ロックな耳鼻科:小倉耳鼻咽喉科医院院長、小倉弘之が日々思うこと。

2010.05.09

「耳鳴り」の悩み

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 今年はスギ花粉が記録的に少なく、
季節性インフルエンザの流行もなかったため、
花粉症時期の患者さんの数は、例年に比べてかなり少なく、
200人を超える日は数えるほどしかなかった。
 しかし、4月の異常気象のせいか、連休前後はなんか混んでましたねー。
 連休明けもすごかったけど、連休前の30日がピークで、250人近く。
 たぶん、いつもはインターネットで待ち人数を見て、
受付やめるとかの人も多いのだろうが、
「連休だ」ってんで、来院しちゃったんでしょうね。
 それでも結構「キャンセル」いましたけど。
 しかし、そんな日に「何年も前から耳鳴りがして」なんていう方が来られたりするのだ。
 「耳鳴り」
 これが難しい。
 一般的には「内耳性難聴」つまり音を聞き取る神経が機能低下してると、
起こることが多い。
 壊れたマイクが、がりがりノイズを発するみたいなものが耳鳴りだ。
「内耳性難聴」は、発症してすぐならば回復する場合も多い。
「突発性難聴」などは、その代表だ。
 しかし、その「突発性難聴」にしろ、約1ヶ月以上経過したものは、
回復は難しい。
 音を感じ取る神経が、死んじゃってるためだ。
 体の細胞はかなり「再生」する。
 傷だって治るし、骨だって折れてもまたくっつくし。
 でも、神経細胞はそうはいかない。
 失明しちゃった人は見えるようにならないのと同じだ。
 そんなわけで、
「難聴のある耳鳴りは残念ながら治りません」
ということを、時間をかけて説明して、納得していただくわけだ。
 これがなかなかツライんです。
 説明に時間もかかるけど、
何とかして欲しい、
という患者さんの期待にこたえられないところが。
 いや、世の中に
「適応症に耳鳴りのある薬剤」
はあるが、
「耳鳴りが治る薬」
は今のところ無いのが現状。
 古ーい薬で「ス○ミ○A」なんて薬があって、
市販薬の「小○製薬」の「ナ○ピ○ン」も同じ成分だけど、
今、臨床試験したら保険の適応症通るかどうか・・・。
 まあ、「効くと思って飲めば効くかも」というレベルなので、
神社のお守りみたいなもの。
 ちょっと私はそれを売る自信ないので、
処方したことは、ありません。
 鼓膜に注射して、薬を入れる、
なんてのも以前は結構やりましたが、
やっぱ、よくなる率は、お守りと同等かそれ以下なので、
最近は、やっていません。
 「耳鳴りの特効薬」できればノーベル賞もんだが。
 まあ、「治る耳鳴り」もありますし、
「耳鳴り」が「重大な病気の前駆症状」なんてこともありますので、
「耳鳴り」の方は、やっぱり一度は病院、かかってくださいね。
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