ロックな耳鼻科:小倉耳鼻咽喉科医院院長、小倉弘之が日々思うこと。

2022.10.08

反復性中耳炎に対するアデノイド切除術の適応について

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アデノイド肥大のことで、小倉先生にご意見をお聞きしたく

ブログへメッセージを送らせてもらいました。

息子が3歳前までの2019年秋辺りまで、先生にお世話になっていました。

2019年から今現在までアメリカにいます。

現在5歳の息子ですが、0歳の頃から今現在もよく中耳炎にはなっています。

2022年2月頃からはほぼ鼻水が毎日あり、

数ヶ月に一度は耳も痛みが出て中耳炎との診断がつきます。

今年2月から、医師が進めるアレルギーの薬を数種類試しましたが

鼻水や数ヶ月に一度はおきる耳の痛みなどもよくならず、

先日ファイバースコープで医師が確認をしました。

アデノイド手術の選択肢があることを伝えられました。

症状は鼻水がほぼ常にあり、

夜寝るときに詰まり過ぎて起きてしまうこともたまにあります。

アデノイド等のブログで、

小倉先生の回答でアデノイド手術は5歳から6歳ですることが多い

と言う物を読ませて頂きました。

手術では全身麻酔(ガスマスクのような物を顔につけての麻酔だそうです。)

等をしなくていいのならば、

避けたい気持ちもあります。

こちらの担当医からは、あと数年待って

アデノイドが退縮することを待ってもいいとも言われました。

しかし、頻繁に中耳炎になるのも

アデノイド肥大の影響があるかもしれないとも言われ、

手術を迷っています。

5歳児のアデノイド手術をした方が良いケースと、

経過観察で様子を見る場合との違いなど、

先生のご意見をお聞かせ頂けたら嬉しいです。

お忙しいところ、大変恐縮です。

 

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 コメントありがとうございます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 アデノイドは、誰にでもある組織で、

咽頭扁桃といい、文字通りいわゆる扁桃腺のひとつです。

生まれた直後は大きくありませんが、

乳児期に増殖し、5,6歳で最大になりますが、

その後退縮し、多くは思春期以降痕跡程度になります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 アデノイド切除術の適応は、

①アデノイド肥大による鼻呼吸がうまくできず、

いびきや睡眠時の無呼吸が顕著なもの

②アデノイド肥大により耳管咽頭口が閉鎖され、

滲出性中耳炎や、反復性中耳炎の原因になるもの

と考えられます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ①についてはアデノイドが直接閉塞に関与しているので

手術により速やかに症状が改善され、良い適応といえます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ②については、アデノイドの関与のみだけではなく、

鼻疾患の状態、中耳の状態、鼓膜の状態など、

いろいろな要素が複合しますので、

必ずしも手術のみで問題が解決するとは言えません。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 いびきや、無呼吸が顕著なお子さんならば、

アデノイド切除術は、考慮される治療法といえますが、

目的が中耳炎の制御ということですと、

鼓膜切開や、特に鼓膜チューブ留置術がより簡便、安全で、

かつ有効な治療法として選択されるのではないかと考えます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 日本とアメリカの医療体制の違いもあると思われますし、

何より実際にお子さんを診察したわけではないので、

あくまでも参考程度とお考え下さい。

 

 

 

 

1件のコメント

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  1. 小倉先生、お忙しいところとても分かりやすく、お返事を頂きありがとうございます。息子はいびきや無呼吸等はほぼなく、鼻水と耳の痛みの方が気になります。本日また耳への強い痛みで耳鼻科へ行ってきました。水が溜まっていると診断され、こちらの担当者からは、アデノイド手術をした後に、耳へは鼓膜チューブ留置術をすることも選択肢としてあると言われました。小倉先生の解答を頂いき、理解が深まった後にこちらの担当者から、鼓膜チューブ留置術の事を言われたのでとても小倉先生に感謝しています。

    本当にありがとうございました。これからも先生のブログを楽しみに読ませて頂きます。

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