続・ウイスキーの話
先日のウイスキーの話で思い出しました。
ウイスキーといえばスコッチ、という時代があった。
かつてのサントリーウイスキーのヒエラルキーでは
ローヤルが高級ウイスキーであったが、
別格であったのがスコッチウイスキー。
まあ、クラウンに対してのベンツ、BMW,
グランドセイコーに対してのロレックス的な。
時は1979年冬、群馬大学教養部のスキーツアーがありました。
医学部、教育学部、工学部の三学部の1年次は
教養部といわれ同じ荒牧キャンパスで学びます。
まだ、各学部の専門分野ではなく
語学、数学、心理学、文学、化学などの共通一般教養を学ぶので教養部。
その3学部合同のスキーツアーで大学主催なので教授連も同行します。
昼間のスキー教室は
スキー初心者には教育学部体育科の学生がコーチしてくれます。
そして、夜は当然ロッジに宿泊。
大食堂での夕食のあと各々部屋に持ち込みのアルコールで二次会宴会となります。
そのとき親が医者やってる同級生が、
親がお歳暮でもらったスコッチをかすめ取ってきました。
ジョニーウォーカーブラックラベル、いわゆる「ジョニ黒」です。
いまなら2000円ちょっとで買えちゃう「ジョニ黒」ですが、
当時は多分1本8~9000円。
いつも安酒飲んでる貧乏学生にとってはなめたこともない超高級ウイスキーです。
さて、友人数人とわいわい飲んで、あっちゅうまにビンはからっぽ。
ほかの持ち込みアルコールもしこたま飲んで、
誰かがふと言い出しました。
この空き瓶にサントリーを詰めて教授の部屋に行こう。
ドイツ語の教授に酒を飲ませて試験のことをお願いしよう。
教養部で取得しなければならない単位の中で
ひときわ難関なのはドイツ語でした。
よし、行こう、ということでジョニ黒のビンに国産の安いウイスキーを詰めて
教授連の泊まっている部屋のドアをたたきます。
こちらも酒盛り酩酊状態です。
教授、 I 君が親父さんからかすめ取ってきたジョニ黒です、どうぞ。
と、教授のコップになみなみと注ぎます。
おお、そうか、そうか、
うーん、やっぱりスコッチは違うねー。
大変失礼ではありますが、
地方国立大学の教授レベルではスコッチウイスキーの味など当然わからず、
もっとも、あれだけ酔っぱらってれば誰でもわからないか。
先生。ささ、もう一杯、
あートリンケン、トリンケン、ビッテ、ビッテ、
後期の試験、よろしくお願いします。
((注)トリンケン:trinken 【独】意味;(酒を)呑む、英語だとdrink
ビッテ:bitte【独】意味:どうぞ、英語だとplease)
ああ、わかった、わかった。
かくして、無事われわれはドイツ語の試験をクリヤーしたのでした。
だが、実際のところまさかそんなことで温情をかけて通してくれるはずはなく、
さらに、あんだけヨッパラってたので、
そんな約束はおそらく覚えてもいなかったでしょうから、
そりゃ、ワレワレは実力で通ったと思ってはおりますが。(^_^;)
今は、いろんな意味で、こんなことはないでしょう。
古き良き時代のお話です。
昭和は遠くなりにけり。
もうすぐ平成も終わっちゃうね。


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