難治性の滲出性中耳炎
はじめまして。滲出性中耳炎について検索していてこちらへたどり着きました。
9歳の子供の滲出性中耳炎についてご相談できればと思い書かせていただきます。
0歳9か月の時に、初めて急性中耳炎になり、その後 滲出性中耳炎に移行し9歳の現在まで滲出中耳炎の状態が続いていて継続治療中です。この間、急性中耳炎には41回かかりました。また、両耳チューブ留置を二度受けました。
チューブは一度目は、半年ほどで自然脱落。二度目は片方は1年ほどで自然脱落しましたが、残る片方は2年半 留置後に抜去しました。
が、抜去して1週間ほどで滲出性中耳炎の鼓膜所見と聴力の低下傾向がみられるというのが現在の状況です。
滲出性中耳炎の治療として、就学前は週に2~3回通院して通気治療や吸入、服薬(ムコダイン)を受けました。小学校に上がってからもに1~2回通院して同じ治療を続けています。
アデノイドは大きくはなく、鼻や喉の状態も問題ないと言われています。
今まで続けている通院治療・服薬、症状をみて鼓膜チューブ留置・・これらを根気よく続けるしかないのでしょうか。。。
長期にわたり、改善しないので不安です。。。
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このようなコメントをいただきました。
急性中耳炎41回・・・・・・。
大変でしたね。
9歳というと、一般的には中耳炎を「卒業」する年齢です。
耳管が短く水平に近い幼小児期は中耳炎になりやすい時期ですが、
小学校に入ってしばらくすると耳管が大人に近いかたちになり換気機能もよくなり、
また鼻咽腔の自己管理もできるようになることから中耳炎になる機会はぐっと減ります。
では、なぜ水が溜まってしまうのか?
中耳の換気を行う耳管は鼻の一番奥に開口しているので、
副鼻腔炎(蓄膿症)アレルギー性鼻炎などの慢性鼻疾患や、
アデノイドなどの上咽頭病変があると閉塞し水が溜まってしまします。
しかし、この方は異常がない。
実は、中耳の換気は耳管だけではないのです。
中耳はその奥で乳突蜂巣といわれる含気腔と連続しています。
含気腔とは骨の中に気泡のような空洞がある部分です。
これは、赤ちゃんの時にはありませんが頭蓋骨の成長とともに発育し、
側頭骨の中に蜂の巣のような空気の入った小部屋が形成されていきます。
しかし、中耳に水が溜まった状態が続くとこの発育がうまく行われません。
この骨の中の空気の入った小部屋が中耳のガス交換に大きく関わっていることが最近の研究で分かってきました。
だから、この乳突蜂巣の発育が悪いと滲出性中耳炎がおきやすい、治りにくいのです。
乳突蜂巣の発育は思春期までと言われています。
ご質問の方は9歳ですので、チューブが入っていた期間は含気化が進んだと思いますが
中耳に溜まっていた期間も長いため乳突蜂巣の発育が通常より悪く、
そのために浸出液が貯留しやすいと考えられます。
もちろん、含気腔がなければ必ず水が溜まるわけではなく
中耳から耳管にかけての状態が良ければ水はたまりません。
しかし、そのためにはある程度の期間、中耳に水がない状態が続き
粘膜が修復されなければなりません。
なので、水が溜まっていれば切開し、
くり返し溜まればチューブを入れるなどして
中耳腔に水のない状態を作っておくことにより
含気化を促すとともに、中耳粘膜機能の回復を図ることが大事です。
根気よく治療を続けてください。


お忙しい中、ご相談にのっていただきありがとうございます。
「鼻や喉の状態が良いのに、なぜ治らなんだろう・・。こんな子は初めて。僕には原因が分からない。」と通院先で言われていたので、他にも考えられる原因を詳しく教えていただき 子供の状態にもちゃんと原因があったことに納得できました。
耳に水の溜まらない状態を作ってやることが大事なのですね。
根気よく治療を続けるしかないですね。長引く状況と治療に不安でしたが、原因と どんな治療が必要か、なぜ必要かという ところを丁寧に教えていただけて納得できたので 頑張れそうです。
本当にありがとうございました。
これからもブログ楽しみにしています。