ロックな耳鼻科:小倉耳鼻咽喉科医院院長、小倉弘之が日々思うこと。

2008.05.13

養護学校の検診

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 お昼休みは、検診です。
今日の検診は、あしかがの森病院に併設されてる足利養護学校です。
最近は特別支援学校というらしい。
 山奥にあり、遠いです。昼飯を5分で食べて、すぐ出発。
ここの検診の時は、職員2人に一緒に行ってもらいます。
 毛野のローソンを曲がって、ひたすら北を目指す。
どんどん人家がなくなり、やがて道路のセンターラインもなくなります。
この道で、ダイジョブなの、と思う頃、突然病院が現れます。
 山間の、自然に囲まれた環境。先生の話では、ムササビが出ることもあるそうです。
 まず、保健室で検診。歩いてくる子もいますが、松葉杖、車椅子の子はけっこう多いです。
首の動かせない子も多いので、車椅子の右、左にこちらが動いて耳を見ます。
私はヘッドランプを使っているので、出来ますが、
額帯鏡(ムカシお医者さんが使ってた真ん中に穴の開いた頭につける鏡)では大変でしょう。
 さて、保健室での検診が終わり、本番はここから。
病棟にいる子達の回診です。
3つ4つの病棟を器械や光源、ヘッドランプを持って回ります。
 この学校は重度心身障害者の子供たちが多くいます。
起き上がれないどころか、自分では寝返りも出来ない子供たちです。
多くは、気管切開をされ、鼻からは経管栄養のチューブが入っています。
ずっと片側を下にして寝ているので、
頭蓋骨が変形して下になった側がまっ平らになってる子もいます。
 看護婦さんや介護の人に持ち上げてもらって下から見上げるように耳の中を見たりします。
肢まで固まっていて、体の向きを変えてもらうと肢が真上に向いちゃう子もいます。
この辺になると、先に述べたヘッドランプがないと、全然対応できません。
 検診は一般には診るだけですがですが、
ここでは場合によってはたまってる耳垢をその場で取ってあげます。
フツーの子なら
「はい、この子、耳垢です。」
で、お医者さんに行って取ってもらいなさい、となるのですが、
ここでは、そうは行きません。
 耳鼻科どころか、外出も出来ない子ばっかりです。
だから、助手を2人も連れて、(もちろん時間外手当は、私の負担です)
耳垢鉗子なんかで、取れる耳垢は、取ってあげます。
 そのために、耳垢鉗子を何本ももって行きますが、最近は学校のほうで買ってもらって
用意してもらえるようになりました。
 確かに、いまさら耳垢など取っても、というような子供ばかりです。
でも、これくらいのことはしてあげないと、という気持ちになります。
それでも、ベッドサイドでは、充分な処置が出来ず歯がゆい思いもあります。
 救われるのは、周りのスタッフの明るさです。
大変な仕事だと思いますが、常に笑顔で対応しています。
大きな耳垢を取ると
「あーら、○○ちゃん、すっきりしたねー。これで、音楽がもっとよく聞けるねー。」
「気持ちよくて、笑ってるんじゃない。」
そうなのかなーと思って、寝ている子供のうつろな瞳を覗き込むと
なんとなく、喜んでるようにも見えることもあります。
 最近、国やら県やらの予算が下りたらしく、病院はぐっときれいになり、
介護職員も大分増えたようです。
 私もここの校医になって12,3年たちます。
向こうはどうかわからないけど、顔を覚えてる子も何人かいます。
「おっ、まだこの子いたかー。」
と思うと、それがいいことなのか、悪いことなのかよく分からず、
うれしさと切なさが交じり合った、複雑な気持ちになります。
 

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