反復性中耳炎への鼓膜チューブ留置
このところ中耳炎のチューブ留置の問い合わせなども多いので
最近の例を参考までに提示します。
Mちゃんは昨年5月24日初診。
当時8か月。
昨年2月、5か月の時より中耳炎を反復するため
2,3の耳鼻科、小児科で治療。
とくに4月の保育園に行きだしてから悪化し
良くならないので当院を受診しました。
初診時は両側が混濁、充血、腫脹の中耳炎状態。
前の耳鼻科は鼓膜切開しない耳鼻科だったので、
抗生剤で消炎後、鼓膜切開、粘稠な浸出液。
その後切開孔閉鎖後すぐ滲出液貯留しましたが、
7月初めに保存的療法で治癒。
しかし、その後もしばしば風邪をひくと耳に水たまり、
何回かは急性中耳炎になりました。
その都度治療していましたが
だんだん治らなくなってきたので、12月に両則鼓膜切開。
しかし、切開孔閉鎖直後に貯留、急性中耳炎をおこしました。
結局、9月から鼓膜切開後を除いて
完全に水が抜けた状態にならなかったので
今年1月に、両側鼓室チューブを留置しました。
入れる前。
これが、チューブ留置直後の写真です。
もはや抗生剤では完全に感染をコントロールするのが難しく、
いわゆる「semi-hot ear」の状態で手術しています。
1歳4か月の元気な子なので、大暴れ。
多少時間かかりました。
術後、必ず記念写真撮ります。
お母さんは笑ってますが、赤ちゃん大泣きです。
翌日の状態です。
出血、浸出液ありますが、チューブはちゃんと入っています。
3日後にはほぼ落ち着き鼓膜もきれいになりました。
1週間後。
チューブはこのまま留置し月一回程度は確認。
抜去は1年後の予定ですが、寒い風邪の時期が過ぎて
4,5月頃抜く場合が多いです。
最近は、中耳炎なくなり月1回、確認のために受診しています。


いつぞや日耳鼻総会の混乱をレポートされた貴ブログをm3に引用させていただいた隣県の開業医です。
幼児へのチューブ留置、感銘しました。すごい改善度ですね。
私の上司は鼓膜切開をしないヒトだったので、ましてやチューブ留置など、と思っておりました。
先生のご技量としっかり押さえつける貴院スタッフに敬意を表します。
以前は難治性反復性の中耳炎も最近はオゼックスやオラペネムが登場して臨床的にはありがたく適当に使いながら児の成長を待っている老医ですが、小児科あたりが単なる副鼻腔炎にオゼックスをバンバン使っているのが危惧されます。耐性菌が出たらどうしようかと思っております。
コメントありがとうございます。
最初のうちは時間がかかったり、ウマいところに留置できなかったりでしたが
最近は慣れました。
また、そのうちできなくなると思いますが(笑)
この治療法のメリットは、全麻とちがって、連日鼓膜の状態を見ながら、
よし、今日入れましょう、といってできるところです。
ホントはもっときちんと記録し、まとめておきたいのですが、
日々の忙しさにかまけてやっておりません。
今回は、ブログに書こうと思って、術後の写真も何回かとりましたが、
普通は良くなっちゃえばいいので、あまり写真撮っていません。
何かの、ご参考になれば幸いです。
[…] 昨日の、チューブ留置に対し、いくつか補足です。 […]