ロックな耳鼻科:小倉耳鼻咽喉科医院院長、小倉弘之が日々思うこと。

2017.01.04

お餅とハイムリッヒ

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 お正月といえば餅をのどに使えさせて亡くなるお年寄りのニュースが風物詩的に報道される。

 

 

 

 

 

 

 

 

 耳鼻科医をやって30年、いまだその手の患者さんに遭遇したことはない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 大学病院勤務医時代、そんな人が救急搬送されてきたたことがあるが、

その時は他の先生が当直であったので、自ら主治医として受け持ったことはない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 一度だけ、正月当直で電話があり、

○○病院ですが、お餅をのどに詰まらせた方をお願いします、

との依頼があり、

ついに来たか、と思い、看護婦さんにあれこれ指示して準備して待っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 すると、再び電話があり、看護婦さんが出たが、

「先生、さっきの方もういいそうです。こちらには来ません。」

とのこと。

 

 

 

 

 

 

 

 

 そちらの病院で取れたのか、

はたまたもう手遅れとなって亡くなってしまったのか、

その後の連絡もないので、真相は、今もワカラナイ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ところで、気管異物の救急除去の方法として有名な「ハイムリッヒ法」というのがある。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 開発者はアメリカの医師、ヘンリー・ハイムリッヒ氏で1974年に発表。

医学生ならだれでも習うことである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 患者を後ろから抱きかかえ、胸骨下部に急激に圧迫を加えることにより

気管から異物を除去し、窒息を緩和する方法である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ただし、お餅の場合は粘度が高いため、

この方法では取れないということも教わった気がする。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ちなみに昨年、多くの有名人の死亡が伝えられたが、年末の新聞で

そのハイムリッヒ氏の死を知った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 2016年12月17日 96歳で心臓発作で入院していた病院で死去とのことであるが、

正直、まだ、生きてたんだ、と妻と驚いたものだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ところで、ハイムリッヒ氏はその亡くなる2016年、

ハイムリッヒ法により肉を喉に詰まらせた87歳女性を救命したが、

実際に使ったのは初めてだと話したそうだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 なんか、スゴイ話。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 世界的に有名になった自分の方法を96歳にして初めて実践し、

もうこの世に思い残すことはなかったのでしょう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 安らかにお休みください。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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