電気ポットの化学
昨日妻が「ポット、壊れちゃったよ。」
と言った。
えー、パソコンに続いてまた電化製品の故障かよ、
と思ったが、そういえば前日確かオレがポットの掃除をした。
お湯がカラになったので水を入れようとして
ふと見るとなにやら中にいっぱいこびりついている。
たまにはこれを取ってやろうとガリガリこすったり、逆さまにしたリしたんだった。
確かにスイッチを押すとごわんごわんすごい音が鳴ってるだけで全然お湯が出ない。
オレが壊しちゃったのか。
新しいの買おうか、と言う妻に、いやちょっと待て、
とインターネットで検索。
いろいろ調べると診断としてはポンプの中に石がつまっちゃったらしい。
オレが不用意にガリガリしたせいだ。
異音がしたりお湯の出が悪い時はクエン酸洗浄で良くなるらしい。
レベル的には異音もものすごく大きいし
お湯も出が悪いどころではなく全く出ないので
果たしてこれで救命できるか。
ともかく「クエン酸洗浄剤」をスーパーで買ってきて妻に試してもらった。
「どうだった?」
「全然ダメみたいねー、でももう一回やってみる。」
すると2回目は音がやや小さくなり、ちょろちょろお湯が出るようになった。
お、ひょっとしてイケルかも?
で、もう一回クエン酸洗浄して
今朝になったらポットは復活!
音も故障前より静かになっていた。
なんか、お湯出口から細かい石も出たそうだ。
ヨカッター\(⌒▽⌒)/
で、そもそもナニが起こったのか?
クエン酸ってのは大学の生化学でクエン酸回路なんつーモノを丸暗記させられたが
ほとんどゼンブ忘れた。
しかし柑橘類や梅干などにも含まれる物質だ、くらいは知ってる。
クエン酸は調べてみるとこんな化学式
CH2COOH
|
HOCCOOH
|
CH2COOH
これはカルボキシル基がついてるから弱酸だな。
一方ポットの水垢は炭酸カルシウムCaCO3だそうだ。
これらが反応してクエン酸カルシウムCa3(C6H5O7)2と
クエン酸水素カルシウムCaH(C6H5O7)になる。
なるほど
酸+塩基→塩(えん)+水
ということだ。(これなら高校生レベルだ、ナツカシイっすね)
このできる塩のうちクエン酸カルシウムは水にやや溶けにくいので
クエン酸量を過剰にして水溶性のクエン酸水素カルシウムにしてしまうと。
おお、なんかスッキリした。
お湯とともに出てきた小さい石はクエン酸カルシウムだったかも。
ついでに、じゃあなんでポット内に炭酸カルシウムがたまるのかも調べてみた。
もともと水道水に溶けてる炭酸水素カルシウムは、
Ca(HCO3)2 → Ca2+ + 2HCO3-
のように電離して解けている。
ところが、このような水を煮沸すると炭酸水素イオン HCO3- が分解して、
2HCO3- → CO3 2- + H2O + CO2
となり
Ca(HCO3)2 → CaCO3↓ + H2O + CO2
という反応が起こり、水に溶けにくい石灰石の主成分である炭酸カルシウムCaCO3
ができると。
なるほど電気ポットは煮沸するからか。
やっぱり、化学、大事だす。
ところで、我がロックバンド「CRP」の前原先生の奥様が尿路結石とのことで
先日前原先生から相談を受け
泌尿器科医であるワタシの弟に紹介した。
そして弟に「体外衝撃波結石破砕術」いわゆる「石割り」をやってもらったそうな。
前原先生の奥様が術後尿中に砕けた石が出たと言う話を聞いて
失礼ながら、ふと連想してしまった。
こっちも調べたところ、カルシウム結石はクエン酸で解けるが
クエン酸を多く含む食品を食べても
結石の原因であるシュウ酸の摂取量も増加するので勧められないと。
人間はポットより複雑なので
ウメボシ食べてもダメらしい。
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