ロックな耳鼻科:小倉耳鼻咽喉科医院院長、小倉弘之が日々思うこと。

2008.03.29

群馬花粉症事始(ぐんまかふんしょうことはじめ)

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 中耳炎、副鼻腔炎、花粉症は、サード・ウェーブの方が、多数来院されています。
(サード・ウェーブについては、過去ブログセカンド・ウェーブを参照のこと。)
 桜の花が咲いたので、スギ花粉はあと2週間内外ですが、ヒノキはこれから増えますから要注意です。
スギとヒノキの花粉は、顕微鏡で見ると良く似ていて、てっぺんに突起があるかないかくらいの違いです。
スギ花粉症の方の4割程度がヒノキも合併していると思われますので、油断はできません。
 さて、実はナニを隠そう、群馬県で、最初にスギ花粉の測定を始めたのは、私です。
 今を去ること20数年前、私は群馬大学の耳鼻咽喉科学教室のアレルギー研究班に属していました。
当時、教室はハウスダスト、ダニなどの通年性アレルギーの研究が主体で、スギ花粉症には取り組んでいませんでした。
私は当時のアレルギー班のボス、I村先生(女医)に訊ねました。
「先生、何でウチは、花粉症やらないんですか?」
「あのねー、小倉さー、ありゃ毎日のスギ花粉の個数がわかんないと検討できないんだよー。」
「それって、どこに訊けば、教えてくれるんですか。」
I村先生(女医、バットマンに出てくるジャック・ニコルソン演じるジョーカーに似ている)は答えました。
「なーに言ってんの、そんなもん、群馬あたりじゃ、どっこも数えてないさー。」
 今でこそ、花粉情報は天気予報で必ず出てきますが、当時は、テレビでも新聞でもそんなコーナーはありませんでした。
てっきり前橋地方気象台にでも問い合わせれば、すぐわかると思ってましたが、とんだ見当違いでした。
そういえば、どこにもそんな情報出てないや。
(余談ですが、当時、私は医局のレクリエーション係を何年かやっていたので、春になると前橋地方気象台に問い合わせて、
桜の開花状況、天気の情報をチェックし、医局のお花見の日時を決定する立場にありました。
教授から婦長から全員参加の会ですので、失敗は許されません。)

 「いっちょ、俺がやってみるか。」
 というわけで、いろいろ資料、文献を集めて花粉収集法、染色、カウントの仕方、手探りで始めたわけです。
花粉のカウントは、今は光電管とかレーザーとか使って自動カウントできるようですが、
当時はもちろん、一個づつ数える
花粉収集機といっても、金属の円盤が2枚あってその間にスライドグラスを置く台があるだけ。
ダーラム型という固定式の奴とTSロータリー型という風向きによって回転するタイプがあるようだ、なんてことがわかりました。
で、資料をまとめて、教授を通して、研究予算を請求。この花粉収集機、何故か東京の名もない町工場みたいなところで作ってるみたいで
高いほうのTSロータリー型でもたしか3万円程度だったので、すぐ予算は下りました。
(ところでTSって何だったんだ。何かIHクッキングヒーターみたいだけど。)
 んで、いろいろ準備をして、大学の臨床研究棟の8階の屋上に、花粉収集機を設置したわけです。
私が、自らロープを張って固定しました。
 そして、いよいよ、花粉の収集、カウントを始めました。
毎朝8時に屋上まで行き、ワセリンを塗ったスライドグラスを交換します。もちろん、雨の日も雪の日も。
夜、仕事が終わった後、それを染色し、顕微鏡で見てカウントするのです。
休日は、当直の先生にお願いして、私の第4研究室においといてもらいます。
 いつからはじめるか、考えましたが、1月15日の成人の日(昔は日が決まっていた。)の翌日から始めたように記憶しています。
 さて、わくわくしながら、初日のスライドグラスを染色し、顕微鏡で覗きます。
・・・ゴミばかり・・・
まっ、そりゃ、そうだ。まだ1月だ。
で、次の日も
・・・ゴミばかり・・・。
前橋の1月といえば、冷たいからっ風がびゅうびゅう。毎朝、スライドグラスを交換に屋上に行くんだけど、寒いのなんの。
でも来る日も来る日も
・・・ゴミばかり・・・。
こりゃ、萎えるわ。
何か、染色法とか、間違ってるんではないかと思い始めた、いーかげんいやけがさしてきた2月のある日。
「おっ、こっ、これはっ!まさしくスギ花粉ちゃんではないかー!」
そこには、本やなんかで見たことがある、紛れもないスギ花粉がにっこり微笑んでいたのであった。
(いや、微笑まないけど)
「やったー。」
と、思わず叫んでました。
翌日、顕微鏡を覗くとさらに多くの花粉が。
「おおっ、あるあるある。」
そして次の日は、視野一杯に多数の花粉が。
「おー、記録更新じゃ。
しかしなおもさらに花粉は増える増える。
「うえー、数えられねー。
何しろ、先に述べたように、花粉は目で見てカウンター(あの、指で押して、入場者数なんかをカウントする奴)
で、カチカチ数えるわけだ。
あまりの花粉の多さに、乗り物酔いのような気持ち悪さが。
昨日も、今日も、明日も。いつ果てるともない、花粉の嵐。
毎日、顕微鏡に向かいカウントするのがゆううつ
そして、やっと、減ってきたかなーと思っていた頃。
「あれれ、なんか今日は、やけに多いぞ。」
よくみると
「げっ、花粉に突起がねえ。こいつらは、ヒノキやろーだー!」
ひょえー、まだまだ続くのかー

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