花粉症の初期治療に関する新しい考え方
えーと、まだ先の話なんですが、
早めに知っといてイイことなのでお話しときます。
毎年スギ花粉症で治療されてる皆様にお知らせです。
花粉症のときは、症状が出る前から薬を飲んだほうがいいという
ことは、もう一般にはかなり浸透しましたね。
これ、もう20年近く前から始まったやつで、
当初は「季節前投与」といわれてましたが、
近年は「初期療法」といわれ、ガイドラインにも記載されてます。
ケミカル・メディエーター遊離抑制という作用を持つ薬が開発されたとき、
この考え方が起こり、のちに治験も行われその有用性は
実証されています。
かつては「抗アレルギー剤」と呼ばれましたが、最近はこの呼び方はなくなりました。
その後、この作用を持った薬が出るたびに治験が行われ、
その効果も確認され、
「初期療法」はもはや常識化しました。
ただ、「遊離抑制薬による細胞膜の安定化」が、その主たる作用機序だとされ
その効果が出るのに2週間程度かかるので、
「スギ花粉の飛ぶ2週間前から飲む」
というのがこれまでの考え方でした。
ところが、最近の研究によって新たな事実がわかりました。
初期療法の効果の多くは、拮抗剤がヒスタミンレセプターをブロックすることによって起こる
細胞の沈静化によって起こる効果であることがわかってきました。
ちょっと話が難しくなりましたが、要するに結論はこれです。
「花粉症の薬は花粉が飛び始めてから、
もしくは症状が出始めてから飲み始めればよい」
2週間前から飲まなくても大丈夫。
なぜなら遊離抑制剤の効果と違い拮抗剤はすぐ効果が出るからです。
(病院で出るアレルギーの薬は大体、遊離抑制効果と拮抗剤の両方の作用のある薬です。少なくとも当院では。)
今までは、節分過ぎたらそろそろ薬始めましょう、
って言ってましたが、来年からはその必要ありません。
周りの人にも教えてあげましょう。
もちろん、症状がひどくなっちゃってからでは薬がなかなか効きませんし、
良くなってもシーズン中は飲み続ける、ってのは以前と同じです。
まあ、毎年当院で治療されてる方は例年1月末から2月初めに来院いただいて
1シーズン2~3か月分の薬をまとめてお出ししているので、
その時に、飲み始めの時期について説明させていただきますが。
(年1回しか会わない患者さんが結構多いのだ)
このこと、すごく大事なことなので、各メーカーはお医者さんのところに行って
新たな知見の説明をしなきゃいけないとこですが、
メーカーにとっては2週間分、あるいはそれ以上売り上げが落ちるわけですから
わざわざ、ちゃんと、説明するかなー。
少なくともオレんとこには来てないけど。


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大変興味深い内容で勉強になりました。
この考え方のソースはどちらに御座いますでしょうか。
薬局内での勉強会に使用したいと思います。
よろしくお願いします。
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遅くなりました。
プロの方にお読みいただき、大変光栄です。
このお話は、先日の「日本耳鼻咽喉科学会専門医講習会」で
福井大耳鼻科教授の藤枝先生が話されたお話です。
文献としては日本鼻科学会誌の2007年第46巻に掲載された論文があります。
(実は、私、読んでなかった・・・。)
またなにかありましたらコメントよろしくお願いいたします。