ミミズの鳴き声
先日来院されたおばあちゃん。
「なんか、ミミズが鳴いてる、と思ってたんだけど、
ずっと消えないので耳鳴りだった。」
そういえば、春になって暖かくなると、
夕暮れどきに何処からともなくジーっという音が聞こえます。
これを「ミミズの鳴き声」と称することがあり、
俳句でも「蚯蚓鳴く」という言い回しがあります。
しかし、ミミズは鳴きません。
発声器官もセミやコオロギのような音を発生する機構もないので
地面から聞こえる「ジー」っという音は
実際にはケラの鳴き声と言われています。
だが「蚯蚓鳴く」は秋の季語だそうで、
春の季語では「亀鳴くや」となるそうです。
いや、カメも鳴かないぞ。
我々が春の宵に耳にする「ジー」という音は、
「クビキリギリス」という
バッタの仲間の声だと思います。
いかにも耳鳴りっぽい無機質な音で、
同じバッタ目でもスズムシやコオロギのような風情はありませんね。
秋に成虫になり冬眠して冬を越すので、
他の虫より早く春から鳴きだすらしいです。
耳鳴りの音を「セミの鳴き声のよう」
と表現される患者さんは非常に多いですが、
「クビキリギリスのような耳鳴りがします、」
と言って来院された患者さんには
耳鼻科医になって40年近くたちますが
いまだに一人も逢ったことがありません。
1件のコメント
久しぶりの耳鳴りの話題ですね。
私が、先生のブログを拝読するようになったキッカケは、4年前の「TRT療法」でした。
このブログの数ヶ月前から直前まで、先生のところに耳鳴りを含む耳の症状で通院を
していました。耳鳴りについては、治ることはなかったのですが、いろいろとアドバイスを
頂いて治療を終えています。
その直後にこのブログでした。「えーっ、こんな話してなかったじゃん」などと思ったりも
しました。
4年たった今でも耳鳴りと付き合いながらの生活ですが、毎日ブログをチェックしながら、
たまには、耳鳴りの情報もやんないかな、などと思っています。