ロックな耳鼻科:小倉耳鼻咽喉科医院院長、小倉弘之が日々思うこと。

2020.06.16

新型コロナウイルス抗体検査


業者さんが来て、

新型コロナウイルスの「抗体検査」ができますけど、

やりませんか、と持ち掛けてきました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

新型コロナウイルスの検査としては「PCR検査」

という検査をよく耳にされたと思います。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

PCRとはポリメラーゼ連鎖反応の略で、

英語で言うとPolymerase Chain Rreactionの頭文字となります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

採取した検体の中からウイルスの遺伝子の一部を切り取り、

それを増幅させて検出する方法で、

手間と時間がかかります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ウイルスの遺伝子を増幅させたものなので、

陽性ならば、今、そこにウイルスがいる、

ということがわかりますが、

ウイルスを採取しそこなうと、陰性に出てしまいます。

これを偽陰性といいます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

また、ウイルスがいる、ということは「感染」しているわけですが、

症状が出ていること、つまり「発症」していることとは、また別です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

つまりPCR検査陽性なら、ヒトにうつす可能性がある、

ということですが、陰性の人からもうつることがあります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

また、いったん陽性になった人から、

ウイルスが消えたかどうかの確認にも用いられます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、抗体検査とは、ウイルスに対抗して体が作った

抗体があるかないかを調べる方法で、

抗体は血液中をめぐっているので、血液を採取します。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

PCR検査に比べ、時間も手間もかからず、コストは安いです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ただし、この抗体を検知する簡易検査の感度は

検査キットによってばらつきがあるようで、

4月に日本感染症学会がPCR検査と照らしあわせてやったテストでは、

A社は40%、B社は0%、C社は60%、D社は80%

の的中率だったそうです。

B社、全然当たってねえじゃん。(-_-メ)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ということで、中にはあてにならないものもあると。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 しかし、最近出た2社の方は、

簡易キットではなく、精密抗体検査という

検査センターに検体を送るタイプですが、

感度が高く、業者さんが紹介したヤツは、

100%だ、と言っていました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 しかし、ここにも問題点が。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 抗体陽性が認められた場合、

もし100%ならば、その人が

新型コロナウイルスに罹患したことは間違いありません。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 だが、今、ウイルスがいて感染力がまだあるのか、

もうウイルスが消えちゃってるかまではワカラナイ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 一般には抗体ができれば、もう次はかからない、

ということが多いのですが、

今回のウイルスはPCRで陰性化したあと、また発症した人がいるので、

抗体の持続性にもまだ不明な点があります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 なので、抗体検査で陽性となった場合は

①新型コロナウイルスにかかったが、もうウイルスはいない

②新型コロナウイルスにかかって、まだウイルスがいる

のどちらか、ということになります。

なので、PCR検査をしてウイルスの有無がわかるまでは

他人との接触は避けるべきである、

ということになります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして、抗体陽性でも、また再びかからないとは言い切れない、

ということです。(確率は少なくなりますが)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 いっぽう、抗体検査陰性となった場合は

①新型コロナウイルスに、まだかかっていない

②新型コロナウイルスにかかったが、まだ抗体ができていない

のどちらかということになります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ②のパターンは「ウインドウ期」といわれ、

ウイルスが身体に侵入してから、

抗体がつくられるまでの間にタイムラグがあるので、

その時期に検査をすると、

身体にウイルスがいるが陰性に出る、

ということになります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 たとえば、おたふくかぜでは

発症後3日程度で抗体陽性になりますが、

おたふくかぜの原因となるムンプスウイルスの感染は

さらにその2,3週間前におこっています。

B型肝炎などでは抗体陽性まで約1カ月程度かかります。

そして、今回の新型コロナウイルスについては、

その期間は感染後14日程度であるといわれています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 いっぽう新型コロナウイルスの潜伏期間は平均5日程度なので、

発症していても抗体陰性の場合がかなりあり、

その場合はPCR検査で、確認しなければなりません。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 なので、まとめますと、

症状のない人に抗体検査をして陰性だった場合、

①過去に新型コロナウイルスにかかったことは無いか、

②かかって14日以内であるか(その後症状の出るでないにかかわらず)

のどちらかである、ことしか分かりません。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 あまり意味ないな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 しかし、全く意味が無いわけではありません。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 この抗体検査を、特定の地域において

一時期に数百人から数千人規模で調べると、

その地域全体のおよその抗体保持率がわかります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 すなわち、新型コロナウイルスの「ウェーブ」が

通過した地域かどうかがわかります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 これは疫学的に大変重要なことで、

その抗体保持率と、被験者の症状の有無、

そして、実際にPCR陽性により確認された患者数、

さらに死亡者数を照らし合わせると、

新型コロナウイルスの発症率、致死率が推測できます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 PCR検査は、瞬間的な感染しか分かりませんが、

抗体は時間を置いた感染歴をはかることができるからです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そんなわけで個人が調べる意味はあまりないような気がしますが、

ネットで検索しますと、

「新型コロナ抗体検査できます」

などとホームページにあげている医療機関はけっこうありますね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 現在のところ保険適用はないので、

自費で6000円から10000円くらいで

検査しているところが多いようです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 イチマン円(@_@)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 実は、今日業者さんから言われた金額は

具体的には言えませんが、かなり、安い。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 6000円でもぼろ儲けです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ウチもコロナ騒動で来院患者激減ですので、

経営的には苦しく、

この抗体検査をやれば、それなりに損失補てんになるでしょうが、

あまり意味のないことをやる気もしないので。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 いろんなクリニックのホームページをみますと、

医学的意味についてはあまり明確に説明していません。

中には、医学的説明はしません、なんていうクリニックもあり、

てめえは、医者か、と言いたくもなります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 本来であれば、これは国が主導して、

国民に広く採血をお願いし、

それによって地域ごとの抗体保持率を把握して、

第2波への対策にする、というのが筋だろうに、

医療機関の金儲けの手段になってるのはどうなんでしょう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 医療機関ではいろいろな理由で日々血液検査を行っていますから、

それを流用させてもらって、

国の負担で無料検査を行い、

データを集積することはできないんでしょうか。

 

 

 

 

2件のコメント

コメント/トラックバック (2件)トラックバック用URL:

  1. 先生、いつも詳細な情報をいただき誠にありがとうございます。
    様々なことが腑に落ちました!今回も周辺に伝達させていただきます。
    しっかし、前回の新型インフルエンザの時もこちらにコメントさせていただいたのを思い出しますと、あれから長い年月が経ち、色々なことがありましたね~。
    今後もよろしくお願いいたします。

  2. KAZU様
    コメントありがとうございます。
    新規のウイルスでいろいろな情報が錯そうして医療機関も混乱しているようです。
    正しい知識に基づいて冷静な対応が求められます。
    それにしても、ヒマです。

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