ロックな耳鼻科:小倉耳鼻咽喉科医院院長、小倉弘之が日々思うこと。

2012.09.10

野性の証明

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最高気温は連日30度超えであるが、
朝晩の気温は徐々に下がりつつある。
 朝、犬の散歩にいくと
最後のミンミンゼミが過ぎゆく夏に
必死にしがみついているかのように啼いている。
 犬のリードを持つ背中に感じる朝陽に夏の名残りの温度を感じつつも、
頬に当たるわずかな冷気は明らかに秋のそれである。
 そして耳鼻科の外来の様子もほのかにに秋の気配を感じさせる。
 真夏によくなってしまう鼻炎や耳管狭窄症、中耳炎などが
再びジワリと増えつつある。
 人間の体には気圧や気候の変化に対するセンサーが備わっている。
 この気圧の変化が耳の不快感として感じられている。
 環境や生活が完全にコントロールされた現在では
ほとんど意味がないが、
まだヒトがケモノだった頃は
気圧や天候の変化は場合によっては個体の生死を分けるほど
重大な問題だったはずだ。
 気圧の低下は天候の悪化の前触れであり
野生動物にとっては一刻も早く知りたい情報である。
 世代間のDNAの伝承という気の遠くなるような回数の
積み重ねによって獲得した機能は、
その後ヒトという生物の生活態度の変化により
その機能の必要性の減少によって
表に出ることがなくなったものの、
それでも遺伝子の箪笥の奥の方に折り畳まれ仕舞われている。
 目や耳と言った特定の感覚器ではなく、
体のいろいろな部分からそれを感じ取っているのだろう。
 例えば食べ物の味が味覚の神経だけでなく、
嗅覚や触覚、温痛覚などの総合的感覚として
知覚されるように、
複数のセンサーが重なりあって知覚していると考えられる。
 皮膚や消化器およびそれ以外の未知のセンサーと共に
鼓膜の張力(聴力ではなく)は確実にその一役を担ってると考えられ、
耳管狭窄症の人や耳管開放症の人などは
この時期になると不調を訴える方が多い。
 鼓膜の動きに対する気圧の影響だけでないことは、
鼓膜に穴が空いていて気圧の変化を受けないはずの人が
耳の不快感を訴えることでもわかる。
おそらく耳管などにもそのセンサーがあるのだろう。
 そして耳以外にも、めまいや消化器運動や、ホルモン分泌の異常、
抑うつ気分や不眠症にまで気圧の変化は影響を及ぼしているのではないだろうか。
 台風がくると喘息の発作を起こしたり、
雨が降ると関節が痛むなんてのも
古来のDNAに組み込まれたセンサーの遺残が働いているのだろうなあ。
 いわゆる「野生の本能」は言葉ヅラより
実はよっぽどナイーブなものだったりするのである。
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