反復性中耳炎に対するアデノイド切除術の適応について
アデノイド肥大のことで、小倉先生にご意見をお聞きしたく
ブログへメッセージを送らせてもらいました。
息子が3歳前までの2019年秋辺りまで、先生にお世話になっていました。
2019年から今現在までアメリカにいます。
現在5歳の息子ですが、0歳の頃から今現在もよく中耳炎にはなっています。
2022年2月頃からはほぼ鼻水が毎日あり、
数ヶ月に一度は耳も痛みが出て中耳炎との診断がつきます。
今年2月から、医師が進めるアレルギーの薬を数種類試しましたが
鼻水や数ヶ月に一度はおきる耳の痛みなどもよくならず、
先日ファイバースコープで医師が確認をしました。
アデノイド手術の選択肢があることを伝えられました。
症状は鼻水がほぼ常にあり、
夜寝るときに詰まり過ぎて起きてしまうこともたまにあります。
アデノイド等のブログで、
小倉先生の回答でアデノイド手術は5歳から6歳ですることが多い
と言う物を読ませて頂きました。
手術では全身麻酔(ガスマスクのような物を顔につけての麻酔だそうです。)
等をしなくていいのならば、
避けたい気持ちもあります。
こちらの担当医からは、あと数年待って
アデノイドが退縮することを待ってもいいとも言われました。
しかし、頻繁に中耳炎になるのも
アデノイド肥大の影響があるかもしれないとも言われ、
手術を迷っています。
5歳児のアデノイド手術をした方が良いケースと、
経過観察で様子を見る場合との違いなど、
先生のご意見をお聞かせ頂けたら嬉しいです。
お忙しいところ、大変恐縮です。
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コメントありがとうございます。
アデノイドは、誰にでもある組織で、
咽頭扁桃といい、文字通りいわゆる扁桃腺のひとつです。
生まれた直後は大きくありませんが、
乳児期に増殖し、5,6歳で最大になりますが、
その後退縮し、多くは思春期以降痕跡程度になります。
アデノイド切除術の適応は、
①アデノイド肥大による鼻呼吸がうまくできず、
いびきや睡眠時の無呼吸が顕著なもの
②アデノイド肥大により耳管咽頭口が閉鎖され、
滲出性中耳炎や、反復性中耳炎の原因になるもの
と考えられます。
①についてはアデノイドが直接閉塞に関与しているので
手術により速やかに症状が改善され、良い適応といえます。
②については、アデノイドの関与のみだけではなく、
鼻疾患の状態、中耳の状態、鼓膜の状態など、
いろいろな要素が複合しますので、
必ずしも手術のみで問題が解決するとは言えません。
いびきや、無呼吸が顕著なお子さんならば、
アデノイド切除術は、考慮される治療法といえますが、
目的が中耳炎の制御ということですと、
鼓膜切開や、特に鼓膜チューブ留置術がより簡便、安全で、
かつ有効な治療法として選択されるのではないかと考えます。
日本とアメリカの医療体制の違いもあると思われますし、
何より実際にお子さんを診察したわけではないので、
あくまでも参考程度とお考え下さい。


小倉先生、お忙しいところとても分かりやすく、お返事を頂きありがとうございます。息子はいびきや無呼吸等はほぼなく、鼻水と耳の痛みの方が気になります。本日また耳への強い痛みで耳鼻科へ行ってきました。水が溜まっていると診断され、こちらの担当者からは、アデノイド手術をした後に、耳へは鼓膜チューブ留置術をすることも選択肢としてあると言われました。小倉先生の解答を頂いき、理解が深まった後にこちらの担当者から、鼓膜チューブ留置術の事を言われたのでとても小倉先生に感謝しています。
本当にありがとうございました。これからも先生のブログを楽しみに読ませて頂きます。