ウイルスと抗体
ワクチンと抗体のお話の続きです。
ここで「免疫がある」ということについて
考えてみましょう。
免疫には「自然免疫」と「獲得免疫」がある、
という話をしましたが、
「おたふくの免疫がある」などと言うときは
感染、あるいは予防接種による獲得免疫のことを指します。
つまり体の中に「おたふくかぜ」のウイルスに対する抗体があるので、
ウイルスが侵入しても、増殖する前にすぐにその抗体により処理されてしまい、
発症しない、ということです。
いっぽう、インフルエンザのワクチンを打っても、
インフルエンザにかかってしまう場合があります。
これはなぜでしょう。
これは3つのパターンが考えられます。
すなわち
①ワクチンを打ったが十分な免疫応答がなく抗体価の上昇が少なかった。
②抗体価は上がったが、それを上回るウイルスが侵入した。
③ワクチンとウイルスの型が違っていた
です。
③のパターンはともかくとして
①と②は本質的には同じことです。
どちらも侵入したウイルスの量が、
準備してあった抗体量を上回った、ということだからです。
仮に十分な量の抗体を持っていたとしても、
それを上まわる量のウイルスが侵入すれば防げない、ということです。
つまり、ここで強調したいことは、
免疫は(-)か(+)か、ゼロか1かではなく、
その間のいろいろなレベルがある、ということです。
インフルエンザワクチンは
インフルエンザにかからないためのワクチンではなく、
インフルエンザにかかりにくくしたり、
かかっても症状の重症化を押さえたりするワクチンです、
と毎年説明しています。
以前、ある冬、インフルエンザの流行期、
毎日のようにマスクなしで数多くのインフルエンザ患者さんの
診察をしていましたが、
ワタシがインフルエンザにかかることは全くありませんでした。
ところが、ある土曜日、当時小学生の娘が発熱。
迅速検査でインフルエンザ陰性だったので、
まあ、風邪じゃない、ということで様子見てました。
ところが月曜日になっても解熱しないため、
改めて検査したらインフルエンザ陽性。
その翌日の火曜日、ワタシは発熱。
娘と土日ほぼずっと一緒の部屋で過ごしたため、
おそらくウイルス量がワタシの保有する免疫の許容量を上回ったため、
普段はかからないインフルエンザにかかってしまいました。
まあ、免疫とはそういうものなので、
新型コロナウイルスは抗体がつきにくいウイルスのようですがら
かりにワクチンを打っても、
ウイルスを大量に浴びないような
注意、自粛は続ける必要があるでしょうね、残念ながら。
コメントはまだありません
コメント/トラックバック トラックバック用URL: