小児へのチューブ留置、補足
昨日の、チューブ留置に対し、いくつか補足です。
チューブ留置は、通常
①滲出性中耳炎の状態が長く続き、鼓膜切開を何回かしてもすぐ水がたまってしまう場合
または
②急性中耳炎を反復し、いったん急性期がおさまっても
完全に水が抜ける前にまた再感染を起こしてしまう場合
に行っています。
大人や、学童の場合は①ですが、
幼児、乳児など年齢が小さいほど②の割合が多くなります。
横になってじっとしていられる子(通常3歳以上くらい)
はイオントフォレーゼによる鼓膜麻酔、
それ以下は鼓膜麻酔液を綿花につけ鼓膜に密着させ、麻酔します。
前者はほとんど出血しませんが、後者の場合、
特に反復性中耳炎で感染が完全にコントロールされない状態で切開すると、
出血がチューブ挿入の妨げになります。
綿花に鼓膜麻酔液を浸したあと、ボスミンをちょっとスプレーしたり、
あまり多い場合には、
切開後いったん止血時間を置いてから挿入するようにしております。
今回は、記事にするためにマメに写真撮りましたが、
術前や、安定期後は家族に供覧するために静止画写真をお見せしますが、
通常はチューブ留置直後の写真だけ記録しています。
あと、記念に手術後の母子の写真は必ず (^o^)
チューブ留置は全身麻酔で行う施設が多いと思いますが
それに比べてこの方法が良いところは、
とくに②の反復性中耳炎の場合。
まず、患者さんは0歳から1歳代の赤ちゃんが多いので、
全身麻酔となると、それなりのリスク管理が必要とされます。
また、中耳炎の状況は日々刻々変わるので、
術前検査をして予定日を決め、いざ入院、というときに、
発熱や全身状態が悪かったり、または鼓膜の自壊など局所状態が悪く、
予定日に手術ができない場合があります。
逆に、入院させて耳見たら、もう、治ってたとか・・・・(^_^;)
その点、この方法では日々鼓膜の具合を観察し、
頃合いを見計らって
「じゃあ、今日、入れましょう。」
ということができるので、好都合です。
次の日、チューブの状態を観察し、処置しますので
2日連続で来てもらうことになります。
今まで、遠方から連日日帰りで来られたり、
中には一泊二日で足利に泊まられて手術をされていった方もありました。
最近は、症例の積み重ねも多く、スタッフも押さえ方の腕が上がっておりますので、
どんな子供にチューブが留置できるようになりました。
とくにスタッフがひときわ腕力が強い肉食系女子、というわけではありません。
みなやさしい、女性的な方ばかりで、
あくまでコツと慣れですので、その辺、誤解なきよう。
(この辺、ちゃんと言っとかないと、あとでスタッフになんか言われる・・・・・・(^_^;))
視力は衰えても、顕微鏡下の処置なのでほぼ関係ありません。
ただ、最近は耳用鉗子でケースからチューブをつまみあげるのに苦労したりして。
ここ、裸眼なので。(^_^;)
まあ、そのうち、トシで手が震えてできなくなっちゃうと思いますけど。
小さい子の繰り返す中耳炎でお困りの方は宜しければご相談ください。
病院からのご依頼もお受けしております。


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