ロックな耳鼻科:小倉耳鼻咽喉科医院院長、小倉弘之が日々思うこと。

2009.03.17

本能的処方

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 「托卵(たくらん)」というのをご存知ですか。
カッコウなどが、ホオジロ、モズなどの他の種類の鳥の巣に卵を産みつけ、
育てさせるというもの。
カッコウの卵は早く孵化し、雛の成長も早いので
もともといる卵や雛を巣から蹴落としてしまいます。
 親は自分よりはるかに大きくなった雛にせっせと餌を運ぶのですが、
どうも、雛の口をあけたときの色を見ると、
餌をあげなくてはいられなくなってしまうみたいです。
あいてる口の色を見ると、それが自分の子供かどうかなんてのは、どっかいっちゃうみたいで。
 げに、本能とは恐ろしいもの。
 小児科の先生の中にもそれとよく似た習性を持つ人がいるみたいです。
 今日かかった、7ヶ月の赤ちゃん、ハナが多いので
耳だれで受診した2つ上のお兄ちゃん(当院でチューブ入れてます)といっしょに受診しました。
この赤ちゃん、水曜日の午後に熱が出ましたが、当院は水曜午後休診なので、
近くの小児科にかかったそうです。
「それで、インフルエンザ、Bだって言われました。」
「あー、そう、わかって良かったね。でも、大変だったね。この歳だとタミフルも飲めないしね。」
「ええ、でもわりと早く熱が下がってよかったです。」
「そりゃ良かったですね。」
「メイアクトが効いたんですね。」
「!?メイアクト?」
「この子はまだタミフルが飲めないからって、メイアクトとクラリスが出ました。」
「メイアクトとクラリスが同時に!!」
 もともと、このセンセイ、抗生剤が大好きでどんな患者さんにも
抗生剤を出すので有名。
そのたびにコッチで患者さんに説明するので、疲れるったら。
 しかし、診断がつかないならまだしも
(いや、それでも0歳代の子供に初診で憶測で抗生剤出すのはマズイけど)
「インフルエンザB型」って自分で言っといて抗生剤、しかも2剤、しかも0歳児!
 おそらく、ホオジロの親が
「この子は自分の子ではない、
でもこの口をみると餌を運ばずにはいられなくなる」、
と同じように、このセンセイは
「この子はインフルエンザの発熱だ、
でも発熱の子をみると抗生剤を処方せずにはいられない」、
とういう、「本能」というか「呪縛」みたいなものにとらわれてるに違いない。
「インフルエンザなんだから、とりあえずメイアクトもクラリスもいらないから。
インフルエンザのあとは、ハナやセキが続くものなので、少し経過みましょう。
また、熱が上がったら、診てみましょうね。」
 それにしても「殺菌的」な抗生剤のメイアクトと「静菌的」な抗生剤のクラリスは
併用しない、って原則があるんですけどね。

1件のコメント

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    そういう医者。「患者を思って」とか言ってますが、結局は患者の為にならない。「多弁して処方せず」の医師が実は名医であることを一般の人は分らないんでしょうね

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