忘年会時代(第3話)
第1話、第2話の続きなのでそちらから先にお読みください。
耳鼻科の忘年会芸は、毎年人気を呼んでいたが、
毎年、キャッチーなネタを考えれるのがまたキビシイのであった。
今年は、どうしようかなあ。
去年の「M.C.ハマー」は、良かったが、
顔、真っ黒くしちゃって、あと大変だったなあ。
全員で、トイレで顔洗ったけど、なかなか落ちなくてなあ。
「ハマー・タイム!」
ああでもない、こうでもないと思い悩む毎日・・・・。
と、ある日、外来の女の子供の患者さんのシャツを見て
「今年は、これだ。」
とひらめいた。
それは、当時女の子の大人気だった
「美少女戦士セーラームーン」。
言わずと知れたこれである。
月に代わってお仕置きよ!
早速、秘密裏に準備を始めた。
そんな頃、耳鼻科外来に小児科のTセンセイがやって来た。
この先生、私より10年近く上で、
小児科のナンバー2だったんだが、
結構仲良かった。
「あのさ、オグラ先生、お願いがあるんだけど・・・。」
「また、子供の気管切開ですか、やだなあ。」
「いや、そんなことじゃないよ。」
「じゃあ、どんな?」
「ねえ、忘年会、セーラームーンやるんだって?」
「( げっ、ど、どっからそんな情報を・・・。)
・・・いや、手加減しませんからね。」
「そうじゃなくってさ、僕も入れて欲しいのよ。」
「!」
そういやあ、この先生、酔っぱらうとオネエ言葉になるし、
そっちの趣味あるというウワサも・・・。
「・・・・ううう、まあ、いいでしょう。その代わり、一つ条件があります。」
「おう、どんな?」
「セーラー・ムーンはボクがやります。
先生は、セーラー・マーズか、セーラー・ジュピターです。」
「ああ、じゃあ、僕、ジュピター で。」
「いいでしょう。じゃあ、頑張りましょう。」(握手!)
などというような、患者さんのお母さんが聞いたら
ドン引きするような「密談」が交わされたのだった。
ということで、話がまとまり、
T先生も一緒にやることになった。
年末の忙しい合間を縫って、
各色のカツラなど、小道具を高崎まで買いに行ったりした。
衣装作りももうお手の物だ。
そして、本番、前橋「ミヤマ会館」だ。
結果は予想以上の大成功で、
終わって、トイレで着替えていると
隣りの広間でやはり忘年会やってた「東京電力」のヒト(実はオレが見てた患者さんだった)が
「いやあ、センセ、スゴイですね。
あとで、我々も使いたいのでその衣装、貸してください。」
といったほどなのだ。
(実際、後日、病院まで借りに来た。)
もう、ずいぶん昔だなあ。
実は、このセーラー・ジュピターことT先生、
いまやG中央総合病院の 病院長 なのだ。
(ばらしちゃったけど、もう20年近く昔の話なので。)
さて、しかし、このあともう一個、タイへンな後日談が・・・。
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