ロックな耳鼻科:小倉耳鼻咽喉科医院院長、小倉弘之が日々思うこと。

2008.03.09

遠距離受診

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 いまいましい花粉症のせいで、土曜日の外来は、忙しい忙しい。長くお待たせした患者さんスミマセンでした。平日は比較的すいてるんですけどねー(朝イチと、夕方遅くは別。)
 そんな忙しい日に2時間もかけて、群馬県の中之条というところから通院してくる患者さんがいます。
 K君(といっても今や40過ぎのオヤジですが)は、かつて群馬に私がいたとき、診ていた患者さんです。
 今を去ること17,8年前、K君は群馬大学病院に入退院を繰り返していました。「喉頭蓋のう腫」という、のどに腫れ物ができる病気で手術が必要だったのです。小さいものなら、経過観察でよいのですが、彼の場合は喉頭内を占拠するほど巨大で、食事や、場合によっては呼吸を妨げる恐れがあったのです。
 ところが、何回手術をしても数ヶ月で再発してしまい、再手術が必要になります。喉頭蓋のう腫は、組織の一部が残ると再発しやすい病気ですが、4回やって4回とも再発というのは尋常ではありません。
 このとき、私は担当医ではありませんでした。大学病院にはたくさん医者がいますから、私よりも先輩の医師が執刀し、私は手術室に入ることもありませんでした。もちろん、病棟では顔をあわせますし、話をしたこともありました。そもそも、何回も入院してるので、医局のほとんどの医者と、顔なじみです。症例検討会で、たびたび取り上げらていましたが、おー、大変そうだなーと思っていたものです。
 私が、その後市内の病院に出たのですが、そこに突然K君が手術をしてほしい、と診察に来ました。
 「俺で、いいんかい。」 
正直、そう、思いました。ウチの病院では、私が一番上です。もちろんこの手術の経験はありますが、大学病院で4回やって治らんかったのを、私ができるんかいな。
わざわざ、私を頼ってきてくれたのかと思いましたが、本人は、大学病院の手術では、尿道に管を入れられるのでいやだから、といってました。(もちろん、手術を受けるわけですから、それだけではなかっただろうとは思ってますが。でも、やっぱりそれだけだったかも。)
 ともかく、改めて文献や手術書を調べ、手術法を検討しました。最後の手術は、私が大学病院を出てからだったので、カルテを見に行ったたり、先輩の意見などを聞きました。最後の病理診断には「悪性化の可能性も完全に否定できない。」といった、気になるコメントも。
 結局、完全に取りきることが肝要と結論し、定型的な手術を行いました。
 そして、運がよかったのか、私の手術がよかったのか(やっぱり、運かなー)、これきり彼はこの病気とおさらばできたのです
 最初のうちは、退院後、外来でファイバーを入れるたび、再発してませんようにとドキドキしたものです。3-4年たって、私が病院をやめ、足利で開業することになったとき、
「俺の喉は、先生しかわからないから。」
と、そのときはもう再発の恐れはほとんどなかったのですが、3時間かけて遠距離通院することになりました。その後、北関東自動車道が伊勢崎までできたので、2時間に短縮。
花粉症があるので、その薬をもらうついでに、今でも年一回顔(と喉を)を見せに来ています。
 しかし、K君、惜しかった。今日午後3時から北関東道が太田まで開通し、片道30分、往復で1時間も時間短縮できたのにね

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