ロックな耳鼻科:小倉耳鼻咽喉科医院院長、小倉弘之が日々思うこと。

2020.03.09

「鼻がたれる」

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初診の患者さんには問診表を書いていただいていますが、

まず最初の、本日はどのようなことで受診しますか、

という趣旨の設問に対し、このところ花粉症のシーズンですので

「鼻が詰まります」「鼻が出ます」「鼻がたれます」

といった記載が多い。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

実は「鼻が詰まります」は正しい表現ですが、

「鼻が出ます」「鼻がたれます」

は誤りで、正しくは

「洟が出ます」「洟がたれます」

となります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「鼻」とは顔の中央部に隆起する部分の名称で、

その部分は解剖学的には「外鼻」ですが

通常はその内部のキャビティである「鼻腔」を含んだ部分を指します。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さらに耳鼻咽喉科的には

鼻腔に連続する空洞である「副鼻腔」も含めて

「鼻」と総称します。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

これらは人体の構造物ですが、

たれてきたり、かんだりする「ハナ」は、

「鼻」ではなく「洟」という字を書きます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

だから、「鼻が出る」というとピノキオみたいな状態だし、

「鼻がたれる」というのは

芥川龍之介の禅智内供(ぜんちないぐ)のような状態になってしまう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 なので、そのような場合は

「はなが出ます。」「ハナがたれます。」

と、カナで書くか、

「鼻水」「鼻汁」といった言葉を使うのがよろしい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 まあ、いちいち患者さんに

「いや、見たところ、全然たれてないですよ、普通の形です。」

などという、大人気ないツッコミはしませんけど。(^^;)

 

 

 

 

 

 

 

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