影響を受けたレコード(国内編)⑤「In A Model Room/P-MODEL」
影響を受けたレコード5枚目は1979年8月25日発売の
「In A Model Room/P-MODEL」
最初にこのバンドの曲を聴いたのは
「Kameari Pop」でした。
ラジオから流れたこの曲を聴いたとき、
それまで聴いたことのない不思議な曲だと思いました。
イエローマジックオーケストラのデビューによって、
テクノポップは時代の最先端の音楽スタイルになっていましたが、
このサウンドは、YMO経由ではなく、
テクノポップの元祖である
クラフトワークから直輸入といった印象でした。
あとから知ったのですが「P-MODEL」はもともと
プログレッシブ・ロックのバンド「MANDRAKE」が前身。
セックス・ピストルズを見て、時代の流れを感じ、
パンク路線に転向した、といいます。
ここでも登場、セックス・ピストルズ。
アルバムは1979年8月25日発売。
初回プレスはピンク色でした。
たしかにこの「Kameari Pop」はテクノポップですが、
アルバム全体を聴くとパンク~ニューウェーブ色が強く、
初期のXTCと似た印象を受けます。
1979年7月25日先行シングルとして発売された
「美術館であった人だろ」がA面1曲目ですが、
「Kameari Pop」とずいぶん違った印象にちょっと戸惑いました。
ボーカルも演奏もパンク風の曲調ですが、
印象的なのはキーボードの使い方。
当時、テクノポップは「ピコピコ」
という擬音で表現されることが多かったのですが、
P-MODELの曲で用いられている「ピコッ」という音が気に入って
バンドで使いたいと思い、弾けもしないシンセサイザーを買いました。
このアルバム発売の少しあとだと思いますが、
ニューウエーブ~テクノポップのバンドが、
テレビに出演してスタジオライブをやる、という番組がありました。
芳村真理さんが司会をしていたのを覚えているのですが、
調べてみると、それはどうも
日本テレビで金曜日の10時から放送されていた
「金曜娯楽館」という番組だったようです。
司会は山城新伍さんで、女性司会者の2代目が芳村真理さんで
1979年12月から1980年8月まで担当、とありますから、
この間であったと考えられます。
その時出たのが「P-MODEL」のほかに、
「プラスティックス」「ヒカシュー」で、
この3バンドは当時「テクノ御三家」といわれていました。
いかにもマスコミ的、テレビ的な括りです。
音楽コーナーの司会は、
このあいだ、「電撃的東京」で紹介した
近田春夫氏が担当していました。
なぜ、芳村真理さんをよく覚えているかというと、
当時の若者の「新奇な」音楽を紹介する、というコンセプトで、
芳村真理さんは「ヘンテコな若者の音楽が理解できないオバサン」
という役回りだったと思われます。
演奏中、顔をしかめ、耳をふさいで、
そのあとで、「ちょっと、ちょっと、新伍ちゃん、何コレ?」
と言っていたのが大変印象に残っているからです。
実際に、理解できなかったと思われますが、
あのリアクションは番組の演出だったのかも、と今は思います。
ちなみにこの3バンドはすでに知っていましたが、
同じ番組に出た「チャクラ」は衝撃的でした。
「福の種」を歌ったと思いますが、
ファンになりレコードを買いました。
その後の、小川美潮さんのソロアルバムも好きです。
「ヒカシュー」は舞台演劇出身、
「プラスティックス」はイラストレーター、グラフィックデザイナー、
ファッション・スタイリストなどの音楽経験のない
アート系の人が集まって作ったバンドでしたが、
その中で「P-MODEL」は、
ロック・バンドとしてやってきた中で、
時代の匂いに敏感に反応して音楽性を変えてきた、
という意味ではワタシはシンパシーを感じたわけです。
このアルバムに入ってる「MOMO色トリック」では
「ユージさんにはわかるまい」
「アホのリノでも見に来るぜ」
という歌詞があります。
ここでいう「ユージさん」とは、音楽評論家の今野雄二さんのことで、
当時、洋楽レコードのライナーノーツを多く書いていた
「洋楽崇拝者」の今野さんに、
「P-MODEL」が酷評されたことを受けての歌詞です。
「アホのリノ」とは、その今野雄二氏が司会を務める
水曜イレブンの、アシスタントだった「かたせ梨乃」さんのことで、
かたせさんは今でこそ立派な女優さんですが、
当時は11PMのカバーガールで、
オッパイの大きいだけのお姉ちゃんと認識されていました。
この「MOMO色トリック」は、
ワタシが大学2年生で「不滅の男」ウスイくんと結成したバンドの
デビューライブで、最後に演奏しました。
1980年6月のことでした。
そのバンド名「LANDSALE(ランドセル)」は
その2か月前、1980年4月25日に発売されたばかりの
「P-MODEL」の2nd.アルバム
「LANDSALE」からいただきました。
「ランドセル」と「売国奴」のダブルミーニングです。
メンバーチェンジを繰り返しつつ、
ワタシとウスイくんが卒業するまでこのバンドは継続しました。
ナツカシイ。


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