスですが、
このことがわかったのは1933年のことなので、
当時はまだインフルエンザの病原体は不明で諸説ありました。
その時代、細菌学のめざましい進歩により多くの伝染病が
細菌によって引き起こされることがわかってきていましたが、
ウイルスに関してはまだよくわかっていませんでした。
このイラストでも「バイキン」とあります。
では、何のワクチンを打ったかというと。
記録によれば
①インフルエンザ菌のワクチン
②肺炎球菌のワクチン
③①と②の両方入ったワクチン
の3種類だったようです。
インフルエンザ菌は北里柴三郎らが1892年に
インフルエンザの病原体であろうとして分離、培養に成功したものですが、
その後、インフルエンザの病原体ではなかったことが判明した細菌です。
歴史的経緯でインフルエンザ菌の名前がついてるのはいまだに紛らわしい。
インフルエンザ菌も肺炎球菌も、
インフルエンザウイルス感染後の2次感染を起こす代表的な菌なので、
重症化を防ぐ、という意味では多少の効果はあったかも知れませんが、
スペイン風邪そのものに対しては無効だったわけですね。
スペイン風邪から約100年後におこった
今回の新型コロナウイルスのパンデミック。
この100年間の科学の進歩によってもたらされた今回のワクチンが
人類の危機を救ってくれることを期待します。
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